絶対女王、いよいよドバイ出陣。ルメール「アーモンドアイは特別」

絶対女王、いよいよドバイ出陣。ルメール「アーモンドアイは特別」

 現地時間の3月27日、午前5時前。クリストフ・ルメール騎手がドバイ、メイダン競馬場に現れ、日本馬2頭の追い切りに跨った。

 そんな日本のリーディングジョッキーをいきなりのアクシデントが襲う。

 まず跨ったのはレイデオロ。芝コースを軽く歩かせて100mほど行ったところで、ダービー馬の右前、脚元に近い場所から1羽の小鳥が飛び立った。

「レイデオロが驚いてターンするようにビュッと横へ飛びました。スピーディーな馬なのでその時の動きが凄く速くてついていけませんでした」

 ルメール騎手は振り落とされたが、放馬する事なく、すぐに乗り直した。

「びっくりしたけど、僕も馬もなんともありませんでした。だからすぐに騎乗し直して、追い切りました」

 その後の追い切りの動き自体は「とても良かった」と言い、更に続ける。

「去年はレース前に少しエキサイトして、レースでは引っ掛かってしまいました。でも一つ年齢をとった今は心身ともに成長し、落ち着いているから大丈夫です」

ルメール「ドバイの芝にもあっている」

 レイデオロの追い切りを終えたルメール騎手は、下馬したのも束の間、今度はすぐにアーモンドアイの手綱を取った。

「リラックスしていました。でも、同時に集中力がありました。馬自身のコンディションが良いからフットワークも抜群でした。ドバイの芝もあっているようでとてもスムーズに走ってくれました」

 ゴール板を過ぎてから舌鼓を打つシーンがあったが、これには次のように言った。

「少し物見をしました。だから“そっちじゃないよ”という意味で、チッチッ!と鳴らしました」

 ドバイでは初めてとなるアーモンドアイとのランデブーを楽しんだ後、その感触を改めて口にした。

「美浦トレセンで最後に乗った時(3月13日)と比べても、変わらず良い感じでした」

海外メディアからも注目。

 昨年のジャパンC以来、久しぶりの実戦だが、休み明けという雰囲気はなかったのだろうか?

「もちろん久しぶりなので、絶好調ではありません。でもそれは、レースになれば大丈夫。当日、そしてレース1時間前になれば彼女は自然とスイッチをオンにします」

 その後、地元メディアはもちろん、ヨーロッパのメディアなど、次から次へとインタビューや撮影が続いた。息をつく間もなく長々と続き、繰り返される同じ質問にも、フランス人ジョッキーは嫌な顔ひとつせずに答える。

「もちろん大変です。でも、これだけ注目されるという事は、日本の競馬にとっても良い事。決して苦ではありません」

計り知れないアーモンドアイの能力。

 彼はアーモンドアイについて各国のメディアにどう伝えていたのだろうか。

「彼女はまだ4歳になったばかりの女の子です。でも、そんな若い馬とは思えないほどの自信を持っています。何でも知っている感じです。若い牝馬としてはとても特別な馬です」

 また、特徴を聞かれた際も、最大の賛辞が口をつく。

「乗るたびに成長していて、スタミナもあるしスピードもある。まさにスーパースターという言葉がぴったりくる馬です」

 以前、「負けるとしたらどういう競馬になった時か」という意地悪な質問をぶつけた事がある。即答せずに一瞬「う〜ん」と唇を結んだルメール騎手は、ゆっくりとした口調で「僕がミスをした時かな……」と言って笑ったが、果たしてそんな気持ちは現在も同じなのだろうか。

「そうですね。競馬ですから彼女のコンディションとか、色々な問題はあると思います。でも、まともに力を出してくれればもの凄いハイポテンシャルなのは間違いありません。彼女の限界がどこなのか、私は知りません」

脅威となるゴドルフィン勢。

 それでも競馬だから万全を期さなければ落とし穴があるかもしれない。だから、作戦がないわけではない。作戦面を聞かれた彼は、次のように答えた。

「もちろん作戦は少し考えます。でも実際にはスタートしないとどうなるか分かりません。相手の出方も分からないし、アーモンドアイ自身、好スタートを切れるのか、出負けしてしまうのかで全く競馬の組み立て方が違ってきます。当然、イメージとしては速い流れなら差せる位置、緩い流れなら先行、好位で競馬をしたいですが、自分1人だけで走っているわけではないので、こればかりはスタートを切ってみないことには分かりません」

 では、その相手関係は? と問われると、これには具体的な名前を挙げて答えた。

「これはアーモンドアイにもレイデオロにも言える事だけど、こちらは休み明けの上に遠征になります。それに対してゴドルフィン勢はここがホームです。だからトライアルも叩いています。このホームアンドアウェーの差は考えなくてはいけないと思っています」

中東の地から吉報は届くか。

 ドバイターフに出走するドリームキャッスルに、ドバイシーマクラシックのオールドペルシアンとレーシングヒストリー。これらはいずれもゴドルフィンの馬で、トライアルを1着だったり2着だったりと好走している。ルメール騎手をしても少なからず脅威の存在となっていると思える返答ではあったが、そのあたりを確認すると、ニコリと笑って答えた。

「でも、彼女は本当にサムシングスペシャル。僕にとってのスペシャルホースです。日本のファンの皆さんのためにも、そして彼女自身のためにも、きっちりと勝ちたいです」

 ドバイワールドカップデーは現地30日の土曜日。ドバイシーマクラシックに出走するレイデオロや、ドバイターフのアーモンドアイが中東から朗報を届けてくれるのか。はたまた他の日本勢がその役割を果たすのか。日本時間の深夜は過ぎるが、是非、注目していただきたい。

文=平松さとし

photograph by Satoshi Hiramatsu


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