動員数も上昇、盛り上がるバスケ界。今こそ、経営の“質”を見直すべき。

動員数も上昇、盛り上がるバスケ界。今こそ、経営の“質”を見直すべき。

 Bリーグ開幕以来、千葉ジェッツは継続的に成長を続ける中で、2017-18シーズンチャンピオンシップファイナルではアルバルク東京に敗れ、この1年、ヘッドコーチの大野篤史を筆頭にチームとして「再びあの舞台に立ち、必ずリベンジする」と、最後の大勝負で力を発揮できるようアプローチを行ってきました。

 しかし、そのためにはチャンピオンシップという舞台に立ち、さらにはホームコートアドバンテージを獲得しなければ、ファイナルまでたどり着くには険しい道のりです。

 まず、カンファレンス1位、ないしは2位に入っていなければならない。アルバルク東京や栃木ブレックスなどチャンピオンシップ常連のチームがいる東地区では、常に負けられないというプレッシャーを感じながら戦ってきました。

 その緊張感が結果的に選手を強くし、ブースターの大声援の力も借りながら52勝8敗の史上最高勝率につながり、天皇杯3連覇、東地区連覇、そしてチャンピオンシップファイナルまで勝ち上がることができました。

 ファイナルでは67-71と敗れ、昨年と同じ悔しさを味わうこととなってしまいましたが、最後の最後まで勝つことを強く信じて戦う姿を観ていて、選手個々、チームとしてのメンタルタフネスという面では大きな成長を感じています。

経営数値はリーグトップ、未来につながる敗戦。

 千葉ジェッツは2018-19シーズンで最高勝率を始め、天皇杯、東地区優勝、さらにビジネス的な面でも売上高1位、観客動員数1位、SNSフォロワー数1位とほぼすべての経営数値において、Bリーグトップを走ってきました。

 しかし、このように数字を伸ばし続けている時期こそ、一歩間違えると歯車が狂うもの。タイトル獲得や歴史に名を刻むなど、スポーツ界にとって大切なアワードはもちろん手に入れたいものであり、悔しさに変わりありませんが、一方では未来につながる敗戦だと前向きに受け止めていければと考えています。

顧客満足度を高める施策が課題。

 今季のシーズン開幕前に私は数字を追求しすぎず、質を高めることにフォーカスして観客の満足度を高めたいと話していました。それは、昨季は観客動員数が増えて継続的に成長できたものの、少し経営の質が下がっていると感じたからです。

 こうした意識をフロントスタッフとも共有し、目標に掲げ取り組んできましたが、質を上げるプロセスはまだまだ不十分だったと反省しています。

 2018-19シーズンの平均観客動員数は、その1シーズン前を上回る5204名でした。あえて増加させることに特化せず、むしろ少し減らしてとしても、その分、満足いただけていないお客様を減らすために、サービスをしっかりと行う。そのため数字を追わずに……と考えていました。

 しかし、シーズンが終盤に近づくにつれ、どんな席でも試合が見たいという声も多くいただき、最終的にチームとしてより多くの座席を販売するという判断に至りました。

 ただ、これとは別に、顧客満足を追求することをテーマにしていた割に、組織的にお客様が満足するような状況を把握、対応しきれていなかったという気はしていますし、我々が取り組めることはもっとあったのではないかと反省しています。これは来季に向けて積極的に修正していきます。

スポーツは未来永劫、勝つことは不可能。

 最終的な数字は確定していませんが、今季は売上も昨季から約3億弱増となる17億円を見込んでおりますが、千葉ジェッツにとっては、今、このタイミングが非常に重要なターニングポイントになるとみています。

 レギュラーシーズンの結果が52勝8敗ということは、つまり、ご来場いただいたファンの皆様方には(試合で)勝った姿をお見せすることが多いということです。必然的に会場は盛り上がり、チケットやグッズの販売数、ファンクラブの入会数にもつながっていきます。

 要は今の商売繁盛の様というのは、我々がビジネスで頑張り、投資をしたことでチームが強く魅力的になったからこそ、その魅力がお金に換金されていると言えます。さらにチームの魅力とホスピタリティやエンタテイメントの総合的な価値で売り上げが伸びています。

 チームとフロントは魅力の共存のなかで成長しながら、売上に対して何らかのインパクトを与えていきますが、今が一番、多少粗が見えてもチームの魅力で凌駕されてしまう時期なのです。

 成長という意味では、そのフェーズまで到達した部分に関しては評価できますが、スポーツチームの難しい側面としては、未来永劫、勝ち続けるわけではなく、良い時があれば悪い時もあるということです。チームが後者に陥った時に、場合によっては、そこで以前とは同じマインドでは臨めない場合もあるわけです。

良いときこそ、アプローチの見直しを。

 どうしても気づきづらい面ではあるのですが、良いときこそ我々のサービスが本当に正しいアプローチであるのか、お客さまへ正しいサービス提供を行っているのか、ホスピタリティは一定の水準に達しているのかを見直さなければなりません。

 そういった意味で来季はもう一度、フロントを強化し、チームもさらに強化。落ちづらい状況が作れる組織づくりを行っていきたいと思っています。

 さらに、以前から何度か話をしているように、「脱・島田」より私に依存しない会社にしていくことが必要だと考えています。徐々に私の色を薄めていく。それこそが再三このコラムでもお話ししているように、100年続くクラブの礎になると確信しています。

(構成・石井宏美/Number編集部)

文=島田慎二

photograph by B.LEAGUE


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