サートゥルナーリアで凱旋門賞を!ウオッカを育てた角居師の大挑戦。

サートゥルナーリアで凱旋門賞を!ウオッカを育てた角居師の大挑戦。

 角居勝彦厩舎のサートゥルナーリア(牡3歳)が、4月14日に行われた皐月賞(GI、中山競馬場、芝2000メートル)を優勝した。

 昨年12月28日に走ったホープフルS(GI)以来の実戦だったが、デビュー以来3連勝がそれぞれ圧倒的なパフォーマンスだった事に加え、皐月賞の舞台が実績を残したホープフルSと全く同じ中山競馬場の芝2000メートルという条件だったことも後押ししたか、単勝は1.7倍。2番人気のアドマイヤマーズが5.7倍だから断トツの人気に推されていたことが分かる。

 結果、この支持に応える優勝劇だったわけだが、競馬ぶりに関しては、その人気ぶりほど余裕を持って見ていられるそれではなかった。フィニッシュラインはそれぞれ4、3番人気のヴェロックス、ダノンキングリーと横並び。

 一度は抜け出す態勢になりながらも差し返されそうになり、最後は頭差2着にヴェロックス、さらにそこから僅か鼻差の3着がダノンキングリーという接戦になった。

ルメールは完勝をアピール。

 それでも、手綱をとったクリストフ・ルメール騎手は「それが何か?」という表情で完勝をアピールした。

「休み明けで100%ではありませんでした。直線で先頭に立った時は、子供っぽいところを出してスタンドにモノ見をしました。それで突き放せなかったけど、苦しくなっていたわけではありません」

 そもそも休み明けで挑んだ理由に関しては、角居調教師はこう言う。

「ダービーを大目標にしたからです」

 角居厩舎の日本ダービー挑戦で思い出されるのがウオッカだ。

ウオッカのダービー制覇の価値。

 今回の皐月賞の僅か2週間前。4月1日に蹄葉炎で死亡したこの名牝は、2006年に2歳馬としてデビュー。阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)を制し2歳女王となった。

 クラシック初戦の桜花賞では後にライバルとして数々の名勝負を演じる事になるダイワスカーレットの後塵を拝する2着。ところがここで角居師は思いもよらないウルトラCを実行に移す。

 ウオッカを日本ダービーに出走させると発表したのだ。

 桜花賞を制し、牝馬に敵無しとなった事で牡馬に挑ませるというのならまだ分かる。しかし、角居師の決断はそうではなかった。桜の女王になれなかったにも関わらず、牡馬相手に頂点を目指すという判断には、当時、驚かされたものだ。

 ところが本当の意味で驚かされたのはこの後だった。日本ダービーに出走したウオッカは、秋には菊花賞を制することになるアサクサキングスに、なんと3馬身の差をつけて圧勝。牝馬としては実に64年ぶりとなる日本ダービー制覇の偉業を成し遂げてみせた。

 いや、確かに64年ぶりの偉業ではあるのだが、半世紀以上前の競馬といえば、現在とはまるで別物であることは明確だ。そういう意味で、角居師の達成した偉業は、現代競馬史上初の牝馬による日本ダービー制覇と言っても過言ではないだろう。

シーザリオでアメリカGI制覇。

 思えば、伯楽が樹立してきた偉業には枚挙にいとまがない。

 2001年に開業すると、4年後の'05年には初の海外遠征を敢行。オークスを勝ったシーザリオをアメリカへ連れて行き、アメリカンオークス(アメリカ・GI)を優勝した。日本調教馬によるアメリカでのGI制覇はこれが史上初めての事だった。

 その翌'06年、今度は場所を南半球にかえて角居師はまたも競馬ファンをアッと言わせる。

 今度はデルタブルースとポップロックの2頭をオーストラリア、メルボルンへ送り込む。両頭はコーフィールドC(オーストラリア・GI)でひと叩きをすると、続くメルボルンC(オーストラリア・GI)ではなんと2頭でゴール前の激しい叩き合いを演じ、結果はワンツーフィニッシュ。南半球最大のレースで誰もが驚く結果を残した。

 そして牝馬ウオッカによる日本ダービー制覇が'07年のこと。同馬はその後、秋の天皇賞やジャパンC、安田記念を連覇するなど、引退するまでに7つのGIを優勝してみせた。

ヴィクトワールピサでドバイW杯制覇。

 また、この牝馬が引退する際、バトンを受け継ぐように厩舎を引っ張ったのがヴィクトワールピサだ。角居師はこの馬で'10年の皐月賞と有馬記念を優勝すると、翌'11年にはドバイへ遠征。現時点で唯一となる日本馬としてのドバイワールドカップ(ドバイ・GI)制覇を達成した。

 当時のドバイワールドカップはダートではなくオールウェザーの一種であるタペタという馬場で行われていた。この適性が芝馬にあると見抜いた角居師は、芝のGIホースでこれに挑戦。“してやったり”の優勝劇を演じてみせたのだ。

 さて、そんな角居師をしてもまだ手が届いていないのがヨーロッパの頂点、凱旋門賞(フランス・GI)だ。

 先述のヴィクトワールピサでは2度挑戦するも、'10年は7着に敗れ、翌'11年は現地で故障を発症。志半ばで緊急帰国した。

 すでに'21年をもって厩舎を解散すると発表している角居師にとって、凱旋門賞に挑めるチャンスは今年と来年の2度しか残されていない。海外GI勝ちのあるロードカナロアとシーザリオの間に生まれたサートゥルナーリア。アーモンドアイとの激突が10月のパリで見られることを期待したい。

文=平松さとし

photograph by Keiji Ishikawa


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