格上の日本がベストメンバーを招集。森保監督の人選を支える2つの理由。

格上の日本がベストメンバーを招集。森保監督の人選を支える2つの理由。

 みなさん、こんにちは。

 8月30日にサッカー日本代表のメンバー23人が発表されました。9月5日にカシマスタジアムでパラグアイ代表と戦い、10日にカタールW杯2次予選の初戦となるミャンマー代表とのアウェーマッチに臨むことになります。

 驚いたのは森保一監督がベストメンバーを揃えてきたことです。歴代の監督であれば「そう来ると思っていましたよ」と流すだけなのですが、これまで残留争いなど所属するチームの状況やポジション争いを含めて招集に一定の配慮を示してきた指揮官だけにちょっと意外に映りました。

 ただ「ちょっと」と記したのは、一方でベストメンバー路線の可能性も感じていたからです。今回のメンバー選考から何が見えてくるのか、私なりの解釈を説明させていただきます。

楽なグループなのは間違いないが……。

 いよいよカタールW杯2次予選がスタートします。日本はキルギス、タジキスタン、ミャンマー、モンゴルと同じF組に入りました。各組1位及び、2位の成績上位4チームが最終予選に駒を進めることができます。

 F組のなかで今年1月のアジアカップに出場しているのは日本のほかにキルギスのみで、ライバルの韓国やイランなどと比べれば楽なグループに入ったと言っていいでしょう。

 しかしワールドカップ予選に「死の組」はあっても「天国の組」はありません。というのも広大なアジアのアウェーでは長距離移動、気温差、ピッチ、環境など相手チーム以外との戦いが待っています。初戦の舞台となるミャンマーは雨季にあたるそうで、高温多湿の厳しい戦いが待っていると考えていいでしょう。

 またワールドカップ予選特有のプレッシャーがチーム、選手たちにのし掛かってきます。前回は初戦、ホームでシンガポール代表と戦い、スコアレスドローに終わったことでいきなり逆風からのスタートとなりました。

久保や堂安の見送り案もあったはず。

 気を緩めてはいけないのは確かです。ただ、日本が格上であるのは明らかで、無理を強いるところでもありません。

 今夏、欧州への移籍、または欧州内移籍に踏み切った選手が、シュミット・ダニエル、安西幸輝、冨安健洋、柴崎岳、遠藤航、中島翔哉、堂安律、久保建英と23人中8人もいます。欧州のシーズンは開幕したばかりで特に堂安、久保は移籍して間もありません。

 チームに馴染む重要な時間と考えれば堂安や久保のみならず、移籍した選手の見送りについてはおそらく検討したはずです。所属するチームでしっかりと試合に出ることが、何よりの強化になるからです。ミャンマーの気候を考えれば、真夏の日本で戦っている国内組を増やす手段もあったはずですから。

 しかし森保監督はベストメンバーに踏み切りました。その意味を考えたいと思います。なぜなら目の前の事象だけを考えて、チームづくりを進めていく人ではないからです。

久保はすでに「お客さん」ではない。

 2次予選の初戦を、新しいスタートと位置づけている感があります。キャプテンの吉田麻也の招集はアジアカップ以来となります。6月の親善試合で活躍した永井謙佑、橋本拳人、そしてコパ・アメリカでA代表でも十分通用すると証明した久保、板倉滉が引き続き選ばれました。

 中間発表としてここでベストメンバーを集めることが、彼らに評価を示すことになると言えます。日本代表への帰属意識を強め、そしてまたワールドカップ予選に対する覚悟を求めることになります。

 つまり久保に対しても、もう「お客さん扱い」ではないということです。18歳への配慮よりも、1人の日本代表として所属チームと代表の両立を求めていってほしいというメッセージでもあると感じます。

23人がプレーする場所はなんと11カ国。

 森保監督はベテランや経験豊富な選手に対してはローテーションの配慮がありましたが、むしろ若手に対しては堂安への対応を見ても代表活動のなかでも芽を伸ばそうとしています。

 日本代表の自覚、代表の宿命。そういったものを継続して呼ぶことで植えつけていこうとしている。日本代表と所属チームとの両立ができていけば、久保も堂安と同じサイクルに入ることになると筆者は理解しています。

 また、ここでベストメンバーを組んだもう1つの狙いとして、これから先の戦いにおける“模擬実験”にしたいとの思いもあるように感じます。

 招集メンバーの所属を国で分けると日本4人、ドイツ、ベルギー、ポルトガル各3人、スペイン、オランダ、フランス各2人、イタリア、トルコ、イングランド、オーストリア各1人。何と11カ国にも及びます。それぞれコンディションにバラつきがある彼らが一堂に会し、1戦を挟んでアウェーに出てどれほどの試合ができるのか。

 コンディション調整においてワールドカップ予選一発目の試合の貴重なデータを踏まえ、うまくいかなかったところを改善していきながら最終予選につなげていく。その意味でも最初にベストメンバーを組んでおきたかったのではないでしょうか。

五輪のためにAマッチを使うことも?

 今回、東京五輪世代のU-22代表も北中米遠征を行ないます。この世代の海外組は前田大然、安部裕葵ら今夏、一気に増えました。アンダー世代の代表は強化試合に招集の強制力は働かないため、森保監督はこれから先、彼らをA代表の国際Aマッチに招集していくことも考えているはずです。

 A代表、五輪代表とセットで強化するパターン。ベストメンバーで2次予選をずっと戦うということはないでしょう。逆に2次予選の突破が決まれば、東京五輪世代中心のメンバー構成で「消化試合」に臨むことも考えられます。そのためにもミャンマーとのアウェーマッチではしっかりと勝ち点3を積み上げる必要があります。

ベストメンバーを呼んだ意味を残したい。

 今後、ベテランや経験豊富な選手のローテーション化も、進めていくとは思います。今回はケガもあってセンターバックの昌子源が外れましたが、吉田麻也とそろうケースはひょっとすると勝負の1戦限定になるかもしれません。ただ先ほども申しましたとおり、若い選手は別でしょう。

 継続的に呼ばれることになる若手はこれまで以上に、タフなメンタルとコンディション維持が求められます。今回も久保が注目を集めていますが、個人的にはコパ・アメリカのエクアドル戦で評価を上げた東京五輪世代の板倉がA代表でどんなプレーを見せてくるのか、楽しみです。

 ベストメンバーに込められた意味。

 森保監督としては好発進、好発信といきたいところでしょう。

文=二宮寿朗

photograph by Getty Images


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