“マイアミ世代”田中コーチも期待。磐田DF大南拓磨に芽生えた自覚。

“マイアミ世代”田中コーチも期待。磐田DF大南拓磨に芽生えた自覚。

東京五輪まであと500日を切る中で、JリーグではU-22世代の若手有望株が続々と台頭している。短期集中連載として、2019シーズンに見ておきたい、五輪世代の各選手をピックアップした。今回はジュビロ磐田の大南拓磨だ。

 昨年のアジア大会(インドネシア・ジャカルタ)で準優勝したU-21(現U-22)日本代表常連組の1人として、東京五輪出場が期待されているジュビロ磐田DF大南拓磨。

 アジア大会では2試合に出場し、最終ラインからのロングフィードでゴールの起点にもなった。その勢いでチームの磐田でも昨年終盤から先発の座を掴み、センターバックとして徐々に存在感を高めてきた。

 ただ、東京五輪を来年に控えた今季は、やや不安の中で始動となった。

 昨年までの磐田のフォーメーションは3バックが中心だったが、今季は開幕前の鹿児島キャンプから4バックも採用。新フォーメーションの中で自分のポジションがどうなるのか。さらに新加入選手に加え、長期離脱していた複数の主力選手たちが揃って復帰した。

 開幕前の大南のコメントだ。

「まだまだレギュラーを勝ち取ったわけじゃない。今年は大事な1年になるので、まずは開幕戦に先発できるように頑張りたい」

 危機感を持って臨んだ大南は、期待通りに開幕スタメンを勝ち取った。

先発にこだわる理由。

 先発出場にこだわる明確な理由が、大南にはある。

 来年に控えた東京五輪の代表メンバー入りには、今季のアピールが必須である。ならば所属するチームで試合に出場することが最低条件だと判断したからだ。そして自身を鼓舞するため、さらにハードルを上げた。

「出場した試合は、すべて無失点に抑えることが次の目標。無失点ならば、少なくとも試合に負けることはない。攻撃面ではリーグ前半戦に1、2得点は決めたい。いまは得点できるセンターバックが普通になってきているから」

課題の守備陣、若きDFに懸かる期待。

 常に高みを目指す大南には、チームの期待も大きい。

 一昨年はリーグ最少の年間30失点だったチームが、昨年は48失点と急増。残留はしたものの、屈辱のJ1参入プレーオフまで進んだ。シーズンで1点差の敗戦は6回もあり、1失点に泣いた1年でもあっただけに、より守備の重要性を感じることになった。

 迎えた今季、昇格した松本をホームに迎えた開幕戦は1−1のドロー。アウェーでの第2節も広島にスコアレスドローと、勝つことはできなかったが2戦1失点と、決して悪い内容ではなかった。

 だが、迎えた第3節。相手は昇格したばかりの大分戦。大南は自身が絡んで先制点を許してしまう。さらに前半30分に振り切られそうになった相手選手を倒し、一発退場。

 大粒の涙を流してロッカールームに消えた。

「チームを背負ってやっている。開幕から3試合連続して先発で起用してもらったのに、サポーターの信用を失ってしまったプレーが悔しくて、涙が止まらなかった」

サポーターの“声”で再認識できたもの。

 それでもスタンドのサポーターは、ここまで体を張ってゴールを守ってきた若きDFに『大南コール』の大声援を送った。

 それから数日後に発表されたU-22日本代表メンバーには、プロ初の退場劇に沈んだ大南の名前もあった。

「改めて、背負っているものが大きいことがわかった。自分もチームの中心選手にならないといけない。ジュビロサポーターのためにも、しっかりと結果を残したい」と、代表での活躍と定着を誓った。

田中誠コーチ「今後はフル代表で」

 大南はプロ4年目の21歳となる。もちろん、選手としてまだ完成されているわけではない。『マイアミの奇跡』を巻き起こしたアトランタ五輪に出場した経験を持ち、その後はフル代表でも活躍したジュビロの田中誠コーチは言う。

「自分も、若い頃にミスなくプレーしてきたわけじゃない。今回のように、相手にやられて覚えることもある。もう失敗しないようにと思って頑張ることが成長につながる」

 その大南が、非凡なものを持っている選手であることは事実だ。田中コーチは続ける。

「高さもスピードもフィジカルの強さもあり、世界に通用するものを持ち合わせている。そこには戦術眼なども必要だが、これから経験を積み上げながら、代表などで海外選手など上のレベルと試合をすることで徐々に身につくもの。事実アジア大会後は、ボールコントロールや相手への対応などでプレーが安定してきた。今後はフル代表でやる選手だと思うので、我々指導者も本当にやりがいがある」

合格点はまだまだ。

 ここまで一緒にプレーしてきた先輩DF藤田義明も、自身のライバルとして成長してきた後輩を高く評価する。

「以前は状況判断とかポジショニングに甘いところもあったが、いまは余裕が出てきたせいか判断が早くなった。一発退場も経験したが、本人は切り替えていた。自信を持ったこともあるだろうが、メンタル面も強くなってきたと思う」

 しかし、高くなってきた周囲の評価にも、大南本人は合格点を与えてはいない。

「自分に足りないものは、リーダーシップや後ろからのコーチング。ほんとうにまだまだだと思う。東京五輪代表の戦いがスタートを切っている中で、その足りない部分を高めていきたい」

 熾烈な戦いの先に東京五輪がしっかりと見えてきたとき、多くの可能性を持ち合わせた大型DFの世界舞台での戦いが始まる。

文=望月文夫

photograph by J.LEAGUE


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