跳躍マピンピ、ハカを見るファレル。モノクロームで味わう楕円球の世界。

跳躍マピンピ、ハカを見るファレル。モノクロームで味わう楕円球の世界。

 決勝戦でイングランドを圧倒した南アフリカが、12年ぶり3度目の優勝を飾り、幕を閉じたラグビーワールドカップ。日本代表が敗れた後の戦いも、国内のテレビ中継は高視聴率を記録し、スタジアムは満員になるなど、世界最高峰の戦いは「にわかファン」を含む日本人を魅了した。

 大いに盛り上がった大会を日本で取材を続けてきた、海外メディアのジャーナリストやフォトグラファーは、ベスト4以降の4試合をどのようにとらえたのだろうか?

 NumberWebでは大会期間中、世界的なフォトエージェンシーであるGetty Images(ゲッティイメージズ)が撮影した膨大な写真の中から、カメラマンがセレクトした作品を紹介。試合をもっとも近くで見ているフォトグラファーが心を動かされた瞬間や、テレビ画面からは伝わらない大会の盛り上がりを伝えていく。 

 短期集中連載第4回のカメラマンは、デイビッド・ラモス氏だ。ラモス氏がチョイスしたのは自身が撮影した写真の中から、モノクロームで表現をしたもの。どれも選手たちの心情を、見事に浮かび上がらせている。

選手がピッチに臨む、特別な瞬間。

10月26日 横浜国際総合競技場
準決勝/イングランドvs.ニュージーランド

 今大会ではピッチのそばだけでなく、誰も入ることができない特別な場所に入ることが許されていた。だからこそ、我々は唯一無二の写真を配信することができるのだ。イングランドとオールブラックスの準決勝が始まる前、ある階段に狙いを定めた。そこは光の具合や視点の点で撮影をするのに絶好の場所だったので、イングランドの選手がハーフタイム後に歩いて上がってくるのを待つことにした。

 そして彼らが階段を上りはじめ、キャプテンのオーウェン・ファレルが彼の後につづくチームメンバーを振り返って見たとき、私は非常に幸運だと思った。

背後で何が起こっているのか。

10月26日 横浜国際総合競技場
準決勝/イングランドvs.ニュージーランド

 スポーツ写真家として、オールブラックスがハカを踊る目の前でピッチに立つことは特権であり、名誉なことでもある。今回オールブラックスのハカに対して、イングランドの選手たちがV字フォーメーションで対峙したのは、まさに興奮する瞬間だった。私は自分の背後で何が起こっているのか最初は分からなかった。しかし、スタジアム全体が叫んでいたのが聞こえて、とんでもない瞬間に立ち会えていることに気が付いたのだ。

 この写真はイングランドのキャプテン、オーウェン・ファレルがオールブラックスの選手を見て、挑戦的な顔で彼らを眺めているのが、大型ヴィジョンに映った1枚だ。歴史的な瞬間を捉えた、最高の1枚と言える写真である。

10月26日 横浜国際総合競技場
準決勝/イングランドvs.ニュージーランド

 イングランドvs.オールブラックスの準決勝は、とても素晴らしい試合だった。世界トップクラスの選手同士がぶつかりあっただけに、迫力ある写真がいくつも撮れた。そんな中でもこの写真は、おそらくこの試合で最も激しいタックルだと思う。イングランドのヘンリー・スレイドが、コーナーに向かって全力疾走するセヴ・リースに突撃しているもの。リースの顔を見ても、この瞬間がいかに激しかったかがわかる。ラグビーというスポーツの真実を伝えるのに丁度良い1枚だろう。

リードの流血、フォードの視線。

10月26日 横浜国際総合競技場
準決勝/イングランドvs.ニュージーランド

 偉大なオールブラックスのキャプテンである、キーラン・リードが鼻から流血をしていることが、この試合が激闘であったことを物語っている。今大会で代表を退くキャプテンはすべてをフィールドで捧げたのだ。この写真では、ニュージーランドのヘッドコーチであるスティーブ・ハンセンが彼を慰めている。

 もう1つ注目したいのが、試合中に4回のペナルティキックを成功させた写真左のジョージ・フォード。敗れた偉大なるキャプテンのうつろな表情と、そのオールブラックスから大半の得点を奪ったフォードの鋭い視線がとても印象的だ。

スタジアムの外で感じた高まる熱。

10月27日 横浜国際総合競技場
準決勝/ウェールズvs.南アフリカ

 キックオフの数時間前にはスタジアムをいつも歩き回っている。会場の雰囲気がどのように高まっているかを感じることができ、ファンの写真を撮影するのにも絶好の機会だ。写真の男性はDHLの制服を着たスタッフ。彼はスタジアムに到着するサポーターのなかで、「I lOVE RUGBY!」というメッセージが書かれた扇子をファンに配っていた。

 敢えてスローシャッターを使い、彼と「I LOVE RUGBY!」というメッセージを強調させてみた。最高峰の試合に向けて、盛り上がりに満ちた雰囲気も写真から伝わってくる。

ガットランド監督のウォームアップ?

10月27日 横浜国際総合競技場
準決勝/ウェールズvs.南アフリカ

 選手がウォーミングアップのためにフィールドに出て来たら、すぐに撮影の準備が必要になる。なぜなら、いつ最高のシャッターチャンスがあるかわからないからだ。この写真はまさに最高の瞬間を捉えたもので、ウェールズのヘッドコーチ、ウォーレン・ガットランドがウォームアップ(?)している写真だ。

 彼はピッチを歩き出し、突然ダンスを始めた。スタンドにいる友人や親戚に手を振り、試合前とは思えない様子。ウォーレン・ガットランドはトーナメントにおける最も重要な試合である準決勝を控えていながら、非常にリラックスしているように見えた。

文=涌井健策(Number編集部)

photograph by David Ramos / World Rugby via Getty Images


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