外国籍と帰化選手が上位独占する、Bリーグ得点ランクの特異性とは。

外国籍と帰化選手が上位独占する、Bリーグ得点ランクの特異性とは。

 バスケットボールは、身長が高いと有利と言われ続けているスポーツである。日本が長年国際試合で勝てない理由の1つとして、200cm以上の選手が非常に少ないというサイズ不足が挙げられる。

 2016年にBリーグが創設されて以降、この3シーズンでゲームの質は明らかにレベルアップしてきた。しかし、サイズのある外国籍選手と帰化選手による得点が、チームの命運を左右する状況に大きな変化はない。

 2018-19シーズンのB1を振り返ってみると、得点ランキングのトップ10はいずれも外国籍か帰化選手だった。60試合中51試合以上出場というBリーグのランキング規定に沿って平均得点のトップ20をリストアップしてみても、11位に17.9点の金丸晃輔(シーホース三河)、17位に川村卓也(横浜ビー・コルセアーズ)しかいない。

 B1所属チームの外国籍と帰化選手が今シーズンの総得点に占める割合を調べてみると、最も少ないのは2連覇を達成したアルバルク東京の37.4%。一方で川崎ブレイブサンダースの58.5%を最高に6チームが50%を超えており、45%以上だと12チームまで増える。

NBAはガード、スモールフォワードが。

 日本のトップリーグに所属するチームの長年の傾向。それはサイズとフィジカルの強さを兼備した外国籍のビッグマンが得点源となるスタイルで、今も続いているのは明らか。日本代表のフリオ・ラマスヘッドコーチが、「(日本人ビッグマンの)タレントは不足している」と語ることに驚きはない。

 世界最高のリーグであるNBAも長年、インサイドを支配できるビッグマンの存在が優勝に欠かせない要素と言われてきた。

 しかし、2010年代にNBAの頂点に立ったチームの大半は、得点源となる大黒柱がガードかスモールフォワードの選手となっている。

 196cmのガード、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)が今シーズンのNo.1となった平均得点の上位10人を見ても、210cmを超えるセンターでランクインしたのは4位のジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)しかいない。

なぜ日本はビッグマンが得点源?

 まだレギュラーシーズン中のところもあるが、ヨーロッパ主要国でチェックしてみると、スペイン、ドイツ、トルコのリーグは、トップ10の選手の7割以上がガードかスモールフォワードの選手である。

 中国のCBAは外国籍の大半がガードかスモールフォワードということもあり、トップ10に入った選手はいずれも200cm未満だ。39.8点で得点王となったピエール・ジャクソン(北京フライドラゴンズ)は180cmしかない。

 ここで強調したいことはNBAを筆頭とする多くのリーグと違い、日本はBリーグになってもセンターやパワーフォワード、いわゆるビッグマンと呼ばれる選手の得点が多いという事実だ。

 現代のバスケットボールはスクリーンを使いながら、ボールと選手を動かして得点を奪いに行くスタイルが主流となっている。しかし、Bリーグを見ていると、インサイドアウトが今も重視されているという印象を否定できない。

興味深い「ポストアップ」の数値。

 なぜ、そう思えてしまうのか?

 そのカギは「ポストアップ」(※オフェンスの選手がディフェンスを背負って、ポストエリアにポジショニングする)というプレーが握っていた。

 5月8日、Bリーグ強化育成部の塚本鋼平氏を訪問し、Bリーグ提供データのシナジー(様々な要素で分析できるシステム)を見せてもらった。

 そしてポストアップについていろいろ調べてみると、Bリーグが他のリーグと大きく違う点が明確にわかっていく。

 まず、1試合でポストアップを使った割合を見ていくと、B1は18チーム中13チームが10%を超えていたのに対し、NBAで10%を超えたのはわずか2チームだけ。最も少ないブルックリン・ネッツはなんと0.9%しかなく、1試合あたりオフェンスのポゼッションが115回だったのに対し、ポストアップを使ったのはわずか1回という数字が出たのである。

10%以上を記録したチーム数は?

 B1で最もポストアップの割合が少ないのは栃木ブレックスの7.2%だが、NBAでこの数字よりも高かったのは30チーム中8チームのみ。ヨーロッパのリーグでポストアップの割合が10%以上を記録しているチーム数をチェックしてみると、次のような結果が出てきた。

スペイン・ACB:18チーム中4チーム
ドイツ・BBL:18チーム中4チーム
フランス・プロA:18チーム中3チーム
イタリア・セリエA:16チーム中3チーム
トルコ・BSL:15チーム中1チーム
※B1リーグ:18チーム中13チーム

 中国のCBAは、全20チームが10%未満である。いかにB1に所属するチームの大半が、外国籍や帰化選手のポストアップを重視していることがわかるだろう。

 ポストアップの割合をより詳細に調べてみると、B1が世界各地のリーグよりも明らかに多いこともはっきりした。

 そのデータとは世界各地のリーグを対象に、オフェンスの回数が最低200回以上という条件の下、1試合で行われるポストアップの割合である。

 結果は18.5%の富山グラウジーズが1位、17.8%のシーホース三河が2位、17.2%の新潟アルビレックスBBが3位、14.7%のレバンガ北海道が5位。上位20チーム中7チームがB1というのは衝撃的な数字であると同時に、インサイドアウトを非常に重視しているチームの多さを証明するものだった。

CS進出4チームを見てみると……。

 塚本氏は次のように語る。

「日本はNBAを含めた他の世界のリーグに比べて、ポストアップが多いです。ポストプレーを外国籍選手の強みに頼る現状からすれば、得点の上位10人に日本人選手がいなくても不思議ではないと思います」

 ただし、2018-19シーズンのB1を振り返ってみると、チャンピオンシップのセミファイナルに進出したアルバルク東京、千葉ジェッツ、栃木ブレックス、琉球ゴールデンキングスは、ポストアップの割合が少ない上位4チームだった。

 外国籍選手を軸にしたインサイドアウトに頼りすぎず、日本人選手もしっかり得点に絡める形を持ちながら、現代のバスケットボールを遂行しているチームが、いい結果を出しているのは間違いない。

文=青木崇

photograph by AFLO


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