「DAZN Jリーグ推進委員会」のメディア連動企画「THIS IS MY CLUB - FOR RESTART WITH LOVE - 」。Jリーグ再開を前に、横浜FCで在籍15年目のシーズンを迎える三浦知良選手に、クラブ、そしてJリーグへの思いを聞きました。

――2月に開幕戦こそ行われたものの、その後はコロナ禍で長い中断に入りました。この数カ月間、カズさんはどんな思いでリーグの再開を待ち望んでいたのでしょうか。

「2月26日のルヴァンカップの鳥栖戦が延期になって、そこから公式戦は止まってしまったんですけど、3月、4月、5月、6月とまあ約4カ月ですよね。4カ月、実戦から遠ざかるのは、スポーツ選手にとってはやはり大変です。そこまで、12月、1月、2月と身体をつくってきて、さあ、これからというときに延期になったわけで。そんな中、4月ぐらいには、これから先、いったいいつできるんだろうなと思ってました。本当に7月、8月に再開できるのか、いや9月ぐらいになっちゃうのかなあ、と思いをめぐらせていました。

 そんな中での救いは、トレーニングでした。僕自身は、トレーニング環境が整っていたので、ほぼ毎日、トレーニングはできたんです。トレーニング器具をそろえた部屋を個人的に借りているし、自分の住んでいるマンションにジムもあったんで。試合はなかったけど、言ってみれば普段の生活と変わらないというところもあったんです。というのも、普段から休前日以外は、あまり外に出ることはないし、生活のリズムとしては、練習に行って、治療して、家に帰って食事してっていう感じなので、練習さえできれば、そのリズムが崩れることはなかったんです。

 あとは、家の近くに、兄貴(三浦泰年氏)のやっているフットサル場があって、そこも営業ができなくなっていたんで、そこを個人的に朝だけ借りてました。そこにグアムの自主トレで長年コーチとしてついてくれている喜熨斗(勝史)さんに来てもらって、ずっとトレーニングは続けた。3密になることなく、走ったり、ボールを使ったり、結構キツいトレーニングもできたんです」

交代枠拡大はチャンスになる?

――準備万全の中、まもなくJ1リーグが再開、となるわけですが、やはり待ち遠しいですか。

「そうですね。ただ、楽しみではあるけれど、自分はいま、正直言ってすぐにスタメンで出られるメンバーに入っているかといったら、入ってないんでね。自分がどうやってそこに(メンバーに)入っていけるかという、毎日が戦いですよ。だから、楽しむというより、いまその戦いをしている真っ最中で」

――ただ、今年は、週2回のゲームに交代枠が5人とイレギュラーです。カズさんにとっては逆に出場チャンスが増えるのでは?

「自分もそう思いたいんですけどね(笑)。でも、去年もそうですけど、まずベンチに入る機会が実際にものすごい少ないですから。ベンチに入らなければ、5人枠になっても当然出られないわけですから。なんとかベンチ入りする、スタメン入りするということを目標に毎日戦っている最中です。だから、みんなが思っている、その楽しみにしているというところまで、まだたどり着いてないというのが正直なところです」

2007年は、J1定着の準備ができてなかった。

――カズさんは、2005年の夏に神戸から横浜FCに移籍、実に15年にわたってチームの中心選手としてやってきたわけですが、横浜FCというチームのよさはどこにあるのでしょう?

「1999年にスタートしたのが第1次横浜FCだとするなら、2005年、15年前にメインのスポンサーとしてレオックというところが入ってからが第2次だったと思うんです。そこから、2006年に(J2で)優勝して、2007年に昇格しましたけど、あのときは本当に勢いでJ1にあがって、すぐに落ちてしまった。クラブとしてはまだ、J1にあがってから定着するための準備というのができてなかったんですね。

 そんな中で2008年以降は、J2ですごい苦労していたんですけど、試行錯誤しながらクラブとしてだんだん成長していけたのは確かで、さらにここ2、3年で大きく変わったんです。新しくGMが来たり、クラブの方向性が明確化されたり、地域とのかかわりも以前よりもっともっと深く大きくなってますし、 みんなの意識もすごく変わってきた。 昨年昇格を決めたわけですけど、その前年もちゃんとプレーオフに入ってますしね。だから、前回の2007年のJ1のときよりも、今年のほうがやはりクラブとしては、いろんな部分で充実しているんじゃないかと思います。そういう意味で、前回より今回のほうがJ1で活躍できるチャンスがあるのではないでしょうか。

 いまは、オーナーを中心としてメインで入っているスポンサー、ほかのすべてのスポンサーもそうなんですけど、みんなが本当に横浜FCがJ1でもJ2でも、たとえJ3になったとしても応援していこうという気持ちになってくれている。このスタイルも横浜FCのいいところだと思うんです。この1、2年で新しく入ったスポンサーの人もいますけど、10年以上やっているスポンサーの人も多くて、なかなか勝てない時期を見てきても、頑張って支えてくれて、そして去年、みんなの力でああいうふうに、J1に昇格できた。たとえ波があるとしても、常に応援する気持ちをキープしてくれている。普通、お金も出して口も出すじゃないですか。でも、横浜は、お金は出すけど口は出さないんですよ。これが特徴ですよね(笑)。だからって選手は甘えちゃいけないんですけど」

「世界に1チームぐらい、あってもいい」

――戦力面に目を移すと、横浜FCには、カズさんをはじめ、中村俊輔、南雄太、松井大輔といった元日本代表のベテランたち、一方で、斉藤光毅、中山克広、松尾佑介といった勢いある若い選手たちもそろっています。その融合も魅力的です。

「なかなか世界中さがしても、10代〜50代までがそろっているプロサッカーチームってないと思うんですよ(笑)。俊輔も42ですし、南も今年41になるのかな、大輔も今年39、こんな選手が4人いるわけですから。これがひとつの特徴だと思うし、そういうものを受け入れるクラブのキャパのようなものがあると思う。世界に1チームぐらいこういうチームがあってもいいんじゃないですかね。

 もちろん練習では、年齢に関係なく、一緒に走って、競い合ってます。そういう姿っていうのは非常にいいと思いますし、ベテランの選手の誰もが練習の中で妥協しないし、特別扱いもないですし。僕らも若い選手から学ぶことも多いですし、当然若い選手もベテランの選手から学ぶことも多いと思うし。まあ、他のチームに行ったら、32、3歳の選手っていったら、もう大ベテランで、みんなから相当上のポジションに思われるんですけど、このクラブだと32、3って中堅ですから。32、3歳の選手に訊いても、上がすごくいるんで、気持ち的に助かるって言ってましたね。自分が気持ち的に若くいられる、前向きにいろんなことを考えられるみたいです。上の人がやっぱりしっかり練習やりますから、自分たちも負けていられないという気持ちにもなるんだと思います」

今季の目標は「トップ10入り」

――チームとしての今年の目標は?

「チームとしては、開幕当初に言っていたトップ10に入るというのが目標だと思います。でも、トップ10に入るのは、相当大変です。松本山雅は2回、J1に上がりましたけど、2年間で13勝しかしてないんです。松本山雅はここ数年J2では毎年20勝以上してあがっているチームなのに。つまりJ1は、それぐらい厳しい。現実、ウチが上がったときも4勝しかできないわけですから(2007年シーズン)。

 今シーズン、僕らも2位でJ1昇格しましたけど、結局、いまいるチームの中で一番下。いままでのクラブの実績、クラブの歴史を見て、僕ら以外の17チームと比較したら、現実的には一番下にいると思いますよ。いまの立ち位置は、18位が現実だと思います」

――そんな中、トップ10に入るには何が必要なのでしょう。

「(下平隆宏)監督が打ち出している目標だったり、監督がいまやりたいと目指しているサッカーがあるんですけど、それを実現して、自分たちが高い意識の中で、どれだけピッチの中でそれを出せるかでしょう。それをやることによってゲームに勝ち、どれだけ自信をつけていけるか、1試合、1試合成長していけるか、それにかかっていると思います。だから、勝てなくなったら、本当に大変だと思いますよ。勝てない負のモードに入っちゃうとね」

スタジアムはみんなでつくるもの。

――最後に、サポーターにメッセージをお願いします。

「リーグ中断中、これまで練習試合は、シミュレーションを兼ねてJで使うスタジアムでやらせてもらってきたんです。当然、無観客だったんですけど、やっぱりお客さんの存在がチームを後押ししているんだなと練習試合でも改めて感じましたね。

 たとえば、ひとつのいい場面があっても、サポーターがいないと単発的に終わってしまうんですよ。お客さんが入っているとみんなの熱でひとつのチャンスが次のチャンスへとつながっていくというか、選手ものるし、サポーターの応援でいい場面があったときに、ウォーっていうみんなの感情だったりとか、熱が試合中に伝わってくるんで、それがまた次のプレーに自信を与えることになるんです。いいプレーを引き出すんです。無観客だと、その熱がないから、一回のいい場面は一回で終わってしまう。

 そういう意味で、改めてサポーターの人たちの力が大きい、やっぱりスタジアムというのは、みんなでつくるもんなんだなあと、ここ数試合、練習試合やってても感じています。サポーターの人たちとつくる素晴らしい雰囲気の中で、熱を感じる試合を早くやりたいし、そんな日を僕はいま楽しみにしています」

文=一志治夫

photograph by YOKOHAMA FC