小林祐希、中島翔哉らと通ずるもの。東京V藤本寛也がU-20W杯で輝く理由。

小林祐希、中島翔哉らと通ずるもの。東京V藤本寛也がU-20W杯で輝く理由。

 東京ヴェルディは、かつては育成王国と言われ、今もその伝統が受け継がれている。

 過去には菊原志郎、財前宣之ら天才と言われた選手を輩出、3月の日本代表に選出された小林祐希、安西幸輝、畠中槙之輔、さらには今や代表の中心になっている中島翔哉など、能力が高く、個性の強い選手が続々と生まれている。

 また、澤穂希を生んだベレーザは、フランスW杯を戦うなでしこジャパンに10人もの選手を送り込んだ。

 今やヴェルディ出身のプレイヤーが日本サッカー界に大きな風を吹かせているのだ。

左足のキック、中盤ならどこでも。

 今月に開催されるU-20W杯ポーランド2019を戦うU-20日本代表にもヴェルディからユース出身の藤本寛也が選出された。藤本は2018年トップに昇格、昨年は25試合3ゴールという成績を残したキックの精度が高いレフティで、中盤はどこでもこなせるプレイヤーだ。

 大会前最後の試合になったJ2第13節アビスパ福岡戦では3試合連続でのスタメン出場を果たし、右ウイングのポジションで3ゴールに絡む仕事をして3−2の勝利に貢献した。

「勝てて良かったです。ここで勝利することで自分の評価も違ってくるんで」

 コメントからも上昇志向が高いことが窺える。小林も中島もそうだが、これはヴェルディユース出身者に共通している。また、基本的に技術が高い。

 藤本はさらに判断が早く、その状況に応じて点につながるプレーの選択をしている。

 福岡戦の1点目は右サイドで藤本は縦を突いた渡辺皓太にパスを出し、ネマニャ・コイッチの来日初ゴールを導いた。しかも、この時、藤本はコイッチのシュートのこぼれ球を狙ってしっかりと詰めていた。

 3点目は、左サイドでボールを持った際、オーバーラップしてきた奈良輪雄太を使ってパスを出し、そのクロスがオウンゴールにつながった。藤本は自らドリブルでも行けたが、2点目のシーンで自らが起点となって奈良輪を使い、クロスを上げて小池純輝が決めたイメージがあったので、瞬時にパスを選択したのだ。

「1点目、僕が中央に流れてシュートでもいいかなと思ったんですけど、皓太くんが走ってきたので出しました。いい関係が昨年からずっと出来ていたので、この時もパスを出して正解でした。3点目はナラくん(奈良輪)が高いポジションを取っていてくれたので、なるべく追い越す選手を使った方が得点チャンスになる。ナラくんにはいい感じでボールをつけられたと思います」

東京Vでは右ウイング、U-20ではボランチ。

 藤本は、現在のチームでは基本的に右ウイングとして起用されている。

 基本的にというのは試合の中でポジションを変更することが多いからだ。福岡戦も右から左にポジションを変え、コイッチが後半18分にベンチに下がると1トップになった。「ぶっつけ本番でした」と練習でもやったことがなかったようだが、藤本の場合、どこのポジションでも求められるプレーができることが監督の大きな信頼を得ているひとつの要因になっている。

 1トップに置かれた際は、「最前線でボールを収めたり、守備をやってほしい」と監督に言われたというが、藤本は佐藤優平とともに「ボールを前進させないように守備をしていた」という。それを交代する後半31分まで約13分間、しっかりとこなしていた。

 ヴェルディでは右ウイングだが、U-20日本代表ではボランチとしてプレーしている。

 藤本は、「どこをやるにしても常に切り替えて整理しながらやっています」というようにヴェルディのサッカーと代表のサッカーがしっかり分離、整理できており、役割をしっかりと把握してプレーができている。

藤本が上手い“味方の使い方”。

 ただ、国際大会でボランチを任されると体が大きく、強い外国人選手への守備が重要になってくるが、藤本はボランチのパートナーや周囲との連係を高めて対応していく考えだ。

「まだ、最終的に自分がどこをやるのか分からないですが、(U-20日本代表監督の)影山(雅永)さんのサッカーは日本人のいいところを出すサッカーで、ひとりでボールを獲れないなら2、3人で獲るとか、がんばるとか、運動量とかがベースです。さらに自分はボールを奪ったら相手の嫌なところを突いていくとか、走っている選手がいれば使って、逆に自分がパスコースを作る走りをするとか、そういう部分でチームに貢献していければいいかなと思っています」

 福岡戦でも見せたが味方の使い方は、絶品だ。

 たとえば、かつて名手と言われた名波浩や中村俊輔はスルーパスを出した時、どうだと言わんばかりにパスの軌跡を見ていた。だが、藤本はそこから前に飛び出していく。動きが止まることなく、ボールにどんどん絡んでいくのが、藤本の良さであり、凄さだろう。

 もちろん、左足のキックの精度は高い。ヴェルディではプレースキックを任されているし、代表でも蹴るシーンが多い。

「セットプレーがいかに大事かというのは、A代表の試合を観てても分かります。自分たちがセットプレーで点を取るのは大事ですけど、取られないのがより重要ですね。短期決戦のW杯では、そこで勝敗が決まると思うんで。点を取る時、ゴールの80〜90%がキッカーの質で決まってしまうので、蹴る時は自信を持って蹴りたいと思います」

「3人がいなくても自分たちは強い」

 U-20W杯を戦う代表からは主力の久保建英(FC東京)、安部裕葵(鹿島)、大迫敬介(広島)3名らが招集外。とりわけ攻撃の飛車角とも言える久保、安部の不在はチームに及ぼす影響が大きいが、藤本は彼らの不在をモチベーションに変えている。

「僕は、あの3人についていかないといけない。3人がいなくても自分たちは強い。自分たちがいい選手なんだっていうのを見せて行きたいと思っています」

 藤本は、キッパリとそう言った。

 東京ヴェルディは、ユース出身者の平智広らが主力としてプレーしているが、その中でも井上潮音、渡辺、藤本の3人の若手がチームの軸になっている。持ち味はそれぞれ違うが、3人ともこれからが期待される選手であることは間違いない。

 その中で、藤本が世界に挑む。

 前回大会で輝き、オランダへの移籍を決めた堂安律のように、藤本が大会を通して活躍すれば海外からのオファーを得る可能性は十分にある。

 そうなれば藤本は、きっと海外での勝負に挑むはずだ。

 それは、小林や中島のように突き抜けたヴェルディユース出身者が辿る道でもある。

文=佐藤俊

photograph by J.LEAGUE


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