篠山、辻、ファジーカスは好調もBリーグ川崎の課題は「控え組」。

篠山、辻、ファジーカスは好調もBリーグ川崎の課題は「控え組」。

 計60試合におよぶBリーグのレギュラーシーズンも、残すところあと13試合となった。

 東地区は千葉ジェッツと栃木ブレックスがプレーオフにあたる「チャンピオンシップ(CS)」の出場を確定させ、中地区、西地区でもクライマックスに向けて熾烈な戦いが続いている。

 初年度準優勝、昨季はCS準々決勝進出の川崎ブレイブサンダースは、現在中地区2位。地区優勝を目指し、首位の新潟アルビレックスBBを3ゲーム差で猛追している。

「ドーハの歓喜」後のハードな日程。

 Bリーグ1部(B1)は、2月12日から3月1日にかけてすべての試合が中断された。理由は、W杯アジア予選である。グループFを2位で勝ち抜き、13年ぶりの本戦出場を決めた男子日本代表に、川崎は篠山竜青、辻直人、ニック・ファジーカスの3選手を送り出した。

「ドーハの悲劇」を「ドーハの歓喜」に変えた勇者たちの、国内復帰戦に至るまでのスケジュールは実にハードだった。

 カタールでアジア予選の最終戦を戦ったのが2月24日。翌日の夜の便で帰国し、3日間の休養を経て、3月2日のサンロッカーズ渋谷戦を迎えた。カタール帰りのメディア関係者はこぞって「まだ時差ボケが直らない」と嘆き、3選手も言わずもがなの状態だっただろうが、篠山と辻はさっそく先発出場。篠山13得点、辻19得点(うち3ポイント4本)を挙げる活躍ぶりを見せた。

 特に、アジア予選最終戦のカタール戦で決めたミラクルシュート(ショットクロックぎりぎりにサイドライン際から左手1本で決めた3ポイント)が、米最大手スポーツチャンネル・ESPNのトッププレーとなり、国内外で一躍“時の人”になった篠山は、翌節のライジングゼファー福岡戦では3ポイント8/8という驚異のスタッツをたたき出した。国内でも元気な話題を提供している。

 その絶好調の理由は、シンプルだ。

「何よりW杯予選を勝って帰ってこれたことですよね。負けて帰ってくるのとでは気持ちも、体の重さもまったく違いますから。協会やリーグの配慮で、ほとんどの飛行機移動がビジネスクラスでしたし、元気ですよ。そりゃあもう元気です」

前日帰国も大活躍のファジーカス。

 W杯予選で1試合平均27.2得点というMVP級の活躍を見せたファジーカスは、篠山、辻よりもさらに過酷なスケジュールだった。25日に帰国したと思ったら今度はアメリカに飛び、28日に母校・ネバダ大の永久欠番セレモニーに出席。渋谷戦の前日に再び日本に帰ってきた。渋谷戦はさすがにベンチスタートだったが、24得点と大暴れしている。

「シュートタッチもいいし、体の調子もいいよ」。

 13日の横浜ビー・コルセアーズ戦後にそう話すファジーカスにも、好コンディションの理由を尋ねてみた。

「特に普段と違うコンディショニングはしていないけれど、日本代表で自信がついたことは大きい。ヘッドコーチのラマスがいろいろ自由を与えてくれて、その中でプレーできた経験を川崎でも生かしているんだ」

 代表戦で大切なシュートをしっかり決めきり、シューターとしての役割を果たした辻も、ファジーカスと同様に「代表での活躍が精神面での自信につながった」とコメント。

 代表選手の中には、帰国後にコンディションを落とした選手も少なからずいたが、川崎の3選手に限っては代表での経験を存分に生かし、いい形でシフトしている。

中断直後に7勝するも内容は振るわず。

 さて、話題をチームに向けよう。

 主力3選手の好調ぶりがチームの成績につながるかというと、実はそうでもないのが川崎の苦しい現状だ。渋谷戦、福岡戦、横浜戦と、中断期間直後の試合はすべて白星ではあったが、今季の成績が振るわない3チームに対して非常に危なっかしい内容だった。

 篠山も「目標としている75失点以下を1度も達成できていない。相手ミスに助けられた部分が多いので、連勝の手ごたえは正直ないです」と振り返っている。

ベンチメンバーの得点力。

 特に目に付くのが、ベンチメンバーの元気のなさ。篠山によると、昨季のベンチメンバーの合計得点はリーグ最下位。チーム力底上げは今季の大きな課題だったが、シーズン終盤に差し掛かった現在も目立った改善は見られない。控え選手の今季これまでの合計得点の平均(147点)は、千葉、栃木、アルバルク東京といった強豪と比べて20点以上の開きがある。

 3週の中断期間でのブラッシュアップ、週3日の過酷な試合日程、そして下位チームとの連戦――。北卓也ヘッドコーチはこの状況を底上げの好機ととらえたのだろう。渋谷戦の1戦目では前半の早いタイミングから控えメンバーを投入した。

 だが、ミスが続き、早々にベンチに下がった。以降の試合でも、藤井祐眞とシェーン・エドワーズ以外のプレータイムは伸びていない。控え組の現状について北ヘッドコーチに尋ねた。

 歯切れの悪いその口調からは、指揮官の苦悩ぶりがなんとなく感じられた。

「それぞれに得意、不得意は当然あるわけで、その中で自分が持っている1番のものを、アグレッシブかつハードに出し切ることが大切。それをうまく出せない選手に対しては『どうなの?』と思うことはあります。決して気持ちを持っていないわけではないのですが……」

「セカンドユニットはよくやっている」

 一方、篠山は同じ質問に対して、明らかに強い口調で答えた。

「セカンドユニットはよくやってくれています。ここであえて『まだまだ』とか『奮起に期待したい』ということは言いたくないです」

 チームメートたちへの配慮なのか、筆者への非難なのか、それとも……。その真意ははかりかねたが、主力の疲労や故障のリスクを考えれば、この現状は決していいものではないだろう。

“代表が3人いるから強い”ではなく。

 16、17日の新潟との頂上決戦は1勝1敗に終わった。「中断期間後は1つも落とせない」という選手たちの目論見は少し狂ってしまったが、中断期間でケガを癒し戦線復帰したエドワーズの好調と、エドワーズ、ファジーカス、バーノン・マクリンの同時起用が機能しだしたという明るい材料もある。

「中地区チャンピオンを目指すためには、目の前の試合が大切。もう1度、チームのために何をできるかを考えよう」

 代表組の合流後、北ヘッドコーチが選手たちに伝えた言葉の通り、今はとにかく、中地区優勝とファイナル優勝だけを見据え、そのために一人ひとりが全力で考え、全力で行動するしかないのだ。

「主力と控え、ベテランと若手、日本人と外国人、そういうものはここまで来たらもう関係ない」とは篠山の言葉。“代表が3人いるから強い”ではなく、“川崎ブレイブサンダースだから強い”。

 そんなチームの結実を、多くの人々が心待ちにしている。

文=青木美帆

photograph by B.LEAGUE


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