10月1日、一般男性との結婚を発表した女優の石原さとみ(33)。スポーツとは無縁に見える彼女だが、実は小学校高学年からバスケットボールを始めたという経験を持つ。
 そこで、かつて本誌に語っていた“大人気バスケットボール漫画『SLAM DUNK』への思い”を特別に公開します。
【初出:Sports Graphic Number 847号(2014年2月13日発売)「スポーツ漫画名勝負物語」/肩書などはすべて当時】

 スポーツ漫画はたくさんありますが、自分がバスケットボールをしていたこともあって、『SLAM DUNK』が一番のお気に入りです。

 中でも凄くゾクッとしたのが、全国大会の湘北×山王戦で、最後に湘北の勝利を決めた主人公・花道のシュートの場面、「左手はそえるだけ…」というセリフです。すごくベタですけど(笑)。

花道と流川「犬猿の仲の2人だから、なお良いんです」

 この試合の終盤はスピーディな展開で、途中からセリフが全くなくなるんです。そんな中で唯一のセリフがその一言。ドキドキするシーンの連続で、最後にほんの一言というのが良いんだと思います。

 このシュートは、花道の親友である4人の「桜木軍団」が練習につき合って、ビデオに何度も撮った“2万本”のシュート練習があってこその1本なんです。もの凄い練習の結果なんですけど、それを一言「そえるだけ…」って。そこには色んな想いが込められているんですよね。

 しかも、天敵のチームメイトの流川もその努力を知っていて、花道をちゃんと見ているわけですよ。そこではじめて流川が花道を信頼してパスを出すんです。

 素人だった花道が流川に認められる存在になって、パスを受ける。そしてそのシュートが入って試合を決める。この鉄板の流れは、何度見ても素敵ですよね。その後に、流川と桜木が無意識にハイタッチするんですけど、それも普通に見たら「キレイな画だな」で終わるんですよ。

 でも、流川がこの大会の前に「アメリカに行きたい」って言いだしたり、花道のミスで負けた県予選の試合があったり。そういう過程やドラマがあった上での、犬猿の仲だったライバル2人のハイタッチだから、なおさら良いんです。

 それから、県予選の海南戦で負けた後に、花道が悔し泣きするところも好きなんです。花道のパスミスで負けるんですが、それを分かっている赤木キャプテンが「これで終わりじゃねえ」って言う場面。2人の関係性が凄く良いんですよね。

あのメガネの奥の光は、年をとると見えてくるものなんです(笑)

 最初に読んだのは、小学校高学年のころ、バスケをはじめた時ですね。当時は流川がカッコ良くて。やっぱり少年浸画だし、「流川カッコイイ」とか「晴子かわいい」とか思っていました。「なんでウチのバスケ部の男子と違うんだろうね」とか言って。

 でも、大人になるとまた好きなキャラもちょっと変わってきますよね。無口なイケメンからは少しズレるんです。特に副キャプテンの木暮君とか、グッとくるポイントが増えましたね。補欠なのに、いつ出番があってもいいように、毎日絶対手を抜かないし努力を怠らない……。そういう努力家な人って、大人になると魅力的に見えてきますよね。あのメガネの奥の光は、年をとると見えてくるものなんです(笑)。

 それからよく覚えているのが、2005年に井上先生が雑誌の「SWITCH」に、「スラムダンク、あれから10日後――」という各キャラの後日談を描いたことがあったんです。それがちょうど、田臥(勇太)選手が日本人で初めてNBAに参戦した頃だったんですね。

 その最後に、ケガでリハビリ中の花道に、お医者さんが「日本人初のNBAプレーヤーが生まれたって」と伝える場面があるんです。それに花道が「次に行くのは俺だ」って応えるんですよ。それを見たときに、漫画の中の世界だった話が、いまの現実とつながっていることに凄く感動したんです。井上先生の日本人バスケ選手への期待が凄く感じられて、グッとくるものがありました。

文=Number編集部

photograph by Getty Images