セナ、ジョーダン、ベッカム、ボルト。平成の日本が愛した海外スターたち。

セナ、ジョーダン、ベッカム、ボルト。平成の日本が愛した海外スターたち。

 平成から令和、もうすぐである。

 この30年間でのスポーツ名場面が、大いに語られている。その主役となった日本人アスリートたちを挙げるのも、もう必要ないくらい目にしただろう。

 ただ、平成の世の中を沸かせたのは日本人だけではない。「海外は西暦じゃない?」というツッコミが聞こえてくるが、国境を越えて日本で話題となった外国人アスリートも数多かったのだ。

 そんな彼らや彼女たちの名前、覚えているだろうか?

 プロ野球やJリーグ、大相撲など、日本の各競技団体に所属した経験がない選手たちをベースに、平成時代をにぎわせた主なアスリートを5年ごとに振り返ってみよう。

<平成元年〜5年(1989〜1993年)>
アイルトン・セナ(F1)、マイク・タイソン(ボクシング)、カール・ルイス、セルゲイ・ブブカ(陸上)、マイケル・ジョーダン(NBA)、ジョー・モンタナ(NFL)、アンドレ・アガシ(テニス)

 平成に入ってから真っ先にブームが来たのはF1だ。セナ以外にもアラン・プロスト、ナイジェル・マンセルとキャラクターが際立っていた。そこに古舘伊知郎氏の実況も噛み合って、バブルの時代らしいエンターテインメント性が作り上げられていったのだと思う。

空前のNBAブーム、象徴はもちろんMJ。

 そんな平成と'90年代初頭の華やかさを象徴したのは「ドリームチーム」こと、1992年(平成4年)バルセロナ五輪での男子バスケットボール、アメリカ代表だ。

 ジョーダンをはじめマジック・ジョンソン、チャールズ・バークレー、スコッティ・ピッペンなどNBAのスーパースターが集結。圧倒的な強さで金メダルを獲得した。その主役だったジョーダンだけでなく、バークレーがカップ麺のCMに出たり、数年後にはデニス・ロッドマンがアウトローなキャラで大ブレークした。バスケ人気が社会的現象だったのを象徴している。

無敵の強さを誇ったグラフ、タイガー。

<平成6年〜10年(1994〜1998年)>
アンディ・フグ、ピーター・アーツ(K-1)、ヒクソン・グレーシー(総合格闘技)、マイク・ピアザ、マーク・マグワイア、サミー・ソーサ(MLB)、タイガー・ウッズ(ゴルフ)、マルチナ・ヒンギス、シュテフィ・グラフ(テニス)、ロベルト・バッジョ、エリック・カントナ(サッカー)、マイケル・ジョンソン(陸上)

 メジャーリーグ、欧州サッカー、K-1を筆頭にした格闘技……野茂英雄やカズといった日本人アスリートが海外で戦う中で、日本人がその競技のトップオブトップを目の当たりにすることになった。その代表格はグラフだ。

 1996年(平成8年)のウィンブルドンで伊達公子が勝ち上がり、準決勝でグラフと対戦した。伊達のペースで試合は進んだものの、日没により翌日に順延。NHKがゴールデンタイムで生中継する異例の注目度だったが、最終的にはグラフが勝利。女王のプライドを見せつける形となった。

 ゴルフ界で世界的なスーパースターとなったのは、ウッズだ。1997年(平成9年)のマスターズを大会史上最年少の21歳3カ月で制覇。赤いポロシャツ、タイガーチャージが瞬く間に代名詞となったヒーローが、平成が終わりを迎えようとした2019年(平成31年)のマスターズで復活を果たすのだから、何か縁を感じる。

日韓W杯のベッカムフィーバー。

<平成11年〜15年(1999〜2003年)>
デイビッド・ベッカム、ジネディーヌ・ジダン、ロナウド、オリバー・カーン(サッカー)、イアン・ソープ(競泳)、ミハエル・シューマッハー(F1)、バリー・ボンズ、デレク・ジーター、ランディ・ジョンソン(MLB)、ボブ・サップ(K-1)、ミシェル・クワン(フィギュア)、セリーナ・ウィリアムズ、ビーナス・ウィリアムズ(テニス)、コービー・ブライアント、シャキール・オニール(NBA)、ザ・ロック(プロレス)、リディア・シモン、エリック・ワイナイナ(マラソン)

 この時期の最大のスポーツイベントと言えば、やはり2002年(平成14年)日韓W杯は外せないだろう。その中で大フィーバーとなったのは、カメルーン代表がなかなか来ない大分県中津江村……もそうだが、ベッカムだ。

 端整なルックスと鮮やかな軌道を描くクロス、そしてハードワークもいとわない泥臭さ……それこそ日本中が夢中になった。4年前のフランスW杯ではアルゼンチン戦で退場し、日本での再戦でPKを決める、というストーリー性も最高だった。

 心底どうでもいい余談だが、筆者もソフトモヒカンにした。それほどまでに日本全国でベッカムブームが来ていたのだ。なおトルコの“ちょんまげヘアー”のイルハン・マンスズ、韓国代表のアン・ジョンファンもイケメンで人気を博した。

衝撃が走ったボルトの出現。

<平成16年〜20年(2004〜2008年)>
ウサイン・ボルト(陸上)、マイケル・フェルプス(競泳)、エフゲニー・プルシェンコ(フィギュア)、ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、マリア・シャラポワ(テニス)、ロナウジーニョ、リオネル・メッシ、クリスティアーノ・ロナウド(サッカー)、ミシェル・ウィー、アニカ・ソレンスタム(ゴルフ)、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、エメリヤーエンコ・ヒョードル、ミルコ・クロコップ(格闘技)

 2008年(平成20年)の北京五輪、時差が小さいということもあって日本人は数々の激闘を目にした。しかし何よりも衝撃を受けたのはボルトだろう。最後の十数メートルで胸を叩いて横を見て走ってるのに、9秒69の世界新(男子100m)とボルトポーズは、規格外のカッコよさだった。その8年後のリオ五輪4×100m決勝で、ケンブリッジ飛鳥がボルトと一瞬並んだ瞬間、ボルトがギョッとして横を見たのもまた、記憶に残るシーンだ。

 ボルトとともに圧倒的な強さを見せたのは“水の怪物”ことフェルプスだった。五輪での通算獲得金メダルは史上1位の23個。そのマルチスイマーぶりは、金メダルってこんなに独占できるものなの? と錯覚を起こしそうになるほどだった。

長らくトップに君臨するのは?

 この時期に台頭した有名選手には、今も世界のトップを守るレジェンドも多い。例えばフェデラー&ナダルだ。

 以前から人気競技だったテニスだが、この頃男子がさらに注目を浴びるようになった。それもフェデラーとナダルという理想的なライバル関係があったからこそだろう。2人は21世紀初頭から台頭していたが、もっとも壮絶な戦いを繰り広げたのはこの頃だった。ただその後もずっと強く、なんで今も世界ランキングトップ10にいるんだ……と思ってしまう。

 同じことはメッシとC・ロナウドにも言える。バロンドールを2人で独占した10年間は語るまでもない。それどころかメッシが洗顔で「気持ちいい〜」と言ったり、C・ロナウドが自慢の腹筋を鍛え上げるCMが自然に流れている。今でも海外サッカー選手のシンボル的な存在である。

勝負を引き立たせたライバルたち。

<平成21年〜25年(2009〜2013年)>
ノバク・ジョコビッチ(テニス)、キム・ヨナ(フィギュア)、アビー・ワンバック(サッカー)、丁寧(卓球)、レブロン・ジェームズ(NBA)

 錦織圭、浅田真央、なでしこジャパン……と、世界一を目指す日本人アスリートが各競技で増えたことで、強烈な個性を持ったライバルも現れた。女子サッカーの象徴的存在のワンバックは当初、「センターフォワードなのにワンバック?」なんていう風に言われたが、澤穂希との熱くもフェアな戦いには、胸を打たれただろう。

 名前でインパクトを受けたと言えば、丁寧。ロンドン五輪以降、躍進を続ける日本卓球界だが、卓球王国・中国のエースとして長年立ちはだかってきた。……その名前からして丁寧な感じなんだろうなと思ってたら、闘志満々のガッツポーズにびっくりしたのは筆者だけだろうか。

ITとSNSがスポーツを変えた。

<平成26年〜31年(2014〜2019年)>
ネイマール(サッカー)、ショーン・ホワイト(スノーボード)、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ(ボクシング)、コナー・マクレガー(MMA)、エフゲニア・メドベデワ、アリーナ・ザギトワ(フィギュア)、ルイス・ハミルトン(F1)、マルク・マルケス(MotoGP)、エリウド・キプチョゲ(マラソン)、ステフィン・カリー(NBA)

 ここ近年、スポーツを観る環境がテレビだけでなくインターネットでも広まったことで、スポーツの世界にも莫大な資金が投入されるようになった。

 その象徴的な出来事と言えば、メイウェザーvs.パッキャオ。3分12ラウンドを戦った2人に舞い込んだファイトマネーは、諸説あるが3億ドル(約360億円)という天文学的額だった。「マネー」の愛称で知られるメイウェザーが那須川天心相手にリングに上がったこと自体が驚きだったが、パッキャオもRIZINと契約するとは想像もつかなかった。莫大な金で動いたと言えば、2億2000万ユーロ(約293億円)の移籍金でバルサからPSGに加入したネイマールもそうか。

 SNS全盛の世の中で日本文化やカルチャーが趣味だと発信する海外スターに、親近感が湧くケースもある。ショーン・ホワイトのガンダム好き、ザギトワと秋田犬「マサル」がこんなに大々的に報じられるとは、時代は変わったものだ。

 令和元年はラグビーW杯、そして2020年、令和2年には東京オリンピックが控える。日本でスポーツのビッグイベントが続く中で、日本列島をびっくりさせるような新たな超人は現れるのか。日本人選手の活躍とともに、楽しみにしたい。

文=茂野聡士

photograph by BUNGEISHUNJU


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