今年のドラフトは大学生捕手が目玉?北海道には再来年の1位候補も登場。

今年のドラフトは大学生捕手が目玉?北海道には再来年の1位候補も登場。

 今年の「全日本大学選手権大会」は、明治大学が6回目の優勝を飾って、幕を閉じた。

決勝の相手は、佛教大学。こう言っては失礼であろうが、予想外の相手だったというのが、明治大にとってもほんとのところだったのではないか。

それほどに、この「大学選手権」という大会は、毎年ほんとに油断ができない。どこからどんなチームが、どこからどんな選手が飛び出してくるかわからない。それだけに、見守る側からしてみれば、こんなに胸躍る楽しみな大会もないのである。

準決勝、佛教大が東海大を逆転で破った試合を見ながら、あるスカウトの方とこんな話になった。

「この佛教大の八木(左翼手)っていう選手、今のヒットで今日(東海大戦)4本目なんですけど、これでこの大会10本ぐらいヒット打ってるはずなんですよ」

スカウトもノーマークだった佛教大・八木。

実際、佛教大のリードオフマン・八木風磨左翼手(3年・176cm68kg・左投左打・京都北稜高)は決勝戦までで8安打を放ち、7割以上の打率をマークしていた。

「今日で3試合見てますけど、最初は“控え”だったのに、見るたびにどんどん上手くなっている。試合をするたびに、試合の中で、どんどん新しいことができている。最初は、バットコントロールが上手いなぁ……ぐらいの印象だったのが、試合が進むにつれて難しいボールに体全体で反応しながら、ヒットゾーンに打球を運ぶ技術を開発しているように見える」

大会前には、関西担当のスカウトからも彼の名前は挙がっていなかったという。

「“甲子園”で上手くなっていく選手って、毎年いるじゃないですか……去年の吉田輝星みたいに。大学にもね、この“選手権”で上手くなっていく選手がいますよね、毎年見てると」

 甲子園特有のアドレナリン。それが強烈に作用してビカビカッと輝く球児というのもいるから、いきなり信じてはいけないけれど……と前置きしつつも、「今度の週末に京都で、関西の大学リーグのオールスター戦みたいのがあるんで、そこでも同じようなプレーをしてくれたらね」と。

“リストに載ってくるでしょうねぇ……”

そこまでは言わなかったが、そんな口ぶりだったのは間違いなかった。

東海大・海野の「甲斐キャノン」級の鉄砲肩。

 今年は、珍しくアマチュア球界に「捕手」の人材が豊富な年のようだ。

大学選手権にも、東海大・海野隆司(4年・172cm78kg・右投右打・岡山関西高)に東洋大・佐藤都志也(4年・181cm83kg・右投左打・聖光学院高)……ドラフト上位、場合によっては1位があってもおかしくない逸材が登場。ネット裏から熱い視線を浴びていた。

海野と佐藤、どっちが上?

そんな会話も秘かにささやかれていたが、タイプが違うから、どっちが上とも結論が出なかった。

「甲斐キャノン」を必要としている球団なら、東海大・海野隆司だろう。

今すぐプロに放り込んだって、間違いなくトップクラスの鉄砲肩。しかも、崩れた体勢からも二塁ベース上に“ストライク”が投げられる精度の高さと、投手が投げた際どいコースの球にも上体がピクリとも動かず、“ストライク”に見せる技術抜群のキャッチング。

 さらには、強烈なショートバウンドのスライダー、フォークも衝撃を吸収して前に落とせるのも、タテの速い変化全盛の今の野球にはポイントが高い。

打てる捕手なら東洋大・佐藤。

「打てる捕手」を求めるなら、場合によってはその俊足を活用し、捕手以外のポジションの可能性も含めた使い途のバリエーションまで求めるのなら、東洋大・佐藤都志也だ。

相手の失投を見逃さず、センターから右中間方向へのライナー性の長打に仕留めるスタイル。低い角度で外野を抜いていく鮮やかな軌道には、芯で捉えて強く振り過ぎないというバッティングの極意が秘められているようにさえ見える時がある。

 スローイングは、上に行ったら直されることがあるかもしれないが、ロングのスナップスローが出来るから、高校時代の内野手でバッティングをより生かそうという選択もあろう。

この大会は惜しくも逸したが、慶應義塾大には郡司裕也(4年・180cm83kg・右投右打・仙台育英高)、立教大にも藤野隼大(4年・181cm85kg・右投右打・川越東高)という捕手の実力者がいる。捕手に課題を抱えている球団は、今年獲っておかなくていつ獲るの? そんなドラフトになりそうな気配である。

星槎道都大・松田は津軽海峡を渡る?

さらに今年、早くも再来年の「ドラフト1位」を予感させるような捕手が、北海道の大学から現れたから驚いた。北海道の大学からドラフト1位で「捕手」が指名されるとしたら、おそらくドラフト史上初めてだろう。

 かつて、青森までは北上している。2001年のドラフト会議で、青森大学からあの細川亨捕手が1位指名に相当する「自由競争枠」で西武ライオンズに入団しているのだ。「ドラ1捕手」の栄誉が津軽海峡を渡るかどうか、そのカギを握るのが星槎道都大学・松田彪瑠捕手(2年・172cm88kg・右投左打・釧路江南高)。

 抜群のディフェンス能力とスイングのヘッドスピード。捕手になるために生まれてきたような、なんともいい雰囲気を併せ持った“逸材”である。

猛烈ショーバンもミットの中に。

 猛烈なショートバウンドのタテの変化球を完璧に前に止められる捕手は、東海大・海野捕手のようにたまにはいるが、この星槎道都大・松田捕手はその猛烈ショートバウンドをミットの中に納めてしまう。

東海大・海野捕手のキャッチングにも感心させられたが、松田捕手の技術には驚かされた。それも「どーってことないですよ……」って感じで、さりげなくミットの中に捕球する。

打てば、猛烈な打球スピードだし、鋭い変化球にとっさに反応して内野の向こうに落としてみせる。もちろん、腰を割ったままの姿勢からまっすぐな軌道の送球を二塁ベースの上にポンと置ける強肩である。

 まったくの「先物買い」だが、なんなら、今年の「日米大学野球」の一員に加えて、今から“研修”させてあげたくなるような才能の持ち主だ。

明治復活で幕を閉じた春、さぁ夏は?

 北海道からは、東京農大北海道の捕手・古間木大登(2年・183cm86kg・右投左打・遠軽高)が、ひと足先に「候補」に挙げられていた。こちらも技術的にはまだ粗けずりだが、スケールの大きなプレーが魅力の大型捕手。星槎道都大・松田彪瑠には、追いかける“目標”として格好のライバルができたことになる。

今年の選手権の準決勝と決勝は、梅雨明けみたいなさわやかな快晴のもとで行われた。

 優勝を飾った「明治大学」が38年ぶりの日本一と聞いて、へぇーっと思った。もっとちょいちょい優勝しているような印象があったからだ。それだけに辛抱の時間の長さに敬意を表しながら、心より「おめでとうございます」と申し上げたい。

 学生野球の春が終わって、アマチュア球界は高校野球と都市対抗の夏へと向かっていく。

文=安倍昌彦

photograph by Kyodo News


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