久保建英はマジョルカでどう輝く?右サイドは激戦、適性はトップ下か。

久保建英はマジョルカでどう輝く?右サイドは激戦、適性はトップ下か。

 3節を終えて1勝2敗。久保建英の加入で注目を集めたマジョルカは、勝ち点3の14位という成績で代表ウィークによる中断を迎えた。

 2−1で制したエイバルとの開幕戦は、開始早々に先制できたことで堅守速攻の得意な展開に持ち込むことができた。だがその後の2試合は完封負け。いずれも前半は善戦していたのだが、決めるべきところを決めきれない詰めの甘さが勝敗に響いた印象だ。

 とはいえマジョルカは7シーズンぶりのプリメラ(1部)昇格で、わずか2シーズン前はセグンダBで戦っていたチームなのだから無理もない。この3試合で先発した11人のうち、プリメラでのプレー経験が豊富と言えるのは34歳のマノロ・レイナと35歳のサルバ・セビージャ、2人のベテランしかいなかった。

昨季とほぼ変わらない顔ぶれ。

 自身もプリメラ初挑戦となるビセンテ・モレノ監督は、今季で就任3季目となる。コンパクトに整ったブロック守備とスピーディーで直線的な速攻を武器に、2季連続の昇格という偉業を成し遂げた、売り出し中の指導者である。

 44歳の指揮官は守備面で緻密なポジショニングとハードワークを求め、昨季までに作り上げたベースを重視したチーム作りを行っている。3節までに先発起用した新加入選手は左SBのルモール、2列目のフェバスの2人のみで、他の9人は昨季の顔ぶれと変わっていない。

 守護神レイナと右SBのサストレ、CBのバルイェント、ライジョは不動。左SBの定位置は9月2日に加入したラフマンがルモルと争うことになる。

 中盤では昨季終盤に台頭したカンテラーノ、驚異のスタミナと機動力を誇るガーナ人MFババが守備に奔走。その横で司令塔のサルバが攻撃を組み立て、レアル・マドリー出身のフェバスはよりFWに近い位置でチャンスメイクを担う。

 左サイドのファーストチョイスは昨季チーム最多11ゴールを記録したラゴ・ジュニオル。右のダニ・ロドリゲスと同様に馬力ある突破力を武器とするフィジカル系アタッカーで、2人は守備面のハードワークも含めて欠かせない存在となっている。

バレンシア戦で出た右MFは激戦区。

 1トップには昨季半ばに加入したクロアチア人FWブディミールが起用されているが、プリメラで1トップを張るには少々荷が重い印象がある。

 怪我で出遅れたアブドン・プラッツ、コロンビア代表FWクチョ・エルナンデスが復帰すれば、出番を失うことになりそうだ。

 基本システムは4-1-4-1だが、守備ブロックの作り方には毎試合ディテールに変化が見られる。開幕戦はババがアンカー、サルバとフェバスがインテリオール(中盤センター)に並ぶ4-1-4-1。第2節は4-1-4-1とフェバスを1列前に上げる4-4-1-1を使い分け、第3節はスタートから4-4-1-1の並びで守っていた。

 バレンシア戦の終盤に出場した久保は4-4-1-1の右MFに入ったが、このポジションは激戦区だ。ファーストチョイスのダニ・ロドリゲス、怪我から復帰間際のアリダイに加え、今夏新たにアルゼンチン人のチャバリーア、マケドニア人のトライコフスキ、フランス人のサリブルと、久保以外に3人のサイドアタッカーが加入している。

守備のタスクを忠実にこなせるか。

 その中で定位置を獲得するためには、第一に指揮官が求める守備面でのタスクを忠実にこなさなければならない。線の細さが懸念されがちだが、重要なのはどこにポジショニングを取り、どのタイミングでどうやってアプローチをかけるかを理解することだ。

 1対1の対応を強いられることも多い最終ラインの選手とは違い、サイドMFの主な役割はブロックを形成した上でボールホルダーにプレッシャーをかけ、パスコースを限定しながら追い込んでいくことである。

 周囲とのバランスを取りながらアプローチをかけていく連動性を築くことができれば、ポジショニングセンスに優れる久保が守備面で穴となることはそうないだろう。

むしろ不安が攻撃面にある理由。

 むしろ不安は攻撃面にある。

 堅守速攻型のマジョルカにおいて、アタッカーに求められるプレーは中長距離のスプリントを繰り返しながら、素早くシンプルにフィニッシュに持ち込むこと。久保にも周囲を生かした連係プレーによる崩しだけでなく、単独での局面打開を求められることが多くなるはずだ。

 もちろん、それができないとは思わない。ただレアル・マドリー・カスティージャの練習試合では久保がボールを持つたびに最低2人のマークが付き、ファウルで潰されることも多かった。

トップ下で自ら打開していけるか。

 マジョルカでそこまでマークが集中することはないだろうが、レアル・マドリーほど周囲の素早いフォローが期待できない現チームにおいては、単独でマークをかいくぐる強引さも必要になってくるだろう。

 そのようなプレーができるようになれば、4-4-1-1のトップ下で起用するのも面白そうだ。

 よりゴールに近い位置でボールを受け、複数のマークを引きつけた上で周囲のアタッカーにラストパスを送る、もしくはワンツーによる突破で自らゴールをこじ開ける。久保の才能を生かすにはベストのポジションであり、4-4-1-1への移行もそれを見越してのことだと信じたい。

 いずれにせよ、まだシーズンは始まったばかりだ。代表ウィークのたびにチームを離れるハンディキャップもあり、当面は途中出場でのアピールが続くことになるだろうが、焦らず着実に信頼を勝ち取ってもらいたい。

文=工藤拓

photograph by Getty Images


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