千葉ジェッツとミクシィが資本提携。新アリーナ建設で“100年続く”礎を。

千葉ジェッツとミクシィが資本提携。新アリーナ建設で“100年続く”礎を。

 私が千葉ジェッツを運営する株式会社ASPEの社長に就任したのは2012年のことです。当時、ジェッツは経営不振で存続が危ぶまれており、経営再建に着手し、7期連続ほぼ増収益で迎えた8期もその勢いのまま成長発展を遂げてきました。

 昨季は総観客動員数は15万人を突破しリーグ1位、売上高は約14億(前年比156%)、経常利益も約9千万円(前年比234%)とほぼすべての経営数値において、目標値を大きく上回ることができました。昨季は東地区優勝、チャンピオンシップ準優勝とチームも強くなり、周囲の方々からはBリーグトップクラスのクラブだと呼ばれるようになりました。

 私はクラブの経営理念でもある“千葉ジェッツを取り巻く全ての人たちと共にハッピーになる”の実現、“100年続くクラブを作っていく”ことを視野に入れた上で、常々何をすべきかという観点で経営を行なっています。

アリーナの建設は無視できない。

 ここ数年、クラブ、バスケット界のさらなる発展が必要不可欠で、そのためにも第2の成長フェーズに向けて動き出し、もう1ステージ上がっていかなければならないと考え始めるようになりました。

 アジア、世界に通用するクラブを目指し、今回、我々が中長期新成長戦略で打ち出したのがアリーナの建設です。

 沖縄ではすでに1万人規模の多目的アリーナの建設計画が進められていますが、今後も同等規模のアリーナが出現する可能性は十分に考えられます。

 現在、千葉ジェッツは毎試合平均で5000人観客を動員しており、物理的にこれ以上の動員数は不可能です。もちろん、チケット単価を上げる策も考えられますが、我々のクラブの持続的な成長を視野に入れ、打つべき手を考えると、やはりアリーナの建設は無視できない案件でした。

 現在、日本のスポーツ施設は行政がアリーナを作って運営する公設公営タイプが主になっていて、現状ではあらたな箱物投資に対してはアゲインストの状況で、簡単には建設することができません。

 では、このまま現状でやり続けるのか、それとも他の手段を考えるのか――。

クラブが建てるというチャレンジ。

 ここ1〜2年、いろいろな可能性を探り、様々な戦略を取った結果、なんとか民間(企業)のちからを借りて(アリーナ建設を)実現できないものかという方向に完全に舵を切ることにしました。

 クラブがアリーナを建てるのは、日本でもはじめてのケースだと思います。クラブが主導し、民(間)の力、資金をもってアリーナを建設する。この時代、それしかないと考えましたし、それが駄目なら諦めるしかないのかもしれない、とまで考えていました。

 実現にあたっては、自力で、クラブの価値に対して参画しても良いと思っていただけるような企業と組み、実現に向けて歩み始めたのです。様々な可能性を探ってきたなかで、私どものスポンサードをしていただいている株式会社ミクシィが、ジェッツの将来戦略や、アリーナ戦略に共感していただき、バックアップをしていただくことになったのです。

 ジェッツがアリーナを建てるとはいっても、ジェッツが何百億もお金を持っているわけではないので、当然、金銭的なスポンサーであったり、パートナーシップでバックアップしていただかなければなりません。当然、それだけの投資が必須になり、私どもの経営の健全性の維持が必要となるため、今回、資本提携を締結するに至ったのです。

 7年前に千葉ジェッツ代表という仕事を受けたとき、そしてbjリーグからNBLへ参入すると決断したときなど、これまでいくつも転機が訪れましたが、民間でアリーナを作るという日本初の試みにチャレンジし、それを実現するにあたって伴う資本提携は、クラブにとってはもちろん、私にとっても大きな決断でした。

地域密着+大企業を最強モデルに。

 以前、このコラムでも地域密着+大企業の最強モデルをお話ししたことがありました。これから日本はさらに少子化が進み、行政が財政支出しづらい世の中になっていきます。アリーナ・スタジアムとサービスの一体経営といった形を行っていかなければ、スポーツビジネスの事業規模は大きくなりません。

 戦略的にスポーツでビジネスをしようという積極的なクラブと地元の企業が密着しているBリーグのスタイルのような形で「親会社またはオーナーや責任企業」として絡むのが、私はこれからの日本のスポーツの最強モデルだと思っています。

 それはつまり事業における強みを活かし、弱みを消す、ということ。今回はまさに、徹底した地域密着+事業シナジーのある大企業の最強モデルとなると考えています。

自ら意思をもって、進めていった。

 今回、地域密着型のプロチームが、大資本企業に価値があると判断され、こうして関わっていただくことになったのは相当珍しいケースだと思います。

 この試みがうまくいけば、Bリーグ各クラブの発展や、バスケット界に限らず、場合によってはVリーグ(バレーボール)やラグビーなど、他のスポーツにも影響してくるのではないかと予想しています。

 だからこそ、地域クラブでも価値を上げて評価されること、そしてさらなる成長への投資まで、クラブとしてしっかりと攻めていけるという事例をしっかり伝えていきたい。

 しかしながら、誤解していただきたくないのは、千葉ジェッツが自らの意思をもって仕掛け、進めた案件です。

「企業チームっぽくなってしまうのでは?」と懸念される方もいらっしゃるかもしれませんが、ジェッツの成長戦略でアリーナが欠かせないとなったとき大資本企業の存在が必要不可欠で、株式会社ミクシィには、我々の成長戦略、経営戦略に賛同をしていただき、アリーナ建設に対する支援を約束いただいたということだけ。今後も、これまで同様にジェッツ主体で仕掛けていくことに変わりはありません。

これまでの経営方針は何ら変えない。

 ジェッツがクラブとして独立し、地域密着、地域愛着というスタンスや、ファンやスポンサーを大切にしていくという志、これまでの経営方針は何ら変えないことを前提にしているので、地域、スポンサーの皆様にはご理解いただきたいと思っています。

 今回の中長期新成長戦略は、確かにこれからのスポーツ界に可能性を感じる突破口の戦略ではありますが、私は、地域やステークホルダーを大切にするという視点が欠け、大きな資本のみで攻めるという一方的なものになってしまえば、成長はないと考えています。

 今回のプロジェクトもあくまでも、地域密着、地域愛着があってこそのもの。新しい形のソフトとハードの一体経営でさらなる成長を遂げたいと考えています。

(構成・石井宏美/Number編集部)

文=島田慎二

photograph by B.LEAGUE


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