10年ぶりのワールドシリーズへ、盟主ヤンキースの役者が揃った。

10年ぶりのワールドシリーズへ、盟主ヤンキースの役者が揃った。

 2009年以来、10年ぶりの世界一を目指すヤンキースの戦力が、シーズン佳境を迎え、ようやく整備されてきた。

 開幕前から右肩痛などで離脱していた快速右腕ルイス・セベリーノが9月17日、エンゼルス戦で今季初先発のマウンドに向かい、4回2安打無失点と好投した。依然として「試運転」の段階でもあり、67球で交代したものの、最速99マイル(約159キロ)をマークし、4三振を奪うなど、ブランクを感じさせないプレートさばきで、復活を印象付けた。

 登板後のセベリーノは、人懐っこい笑顔でリハビリの日々を振り返った。

「ここまで長かった。ただ、準備はできていたし、とてもいい感じだった。やっとチームの手助けができてうれしいよ」

 ベンチから見守ったアーロン・ブーン監督も、納得の表情でキーマンの投球にうなずいた。

「とてもいい投球だったし、大きなステップになった。もっと良くなる余地はあるし、とても心強い一歩だった」

故障禍に悩んだチームがついに。

 2日前の15日に復帰した救援右腕デリン・ベタンセスは、わずか1試合に登板した後、再び故障離脱したものの、野手陣ではジアンカルロ・スタントン、ゲイリー・サンチェスら大砲が、最終戦までには復帰する見込み。苦しかった時期を越え、着実に追い風が吹いてきた。

 今季のヤンキースは、相次ぐ「故障禍」に悩まされてきた。セベリーノ、ベタンセスだけでなく、野手陣でもアーロン・ジャッジ、アーロン・ヒックス、スタントンら主軸を欠く期間が長く、ベストメンバーで戦った試合は、ほぼ皆無に近かった。

 それでも、経験の浅い若手が、予想を遙かに上回るスピードで成長し、主力不在の穴を埋めた。先発では出場停止処分を受けたもののドミンゴ・ヘルマンが18勝(9月17日現在)を挙げ、ローテーションの柱として活躍。野手では、ジョバンニ・ウルシェラが打率3割、20本塁打をマークするなど、チームの不測の事態を自らのチャンスに変え、しっかりとものにしてきた。

ポストシーズンはダブル先発も。

 その結果、中盤以降はメジャー最激戦区と言われるア・リーグ東地区を独走。ポストシーズンでも本命のひとつに挙げられるほど、底力を蓄えてきた。

 常に故障者を抱えながらも、シーズンの最終コーナーまでトップで走ってきたチームに実力者が復帰することは、実質的な「大型補強」と言い換えてもいい。

 特に、セベリーノの場合、先発だけでなく、救援に回る選択肢も残されている。実際、ヤンキース首脳陣は、ポストシーズン限定の戦法として、1試合に2人の先発を投入する「ダブル先発」も視野に入れており、よりバリエーションの広い起用法が可能となった。

メジャー最高勝率をかけた戦い。

 今後は、アストロズ、ドジャースとの間で、公式戦最終戦までメジャー最高勝率をかけた戦いに注目が集まる段階へ移行する。ポストシーズンでは、「ホームフィールド・アドバンテージ(開幕優先権)」が勝敗を左右することも多いだけに、地区優勝だけをゴールに定めるわけにもいかない。

 最後の直線に差し掛かっても、アーロン・ブーン監督は淡々と言った。

「何も変わらない。毎試合、勝利を目指していくことは同じだ。もちろん、選手の健康を維持していくうえでバランスは重視する。ただ、我々はベストレコード(最高勝率)のために戦い続けていく」

 その一方で、故障していた主力が復帰し、選手層に厚みが加わってきた状況には、ニヤリと笑った。

「心配よりも、かなりエキサイティングかな」

 10年ぶりのワールドシリーズへ――。

 盟主が、盟主らしく戦える条件が、満を持してようやく整った。

文=四竈衛

photograph by Getty Images


関連記事

おすすめ情報

Number Webの他の記事もみる

あわせて読む

主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

スポーツ アクセスランキング

ランキングの続きを見る

スポーツ 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る 動画一覧を見る

記事検索