現地10月11日、フロリダ州オーランドの“バブル”にも紙吹雪が盛大に舞い、長かったNBAの2019〜20シーズンはついに終わった。

 ファイナルではロサンジェルス・レイカーズがマイアミ・ヒートを4勝2敗で下し、通算17度目の優勝が決定。ジミー・バトラーを中心とするヒートの闘志に苦しめられたレイカーズだったが、第6戦では最大36点の大差をつけての圧勝で強さをアピールした。プレーオフ全体でも16勝5敗という見事な成績であり、“完全優勝”と呼んでもいいだろう。

「チームのメンタルの強さや経験を信じていた。レブロン(・ジェームズ)だけではなく、アンソニー・デイビスもチャンピオンになるべき存在と思っていた。彼らが一緒にプレーしたおかげで、我々はここに到達できた」

 就任1年目で頂点に駆け上がったレイカーズのフランク・ボーゲルHCが述べていた通り、レブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビスという2人のスーパースターが栄光の立役者だったことは間違いない。

レブロンの“最高のチームメイト”は誰なのか?

 自身4度目のファイナルMVPを獲得したレブロンは、6試合で平均29.8得点(FG成功率59.1%)、11.8リバウンド、8.5アシスト。AD(デイビスの愛称)も平均25.0得点(FG成功率57.1%、3P 42.1%、FT 93.8%)、10.7リバウンド、2.0ブロックをマークし、万能ビッグマンぶりをみせつけた。この強力デュオが中央に君臨したからこそ、ケンタビアス・コールドウェル・ポープ、ラジョン・ロンド、カイル・クーズマといったサポーティングキャストも伸び伸びとプレーすることができた。

 こうしてレイカーズが“ビッグ2”を軸にして勝ち上がる過程で、デイビスこそがレブロンのキャリアで得たベストパートナーなのではないかと騒がれ始めた。

 これまで多くのスーパースターと一緒にプレーしてきたレブロン。その中でも最高のチームメイトというと、2010〜14年のヒート時代に一緒に2度の優勝を手にしたドウェイン・ウェイド、あるいは2016年にクリーブランド・キャバリアーズを史上初のファイナル制覇に導いた際の相棒だったカイリー・アービングではないかという意見が一般的だった。しかし、今季のレブロンとデイビスの活躍を見て、現役時代はレブロンのチームメイトでもあり、今はESPNのコメンテーターを務めているケンドリック・パーキンスが10月2日にこうツイートした。

「偉大なドウェイン・ウェイドには悪いけど、レブロンとこれまでも最も噛み合っているのはアンソニー・デイビスだ」

 これを見た当のウェイドも、「同意するよ I agree, Big Perk」とパーキンスに返信している。こんなやりとりをきっかけに、「レブロンのベストパートナーは誰か?」という話題は一時的なトレンドとなった。米スポーツサイトのThe Ringerに至っては、今回のファイナル終了後、レブロンのチームメイト・ベスト5ランキングを独自に選定し、発表している。

 それはこんなランキングだった。

1位 アンソニー・デイビス(2019〜、レイカーズ/ファイナル出場1度、優勝1度)

2位 ドウェイン・ウェイド(2010〜14、ヒート/ファイナル出場4度、優勝2度)

3位 カイリー・アービング(2014〜17、キャブズ/ファイナル出場3度、優勝1度)

4位 クリス・ボッシュ(2010〜14、ヒート/ファイナル出場4度、優勝2度)

5位 ケビン・ラブ(2014〜18、キャブズ/ファイナル出場4度、優勝1度)

デイビスがウェイドらを引き離している理由は……

 レブロンは過去にもラブ、ボッシュといった万能派ビッグマンとプレーしてきたが、デイビスのスケールは彼らよりも一段上だろう。前述したウェイド、アービングと比較しても、今季にデイビスが残したインパクト、数字は大きく上回っている。

 シーズン中から平均26.1得点、9.3リバウンド、3.2アシスト、2.3ブロック、1.5スティールという見事な数字を残したデイビスは、プレーオフでもエンジン全開。デンバー・ナゲッツとのカンファレンス・ファイナル第2戦では劇的な決勝ブザービーターを成功させると、ファイナルの第1戦でも緊張感など微塵も感じさせず、いきなり34得点を挙げてレイカーズのファイナルデビュー戦記録に並んでみせた。

 何より、ウェイド、アービングを引き離しているのは、デイビスがディフェンス面でも支配的なプレーができるからだろう。バネ、フットワークも備えたビッグマンのデイビスは、今季を通じてレイカーズの守護神として君臨。特にファイナル第3戦で敗れたあと、第4戦ではデイビスが相手のエース、バトラーとマッチアップし、直接ガードした際にはFG1/7、3P0/3と綺麗に抑え込んだことが今シリーズ最大のアジャストメントと評価された。

「(デイビスは)守備面では何でもできる。ボールを守れるし、ポストもガードできる。ガード選手を相手に足を動かして競りあえるし、ビッグマン相手に身体も使える。これ以上、他に何か言うべきことがあるかい?」

 レブロンはそう述べ、デイビスこそが今季のディフェンシブ・プレイヤー・オブ・ザ・イヤーに選ばれるべきだと主張してきた。

 こういった攻守両面でのハイレベルのプレーがゆえに、選手をより総合的に評価する指標として定着したPER(Player Efficiency Rating)でも今プレーオフのデイビスはレブロンの30.33に次ぐ29.76をマーク。過去のポストシーズンでウェイド(2011年、26.3)、アービング(2016年、24.4)が残した数値を遥かに凌駕しており、数字面での優劣ははっきりしている。

これほど信頼できる「強力パートナー」を得た意味は大きい

 こうして見ていくと、デイビスがレブロンにとって最高のチームメイトであることに疑問の余地はないようにも思える。パーキンスの指摘通り、レブロンとのケミストリーも最高級。優れた選手同士だから噛み合うのか、あるいは噛み合うから2人ともが活躍できるのかの判断は難しいところだが、両雄は今季を通じてとてつもないレベルでプレーを続けてきた。そして、リーグでも5本の指に入る2人のプレイヤーの間にこれほど良好なケミストリーが生まれたのであれば、レイカーズがプレーオフを通じて圧巻なまでの強さを誇示したのも当然なのかもしれない。

「僕たち2人はどんな状況であれ勝利を望んでいる。常に綺麗に勝てるわけではないし、意見が一致しないこともあるけれど、すべては正しい目的のためだとわかっている。僕たち2人には、そしてこのチームには、特別な何かがあると分かっているよ」

 ファイナル第2戦後、デイビスはそう語っていたし、レブロンの方もADの姿勢、プレーを称賛する言葉を盛んに繰り返していた。12月には36歳になるレブロンが、キャリアのこの時点でこれほど信頼できる強力パートナーを得た意味は大きい。

 今オフに契約オプトアウト(破棄)してFAになる権利を持つデイビスだが、レイカーズ残留はほぼ確実。だとすれば、今季の優勝はまだ始まりに過ぎないのかもしれない。将来の殿堂入りも確実な最高のチームメイト同士が力を合わせ、レイカーズが今後しばらく勝ち続けても誰も驚くべきではないのだろう。

文=杉浦大介

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