オリジナル曲、独自の選曲が急増!2019夏の甲子園、ブラバンBEST10。

オリジナル曲、独自の選曲が急増!2019夏の甲子園、ブラバンBEST10。

 星稜を破り、履正社が初の日本一に輝いた101回目の夏の甲子園。今大会も、数々の名勝負と熱い演奏をアルプススタンドで観戦。全出場校49校の応援は、どれも素晴らしいものばかりでしたが、なかでも特に心に残った印象的な応援を紹介したいと思います。

10位/仙台育英
『スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス』

 1964年の映画『メリー・ポピンズ』の劇中で歌われる楽曲を、今大会から得点曲として採用。点が入ると天理高校の『ファンファーレ』を演奏する学校が圧倒的に多く、同校もご多分に漏れずそうだった。

「他では使っていない曲に変えたいと思い、この曲で点が入って幸せな気持ちを表現したかった」とは、応援をまとめるホルンパートの熊谷薫君。ディズニー音楽らしいハッピーなメロディが、アルプススタンドを明るく盛り上げていたのが印象的だった。

9位/高岡商
『ザ・ホース』

 チャンステーマとして使われる同校の名物曲。ジェシー・ジェイムズ作曲のマーチングでよく使われる曲で、マーチング強豪校ならではのキビキビとした動きも秀逸。野球部と一般生徒がメガホンで「T・A・K・A・S・H・O! ゴーゴーレッツゴーレッツゴー高商!」とコールし、素晴らしい一体感も魅力。

沖縄代表校が歌うとひと味違う。

8位/沖縄尚学
『ダイナミック琉球』

 沖縄では運動会のエイサーで使われるなど、県内で知名度の高い楽曲だが、近年は高校野球の応援曲としても全国的に人気がある。

「海よ 祈りの海よ 波の声響く空よ 大地踏み鳴らし叩く 島の太鼓(てーく)ぬ響き」という歌詞を、野球部員1人がアカペラで歌った後に全員で歌う、というパターンが多いのだが、沖縄代表校が歌うこの歌はやはりひと味違う感慨深さがあった。同作品をカバーしている、沖縄出身のシンガーソングライター・成底ゆう子も現地で観戦。「地元の学校が応援でやってくれて感動もひとしお。泣きました」と感激していた。

 ちなみに、演奏は長年に渡りすべての沖縄代表校の友情応援を引き受ける市立尼崎高校吹奏楽部が担当。今夏も、日程が重なる吹奏楽コンクールと調整しながら、アルプススタンドに駆けつけていた。

偉業を後押しした“魔曲”。

7位/智弁和歌山
『ジョックロック』

 高校野球ファンの間で“魔曲”と呼ばれるチャンステーマ。17年ぶりに実現した明徳義塾との名門対決で、0−1の7回にこの曲が鳴り響くと大会タイ記録となる1イニング3本塁打で逆転に成功。2000年夏の柳川戦(11回裏に7−6で逆転サヨナラ)、2006年夏の帝京戦(9回裏13−12で逆転サヨナラ)など数々の伝説を作ってきた魔曲が、今回もまた新しい記録を引き起こした。

6位/習志野
『星空のディスタンス』

 THE ALFEEの大ヒット曲を応援曲として使用。以前コンサートで「生徒の親世代も喜ぶ曲を」と演奏したところ、「応援曲にもいいのでは」と顧問の海老澤博氏が思い立ち、応援用に編曲した。歌詞の「星空の下のディスタンス」を、「青空の下のディスタンス」と歌い、アルプススタンドから心からのエールを送る姿にグッときた。

 ちなみに、応援曲に使うことを知ったTHE ALFEEから、吹奏楽部にドリンクの差し入れと激励のメッセージが届いたという。

衣装が印象的なKUMAKO。

5位/熊本工
『新サンライズ』

 チャンステーマとして演奏する同校の名物曲。勇ましい曲調で、マーチング強豪校らしく随所に動きも取り入れながら、グラウンドで戦う選手たちを勇気付けた。マーチングの衣装と羽根付き帽子の正装で演奏するのが伝統で、「この衣装に憧れて入部する」という生徒も多いという。

4位/星稜
『星稜コンバット』

 約40年前から演奏しているオリジナル曲。当時の教員・松田正道氏が作曲。半音の上り下りが特徴的で、「陸の帝王! 星稜!」とコールしながら、決勝戦でも何度も鳴り響いていた。

 吹奏楽部は例年に比べて部員が倍増した。今年のセンバツでは“美爆音”で知られる習志野と対戦。4月の新入生を対象とした部活説明会行事で、野球応援の魅力について話した顧問の下村健治氏が、「習志野さんと対戦して、向こうは160人。うちは40人で寂しかったので、皆さんの力を貸してください!」と冗談交じりに新入生たちにアピールしたところ、例年の倍近い40人の1年生が入部。

「野球応援がしたい」と入った生徒も多く、さらに音の厚みが増した、重厚なハーモニーの『星稜コンバット』がアルプスに響き渡っていた。

『タッチ』の挿入歌に驚き!

3位/國學院久我山
『一本』

 アニメ『タッチ』の挿入歌『星のシルエット』が原曲のチャンステーマ。主題歌を使う学校は多いが、挿入歌を使う学校はこれまでに見たことがない。「一本出せよ ここで一本出せよ 俺らの夢をお前に託した 勝利をつかめ」という替え歌の歌詞と、どこか哀愁漂うメロディが見事にマッチし、何度も得点を呼び込んだ。

 野球部の応援団長・山城孝太君は、「多用すると“魔曲”効果が薄れる気がするので、ここぞという時に使うようにしている」と話す。

センバツ敗戦後に作ったオリジナル曲。

2位/津田学園
『Snarl』

 今年の県大会から取り入れたオリジナル曲。マイナー調で、「何かが起こりそう」というような不安感に揺さぶられ、かつ勇ましさを感じた。今年のセンバツで龍谷大平安と当たり、同校の代表曲『あやしい曲』に追い込まれ2−0で敗れたことがきっかけで、「うちもオリジナル曲がほしい」と、野球部が吹奏楽部に相談。

「選手が打席で奮い立つような曲を」と顧問の菅原香南氏が作曲し、野球部と吹奏楽部が「この部分をもっとこうしたい」などとアイデアを出し合いながらブラッシュアップし、みんなで完成させた。最初は「チャンステーマ」と呼んでいたが、野球部が「牙をむいてうなる」という意味の『Snarl』と命名した。

カープも歌う広島商発祥の1曲。

1位/広島商
『宮島さん』

 広島東洋カープが得点時に歌う曲として知られているが、発祥は広島商。生徒手帳にも歌詞が載っており、入学すると校歌や応援歌とともに「必ず覚える曲」のひとつだ。

「宮島さんの神主が 御みくじ引いて申すには 何時も広商は 勝ち 勝ち 勝ち 勝ち」

 原曲は、日本人なら誰もが知っている唱歌『花咲爺』。いわゆる「花咲かじいさん」だ。

 今大会では、高岡商や石見智翠館も得点時に演奏していたが、広島商は9回で同曲を披露。速めで勢いのある得点演奏とはまったく異なり、ゆったりとしたテンポで生徒たちが歌う『宮島さん』は非常に厳かで、間近で見ていて思わず鳥肌が立った。

多様性が増す高校野球応援。

 101回目の甲子園。全出場校を観戦して感じたのは、『サウスポー』や『ルパン三世のテーマ』、『紅』『さくらんぼ』などの根強い定番人気曲が受け継がれる一方で、オリジナル曲を作ったり、他校では使われていない曲をセレクトしたりと、独自色のある応援曲を演奏する学校が増えてきたということ。

 ますます多様性が増してきた高校野球の応援。「音楽の力」で、グラウンドで戦う選手たちを後押しし、独自の進化を遂げる日本ならではのこの吹奏楽文化を、これからも楽しみに見守っていきたいと思う。

文=梅津有希子

photograph by Yukiko Umetsu


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