桜花賞をグランアレグリアが圧勝。影も踏ませない完璧な2馬身半差。

桜花賞をグランアレグリアが圧勝。影も踏ませない完璧な2馬身半差。

 やはり、この馬のデビュー戦は「伝説の新馬戦」だった。

 第79回桜花賞(4月7日、阪神芝外回り1600m、3歳牝馬GI)を、クリストフ・ルメールが騎乗する2番人気のグランアレグリア(父ディープインパクト、美浦・藤沢和雄厩舎、ノーザンファーム生産)が優勝。

 3着に敗れた昨年12月の朝日杯フューチュリティステークス以来、中111日での勝利は、昨年シンザン記念以来で制したアーモンドアイの中89日を上回る桜花賞史上最長間隔優勝記録。勝ちタイムの1分32秒7も、アーモンドアイの1分33秒1をコンマ4秒更新するレースレコードだった。

 平成最後の桜花賞で1番人気に支持されたのは、昨年2歳女王となり、年明け初戦のチューリップ賞を快勝していたダノンファンタジー(父ディープインパクト、栗東・中内田充正厩舎)だった。

 この馬が唯一の敗北を喫した新馬戦を勝ったのが、グランアレグリアだった。直線が長く、力どおりに決まる東京芝1600mで2馬身突き放されての2着だった。

 しかしダノンファンタジーは、未勝利、ファンタジーステークス、阪神ジュベナイルフィリーズを強い競馬で3連勝。一方のグランアレグリアは、翌週の朝日杯フューチュリティステークスで、牡馬相手とはいえ3着に敗れた。2頭の力関係は逆転した、と見る向きが多くなっていたのは当然だろう。

 トライアルのチューリップ賞を叩いて、臨戦態勢も万全。朝日杯以来のぶっつけとなるグランアレグリアより断然有利に思われた。

新馬戦の結果は素質を示しているのか。

 しかし昨年6月3日の新馬戦以来、10カ月ぶりの直接対決となったこの桜花賞でも、ダノンファンタジーはグランアレグリアに置き去りにされてしまった。

 人間の手があまりかけられていない段階で走る新馬戦は、素質だけの争いになることが多い。グランアレグリアが持って生まれた能力が、それだけ高かったということか。

「デビュー戦で衝撃的な勝ち方をした馬は必ず出世する」という、キズナやワンアンドオンリーのオーナーブリーダーとして知られるノースヒルズの前田幸治代表の言葉が思い出された――。

前方につけ、力で押し切った。

 今年の桜花賞は、前半800mが47秒7、後半800mが45秒0と、後半のほうが速く、最後の瞬発力勝負となる後傾ラップだった。

 総じて後傾ラップのときは、先行した馬に有利と言われている。昨年は前半46秒6、後半46秒5という、前の馬にも後ろの馬にもチャンスのある平均ペースだった。その流れを後方から一気に差し切ったアーモンドアイの強さは凄まじいものだったが、今年のグランアレグリアの勝ちっぷりは、別の意味で強烈だった。

 序盤は、先頭から差のない4番手を引っ張り切りの手応えで追走した。3コーナーを回りながら、馬の行く気に任せて進出。ラスト800m地点では、早くも先頭に取りつこうとしていた。そのまま直線に入り、内に進路を取りながら楽に抜け出し、後続の追い込みを完封した。

自分から動いて後続の脚を削る。

「朝日杯から勉強しました。前回は速い脚を使えなかった。だから、今日は4コーナーから動いた。そこからゴールまで、いい脚で加速しました」とルメール。

 朝日杯では、直線、勝ったアドマイヤマーズに一気に馬体を寄せられ、内にモタれてしまった。牡馬の迫力に威圧されたことが敗因だった。その反省を生かし、牝馬同士のここでも、一気に来られてトラウマが蘇らないよう、自分から動いて後続になし崩しに脚を使わせた。

 レースの後半のラップは、800m45秒0、600m(3ハロン)33秒3だったのだが、それはほぼグランアレグリア自身が刻んだラップだった。これを後ろから差し切るには、とてつもない末脚を使わなければならない。現に、シゲルピンクダイヤは上がり3ハロン32秒7の脚を使ったのだが、2馬身半差の2着に追い上げるのがやっとだった。

 ダノンファンタジーは、道中、グランアレグリアの1、2馬身後ろの外を進んでいた。そして、早めに動いたグランアレグリアを追いかけて行ったのだが、騎乗した川田将雅が「勝ち馬を追いかけざるを得なくなったぶん、苦しくなった」と話したように、長く脚を使わされて伸び切れず、4着に終わった。

スピードがありすぎて2400mは難しい?

 グランアレグリアは、休み明けとはいえ、アーモンドアイやブラストワンピースなど、間隔をあけて使いながら結果を出してきた他のノーザンファーム生産馬と同じノーザンファーム天栄で調整されてきた。

 トレセンの厩舎(内厩)と、施設や人材が充実した外厩とを行き来している馬に関しては、以前のように「久々」をマイナス材料と見る必要は、もはやないと言える。

 また、美浦から阪神への長距離輸送を朝日杯で経験していたことも、今回の落ちつきにつながったようだ。

 牝馬クラシック二冠目のオークスについて問われると、ルメールは「スピードがある(ありすぎる)ので、2400mまではわからない。難しそう」と答えた。

 同じ藤沢厩舎、主戦がルメール、ノーザンファーム生産で、フラワーカップを勝ったコントラチェックがオークスに向かうので、グランアレグリアの次走はNHKマイルカップが有力視されている。舞台は、自身が勝った「伝説の新馬戦」と同じ東京芝1600mだ。

 伝説は、これからもつづく。

文=島田明宏

photograph by Kyodo News


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