福西崇史が称賛。タジキスタンから戦意を奪った「南野と鎌田の関係性」。

福西崇史が称賛。タジキスタンから戦意を奪った「南野と鎌田の関係性」。

 サッカーワールドカップアジア2次予選、モンゴル戦、タジキスタン戦の2試合で9得点、無失点の2連勝。スコアだけでなく、試合全体を振り返っても今回の10月の連戦で日本代表はきっちりと結果を残したと言えるでしょう。

 日本はスコア通り、両チームとの実力差を見せつけたと思います。ただし2戦目のタジキスタンについては8年前にザッケローニ監督体制で対戦した時(※アジア3次予選で8−0、4−0と連勝)に比べて、明らかに実力をつけてきた印象です。

 日本が優勝した2018年のU-16アジア選手権、決勝の相手はタジキスタンでした。タジキスタンはこの大会で準優勝したことで今月開幕のU-17W杯の出場権を得るなど、育成年代からの強化が実を結びつつある。2026年のW杯出場を目指しているというのも、あながち間違いではないのかなと感じました。

「タジキスタンのボランチの脇」を見逃さない。

 前半のタジキスタンはボールをつないでいく姿勢、そして守備から攻撃への切り替えの速さを徹底していた。これに日本が手を焼く場面が何度かありました。

 特に前半24分、ボールを奪われて鋭いカウンターを浴びたシーンは、権田(修一)のファインセーブでしのぎました。もしこれが決まっていたらタジキスタンは守備を固めてきて、もっと難しい展開になったかもしれません。だからこそ、ここで先取を許さなかったのがポイントとなりましたね。

 後半に入って日本は、攻撃のテンポが明らかに良くなりました。要因の1つは「タジキスタンのボランチの脇」を見逃さなかったからです。

 タジキスタンは時間が経つごとに体力が落ちて、ボランチの両脇にスペースができてきた。それとともに日本は前半1トップに入った鎌田(大地)とトップ下の南野(拓実)の関係性を少し変えた。簡単に説明すると、鎌田が降りてきて、南野が前線に張り続けるようにしたんです。

鎌田のパス、南野の得点への意識。

 これが鎌田のパス、南野の得点への意識というそれぞれの特徴を生かすことになりました。

 後半8分に中島(翔哉)のクロスに対してファーサイドの南野が相手マーカーを外して頭で合わせて先制点。3分後に酒井(宏樹)のグラウンダークロスを南野が上手くヒールで流し込んで2−0。立て続けにゴールを奪ったことで、タジキスタンの戦意を奪うことに成功しました。

 鎌田、南野以外も後半いいプレーが増えました。例えば右サイドの堂安(律)。タイミングよく中に入ってきてボールを受けることで、攻撃のリズムを作っていきました。中央、サイドとボールを動かして相手を揺さぶった。

 序盤こそ運動量があったタジキスタンも、これを繰り返されたことで足が止まった。浅野(拓磨)がヘディングで決めた3点目も、プレッシャーのかからなかった酒井が狙い通りのクロスを上げられましたね。

相手の狙いどころを見つけてしっかりと叩く。

 前半は決してうまく試合を運べたわけではないけど、相手の狙いどころを見つけてしっかりと叩く。アジア2次予選のレベルとはいえ、それを実行できるのは地力がある証拠だと思います。

 このW杯予選では守備も安定していて、そこでの安心感が攻撃にもつながっています。冨安(健洋)のモンゴル戦での負傷離脱は少し痛手でしたが、ボールを奪われた後にサボる選手はいないし、無駄なファールを犯さない、人数が足りない状況で慌てて飛び込まないなど、組織的な規律も取れていました。

 特にモンゴル戦では奪われた直後にプレッシャーを激しくかけることで、モンゴルに全く攻撃の形を与えなかった。レベル差はあるけど、気の緩みがなかったからこそ90分間にわたって試合を支配し続け、6−0の圧勝になったわけです。

地味だけど大切なこと。

 タジキスタン戦でも相手が切り返してシュートを打つしかない状況に追い込むなど、マーカーは少しでも体勢を崩そうとしていた。こういった細かい部分を徹底していけるかは、地味だけど大切なことですしね。

 そしてこの連戦で一番注目したいのは、普段所属するクラブで結果を残している選手が、代表で自信を持ってプレーしていること、良いパフォーマンスを見せていることです。

 例えば2試合で3ゴールの南野。彼は代表戦前に行われたCLのリバプール戦で鮮やかなボレーシュートを決めて、大きな自信を手にしました。そしてレベル差があるアジア相手でも同じモチベーションで臨み、結果を残した。集中力を持ってよくやれていたと思います。

 それはモンゴル戦でアシストを量産した伊東純也も同じ。ヘンクでリーグ戦とCLを戦った経験からか、さらに守備ができるようになったし、周囲を上手く使って相手との駆け引きで優位に立つなど幅を広げているなと感じます。

久保建英も自分を表現。

 この2人だけではありません。鎌田はもちろん、堂安はタジキスタン戦で右サイドに入って何とかアピールしようとハードワークしていた。モンゴル戦、同じ右サイドで活躍した伊東の存在を意識したはずです。また久保(建英)も6分ほどのプレーで、自分を表現してやろうという意思を感じました。

 代表で激しいチーム内競争を繰り広げる一方で、名前を挙げた選手たちはほとんど毎週行われるリーグ戦で試合勘を得ています。そこで結果を残して自信を持ったことで、代表でも思い切りの良いプレーを見せられている。今の日本代表は多くの選手が各国クラブで主力になっている。その価値を再確認しました。

 ちなみにU-22日本代表も敵地でブラジル代表相手に3−2の勝利を挙げましたね。これも五輪世代の選手の多くが所属クラブで出場機会を得ているのが大きいと見ています。

 以前の世代別代表はクラブでなかなか出番を得られず、敵地に行くとかなり厳しい戦いを強いられたこともありました。それがたくましく勝ちきれるようになったのは、「チームを勝利に導くために、どうチームの中で生きつつ、自分のプレーをやりきるか」という実戦経験を積み上げているからこそです。

 所属クラブで評価を上げて、自信をつけていく。そんな選手たちが集まって連係することで、日本代表が面白くて強いサッカーを見せていく。2次予選ではそんな流れを作ってほしいですね。

(構成/茂野聡士)

文=福西崇史

photograph by Kyodo News


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