2年連続J2降格を味わった瀬川祐輔。「レイソルだから」残留してプラス。

2年連続J2降格を味わった瀬川祐輔。「レイソルだから」残留してプラス。

 覚悟のシーズンの幕開けに相応しいスタートだった。

 2019年をJ2で戦うことになった柏レイソルの背番号18瀬川祐輔は、17日のプレシーズンマッチ・ちばぎんカップで、チームの2019年オープニングゴールを叩き出した。

 ネルシーニョ新監督のもと、瀬川は4-1-4-1の左サイドハーフとしてスタメン出場した。16分に左サイドでボールを受けると、相手のプレスの甘さを逃さずに左足を一閃。力の抜けたフォームから放たれたシュートはDFの足に当たって、そのままゴール左隅に吸い込まれた。

 先制ゴールを決めた後も得意の動き出しの速さを駆使して、左サイドからDFラインの裏を狙ったが、チームは2−2の末にPK負けを喫した。

「今年は内容よりも結果。徹底的に結果にこだわらないといけないシーズン。リーグではこういう試合をしないようにしないといけない」

 試合後、瀬川はこう悔やむとともに、今週末から始まるJ2リーグ戦に向けての想いを語った。

昨季はチーム最多9得点。

 瀬川は昨年、大宮アルディージャから柏に移籍した。2017年の大宮ではリーグ16試合2ゴールに留まり、J2降格。それでもDFラインとの駆け引きや一瞬のスピード、シュートセンスを買われ、柏に完全移籍した。

 柏に加入後、瀬川はちょうど1年前のちばぎんカップでもゴールを決め、幸先のいいスタートを切った。序盤戦こそ出番が少なかったが、中盤戦から終盤戦にかけて持ち前の得点力を生かし、チーム最多となるリーグ戦9ゴールをマーク。しかし柏は最終的にJ2降格の憂き目にあった。

 瀬川にとっては2年連続のJ2降格。その一方でシーズン終盤は輝きを放ち、相手にとって脅威となるプレーを見せた。それだけに彼が再び移籍する可能性は十分にあった。

残留の決め手は柏の環境。

 だが、彼は柏に残るという決断を下した。当然葛藤があったが、残留の決め手は「レイソルだったから」なのだという。

「昨夏以降の結果はレイソルだから出せたと思っています。僕は動き出しや駆け引きで勝負するタイプなので、周りとの連係が重要になる。それを良くするためには、普段から周りの選手としっかりと話して、自分のプレーや考えを理解してもらわないといけない。だからこそピッチ内だけでなく、ロッカールームやピッチ外の関係性がすごく大切です。

 レイソルはレベルの高い選手がそろっていますし、ベテランの選手もすごくコミュニケーション能力が高く、意見してくれる。年上になると遠慮があるものですが、レイソルでは対等に話してくれるんです。昨年は本当にサッカー談義が活発にできた。だからこそ、徐々に連係が噛み合って、夏以降の結果に繋がったんです」

「J2で戦ってもプラスになる」

 瀬川は2016年に明治大学から当時J2のザスパクサツ群馬に入団。リーグ42試合出場、13ゴールの大活躍を見せて、大宮に移籍した。もし今オフに移籍していたら1年刻みでチームを移り、そのうち2度はJ2降格という巡り合わせになっていた。

 もしかすると、それが彼の中で葛藤を生み出していたのかもしれない。そんな疑問を彼にぶつけると、こう答えが返ってきた。

「そういう気持ちはゼロではなかったです。より上のレベルからオファーがあれば、在籍期間に関わらず、移籍しても問題ないと思っています。プロとしての目標に到達するためには、そこを気にしてはいけない。それでも、今回の決断で大きかったのはレイソルだったから。レイソルの伝統、実績、選手の質を考えた時に、1年間J2で戦ってもプラスになると思ったんです」

 覚悟を決めた瞬間、彼の目の前には明確な目標がはっきりと映し出された。

「J2で1年間通して活躍した上で、レイソルとともにJ1に上がってどれだけ活躍できるか。『J1に戻りたい』でとどまらず、『J1に戻って活躍する』という意識を持ってプレーする。レイソルだからこそできると思った」

ゴールを狙うサイドハーフ。

 今年から就任したネルシーニョ監督のもとで、これまでの1トップやシャドーではなく、左サイドハーフの役割を与えられた。ゴールからは少し遠い位置でのプレーになるが、ちばぎんカップで彼は“結果へのこだわり”をさっそく示したのだ。

「あのゴールは自信になりました。DFに当たっているし、完全に納得しているわけではないけど、あの局面でシュートを選べたことが大きい。前にスペースがあると、いつもならドリブルで運ぶけどシュートを打たなかった。でも、あそこで自信を持って枠に飛ぶシュートを打てたし、DFに当たってゴールに入ったのは、運を引き寄せているのかなという感覚も生まれました」

 積極的にゴールを狙う姿勢は変わらない。それにサイドハーフは明治大学時代にプレースタイルを確立したポジションでもある。当時、瀬川は左サイドで縦への仕掛けやカットインだけでなく、DFラインのギャップを巧みに突く抜け出しで、ゴールに絡むプレーを何度も見せていた。

「シュートが打てて、ゴールを決められるサイドハーフがいれば、チームにとってプラスなのは間違いない。それを出していきたい。でも、大学時代よりもその質を上げるためには、もっとゲームの流れを読んだり、連係を深めないと。そこを追求すれば成長に繋がると思うし、もっとボールを握って、相手を食いつかせるポゼッションを駆使していく。レイソルらしいサッカーができれば、質は自ずと上がっていくと思う」

たとえ自分のプレーが悪くても。

 瀬川の成長がチームの成長に直結する。自覚と自負、そして覚悟を持った男の表情は引き締まっている。

「レイソルは負けてはいけないという責任感がある。その中でチームを引っ張っていきたいし、周りからもっともっと信頼される選手になりたい。今年は悪い内容でも勝てば良い、というところなんだと思う。たとえ自分のプレーが悪くても、きちんと結果に繋げられるメンタリティーを持ちたい。点を獲れなくても必要以上にへこまず、何かなんでも勝ちに繋げる。僕だけじゃなく全員がやらないといけないと思う」

 覚悟のシーズンの幕明け。瀬川は誰よりも結果にこだわり、打ち立てた目標を達成するべく、レイソルの先頭に立つ。

文=安藤隆人

photograph by Takahito Ando


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