久保建英ら8人がW杯予選に初出場。初戦完勝は世代交代の追い風になる。

久保建英ら8人がW杯予選に初出場。初戦完勝は世代交代の追い風になる。

 後半のアディショナルタイムに突入すると、ミャンマーの選手が3人同時にピッチに倒れ込んだ。途中出場の伊東純也が左サイドを突き破ったプレーが、彼らの疲労を分かりやすく表わしていた。

 9月10日に行われたカタールW杯アジア2次予選の初戦で、日本はミャンマーを2対0で下した。アウェイできっちり勝点3を奪った。

 試合が行われたヤンゴンは、午後から雨が降り出した。大粒の雨がアスファルトを叩きつけ、試合開始になっても雨足は弱まらない。

 ところが、ピッチコンディションは悪くないのだ。

「雨がずっと降っているからたぶん難しいだろう、シンプルに蹴るという話もしていたんです。けれど、ウォーミングアップでけっこう回せるな、ボールが走るなということになった」と吉田麻也が振り返ったように、日本はリスク回避の意味合いも含めてロングボールを蹴り出すのではなく、最終ラインからビルドアップしていくのである。

パラグアイを破った面々がスタメン。

 スタメンは5日のパラグアイ戦と同じだった。森保一監督の判断は、驚きではなかっただろう。コパ・アメリカ8強のチームを2対0で退けた一戦は、3カ月の空白を埋めながらミャンマー戦を見据えたチューニングアップの機会だったからだ。

 日本からミャンマーへの移動にはそれなりに時間がかかるものの、6日には現地入りしていた。時差は2時間半である。カタールへの道のりではさらに過酷な条件に直面するはずで、心身ともにタフネスさを磨いていくためにも、スタメンに手を加える必然性は薄い。

 さらに言えば、アウェイとはいえ負けられない一戦を経験していくことで、チームの体質を骨太にしていく狙いもあったはずだ。

2点取り、完全にピッチを制圧。

 日本は16分に均衡を破る。左サイドからカットインした中島翔哉が、得意のアングルから右足ミドルを突き刺した。直近のパラグアイ戦で2得点に絡んだ背番号10が、今予選のチーム初得点を叩き出した。

 5日の予選第1戦でモンゴルに0対1で敗れていたミャンマーは、4-1-4-1を基本に5バック気味にもなる布陣だった。前半の3分の1が過ぎた時点での先制弾により、日本は0−0のスコアをできるだけ維持したいホームチームのゲームプランを崩すことができた。

 26分には追加点を奪う。堂安律の左足ミドルがGKに弾かれるものの、こぼれ球を受けた堂安がペナルティエリア左手前から対角線上へクロスを入れる。相手DFの視野から逃れていた南野拓実が、コースを狙ったヘディングシュートをゴール左へ流し込んだ。

 その後もほぼハーフコートマッチである。

 自陣にブロックを敷いてくるミャンマーに対して、大迫勇也が中盤に落ちることでボールの流れがスムーズになる。

 さらに2列目右サイドの堂安が内側にポジションを取ることで、右サイドバックの酒井がタッチライン際のスペースへ飛び出していく。酒井の後方のスペースは柴崎がケアし、背番号7はタテパスやラストパスも入れていく。

 敵陣でボールを失っても、ダブルボランチの柴崎と橋本拳人が素早いアプローチでカウンターへ持ち込ませない。彼らの頭上を超えてきたボールは、センターバックの吉田と冨安健洋が回収した。ミャンマーに1本のシュートも打たせることなく、選手たちは前半終了のホイッスルを聞いた。

久保建英らが入ってもペースが落ちない。

 後半も開始直後から、日本の一方的な展開となる。いつ3点目が入ってもおかしくないのだが、シュートを放った選手が祝福を受ける場面は訪れない。

 森保監督は65分に堂安を下げ、伊東を投入する。76分には南野が退いて鈴木武蔵が登場し、大迫が1トップからトップ下へポジションを移す。さらに81分、久保建英が中島に代わって出場し、2列目は右から久保、大迫、伊東の並びになる。

 選手が入れ替わっても、チャンスは生み出していた。それだけに、後半のパフォーマンスは物足りない。攻撃が単調になったところがあり、ラストパスやシュートがワンテンポ遅くなったところもあった。

もっと点は取れたが力の差は歴然。

 後半開始早々に雨はやんだものの、ピッチコンディションを考えればミドルシュートを有効活用するべきだった。

 試合を通して10本以上あったCKを、得点に結びつけられなかったのも課題である。試合を決める3点目を奪えなかったのは、パラグアイ戦の反省を生かせなかったということにもなる。

 とはいえ、ミャンマー戦は2次予選の第一歩だ。

 内容も結果も満足できる試合ができなかったとしても、悲観することはない。守備面ではスキを見せず、アウェイの環境で走り負けなかった。80分以降に相手選手がたびたびピッチに倒れ込んだのは、前半から日本の圧力を受けたことで身体が悲鳴をあげたからだろう。

 スコアこそ2−0でも、はっきりと力の差を見せつけることはできた。ヤンゴンの夜はミャンマーだけでなく、2次予選でこれから対戦するタジキスタン、モンゴル、キルギスにも警戒心を抱かせるはずである。

世代交代と同時進行でのW杯予選。

 もうひとつ忘れていけないのは、森保監督のチームが発展途上であるということだ。

 アルベルト・ザッケローニのもとで挑んだブラジルW杯アジア予選は、'10年の南アフリカW杯を戦ったメンバーがほぼそのまま残っていた。ヴァイッド・ハリルホジッチとともに戦ったロシアW杯への道のりも、2次予選の初戦はスタメンの7人がブラジルW杯のメンバーである。

 ミャンマー戦のスタメンにも、W杯のピッチに立ったことのある選手は5人いた。ただ、世代交代を進めながらW杯予選を戦うのは10年以上ぶりである。W杯予選の最年少記録を更新した久保はもちろん、彼と同じ途中出場の伊東も鈴木もW杯予選は初めてだった。

 チームとしての伸びしろを考えれば、ミャンマー戦は今後につながる。「勝つのが当たり前と思われる相手に当たり前に勝つことが、どんな相手にもスキを見せないチームにつながっていく」と、森保監督は話している。

文=戸塚啓

photograph by Tsutomu Takasu


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