西武ドラ6森脇亮介は遅咲きの26歳。新人っぽくないリリーフの心得。

西武ドラ6森脇亮介は遅咲きの26歳。新人っぽくないリリーフの心得。

 ときにはリードしている場面で、そして、ときにはビハインドの場面で、中継ぎ投手としてマウンドに上がる。ドラフト6位ルーキーの森脇亮介は6月10日現在、13試合に登板し2勝2ホールドの成績を残している。

 日本大からセガサミーを経て26歳でライオンズに入団した。

「先発が多かったのは昨年くらいですね。その前は試合の途中からも投げていましたし、リリーフはプロに入って初めて経験するというわけではないです」

 当初はビハインドの場面でマウンドに送られることが多かったが、結果を残し、徐々にリードしている戦況でも登板する機会が増えた。

「失点するイコール、チームの負け」

「気持ちはあまり変わらないです。リリーフで行っている以上、どんな試合展開でも点は取られないことを一番に考えるのは基本。勝っているときも、負けているときも、自分が失点することイコール、チームの負けを意味すると考えています。だから気持ちの持ち方は、リード、ビハインドでは変わらないですね」

 おっとりとした口調で淡々と語る。

 試合の勝敗を左右する責任の重さについて問いかけると「あえて考えないようにしているかもしれないですね」と笑った。

 6月1日の千葉ロッテ戦では1点リードの7回に登板した。ヒットと死球で1、2塁とされ中村奨吾に同点タイムリーを浴びた。その後、延長戦に入りライオンズはサヨナラ負けを喫した。

「打たれて交代したら、リリーフ投手は次の日しか挽回するチャンスはありません。ベンチに入っている以上は、どういう風にチームの役に立つかってことを考え続けないと……」

新人らしくない、達観した考え方。

 交代を告げられ、ベンチに戻ったあとはなるべくすぐに気持ちを切り替えるようにしていると話す。

「そうは言っても、その日のうちは切り替えられないですね。寝て、朝になって、やっと少し忘れるというか……。『引きずらないように』とは心がけています。それは、結果が良かった日も悪かった日も同じ。良かった結果も引きずらないようにしています」

 常にフラットな状態で試合開始を迎えているという。森脇の新人らしからぬ落ち着きは、どこか達観しているような、その考え方のせいでもあるようだ。

 森脇は続ける。

「野球は相手もいることなので……。割り切ることがいちばん大事かなと思います。どれだけ調子がよくても、野手と野手の間に落とされたらヒット。もちろん、配球とか、どう攻めた結果だということは意識して考えなければいけないけれど、寝て、朝起きたらまた試合が待っています。

 これから始まる試合で、絶対に同じ状況は来ない。それなら終わったことに引きずられるより、切り替えて、その日の自分の体のコンディションを考えて、その日はその日のことだけを考えるほうが大事なんじゃないかと思っています」

「その日の100%を出せれば」

 ブルペンでの調子の良し悪しも、気に病まないように努めている。

「社会人時代に何度かリリーフを経験している間に、そう考えるようになりました。どれほど調子が悪くて、ど真ん中に135kmのストレートが行ってしまっても、打ちやすいボールが行っても、バッターが見逃したらストライクだし、打ち損じてくれることもある。

『調子が悪いから絶対に抑えられない』とは限らないですよね。だからその日の自分の100%を出せれば、と考えています」

 リリーフ投手の心得は社会人時代に培った。プロに入って周囲の選手を観察することはあっても「投手としてのタイプも違うので、自分は自分のやり方を見つけられればいい」と我が道を行く。

ブルペンでの投球数に変化が。

 ただし、プロになって変わったことがひとつある。ブルペンでの投球数だ。

「なるべく少ない球数で済むようにはしています。試合経過を見て、先発投手の球数を見て、6回で何球だとか、5回で何球だとみて、『そろそろ準備をしたほうがいいな』と」
以前までより球数が少なくて済むよう、より慎重に戦況を読むようになった。

 現在、登板している投手の球数はさほど多くなくても、前の打席でホームランを打たれている等、対戦を避けたいであろう打者が控えている場面では、「もしかしたらそこでの交代もあるな」

 このように、心の準備は欠かさない。

 即戦力との周囲の期待に十分応えているように見えるが、森脇自身はどう感じているのか。

「手応えですか? うーん、まだあまりないですね。もっとしっかり投げられれば……みたいな思いはあるんですけど。自信を持つのにはまだ早いかなと思います。逆に『これで大丈夫や』とはこの先も思わないでしょうね。満足してしまうのはダメだと思う」

社会人2年目に“やっていける”。

 足を引っ張り上げるような独特のフォームは社会人時代に習得した。テイクバックの際に体に腕が隠れて、見えにくくなるよう工夫もした。

「投手として、やっていけるかなぁと思えたのは本当に最近です。社会人2年目くらいですかね。それまでは、ずっとフォームや投げる球に試行錯誤していて、悪く言えば芯がなかった。まとまっていなかったです」

 もともとストレートにスピードはあった。武器となるフォークボールを習得したのは社会人1年目の秋と、遅咲きの投手である。裏を返せばまだまだ伸びしろのあるピッチャーともいえるだろう。

「結果が出なければクビ」の心境で。

 ライオンズの投手事情を思えば、今後も登板の機会は数多く訪れるはずだ。

「社会人時代、2年目くらいまではプロを目指していたんですけど、3年目、思うような結果出せなくて、徐々に自信を失って、プロという目標も見失いました。4年目に『今年1年で結果が出なかったらクビや』と思って取り組んだんです。

 プロ入りとか、この先何年野球をやろうとかじゃなくて、都市対抗2回戦止まりだったセガサミーの戦績を更新しよう、そのために投げようと考え方を変えたら、急に結果が出るようになりました。それまでは自分が活躍してプロになるんだって思っていたのに、不思議ですよね」

 フォア・ザ・チームの思いがプロの舞台でも森脇の成長につながるか。

「目の前の目標は、今日も0点に抑えることです」

 ルーキーらしからぬ落ち着いた表情で、相手打者を抑える姿を見たい。

文=市川忍

photograph by Kyodo News


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