現在世界で最も人気のあるサッカーリーグといっても過言ではないイングランド・プレミアリーグ。それは日本でも例外ではない。

 遠く離れた英国の地で行われる試合。時差をものともせず多くの人が観戦し、日本全国でファンが集い、贔屓のチームを応援する観戦会も開かれているくらいだ。

「結局日本ではどのプレミアクラブが一番人気なのか」

 時には激しく意見を戦わせることもあるライバルチームのファンたちだが、そんな彼らの永遠のテーマの一つが『結局日本ではどのチームが一番人気なのか』というものだ。

 これは恐らく永遠に決着がつくことはない問いであり、そもそも何をもって最も人気だといえるのかすら定かではないが、デジタル全盛の時代において、それを測る一つの指標がインターネット上の注目度ではないだろうか。

 例えばGoogle社は各キーワードやトピックが地域ごとにどれだけ検索されたかを公開しており、これらは数値として確認し、評価することができる。

 もちろん必ずしも人気=検索数というわけではないが、特に海外のチームに関してインターネットが主要な情報源となっている人は多い。

 Google検索数はネット上の注目度を示す上では恐らく最も重要な指標であり、人気度とある程度の相関関係があることは間違いないだろう。

 そこで、今回はGoogleが提供しているGoogle Trendsのデータを用いて、プレミアリーグの“ビッグ6”と呼ばれるリバプール、マンチェスター・シティ、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナム、アーセナルの6チームが日本でどの程度検索されてきたのか、そしてその変遷を見ていこう。

リバプール?アーセナル?それともマンU? 日本で1番人気のあるプレミアクラブはどこなのか ©Getty Images

 また、このデータはより細かいエリアごとのものも発表されているので、同時に各都道府県でどのチームが最も検索されているのか等の特色もまとめてみた。

前提条件(Google Trendsとは)

<Google Trendsとは…>

・実際の検索数に基づく人気度という指数をGoogleが公開している
・データの集計が始まったのは2004年
・単独の検索ワードではなくトピックごとに集計
(マンチェスター・ユナイテッドというキーワードではなくても、サッカーチームのマンチェスター・ユナイテッドに関連するキーワードをカウントしている)

プレミア“ビッグ6”の検索順位発表

 全体の傾向としては、2000年代中盤あたりはやはりプレミアリーグの知名度がそこまで高くなかった(この頃はセリエAの方が人気で、その後長友佑都が在籍することになるインテルなどの検索の方が遥かに多かった)のに加え、そもそもGoogle検索自体が今ほど一般的ではなかったためか、データの収集が始まった当初は6クラブとも検索数にそこまで大きな差は見られない。

 しかし、2000年代後半あたりからアーセナルが徐々に勢いを伸ばし、その後も日本での検索数1位をキープしている時期が長い。

 アーセナルが最後にプレミアリーグ優勝を果たしたのは2003/04シーズン。その後FA杯以外の主要タイトル獲得はない一方で、複数回のプレミアリーグ優勝を経験しているマンチェスター・シティやチェルシーの注目度がそこまで伸びていないことからもわかる通り、ピッチ上での成績と日本での人気や注目度はそこまで強い関係はないようだ。

 あくまで推測だが、日本での監督経験のあるアーセン・ベンゲルをはじめ、(出場機会はほとんど得られなかったとはいえ)稲本潤一、宮市亮、浅野拓磨と複数の日本人選手が在籍していたため、日本とゆかりのあることが注目度の高い大きな要因ではないだろうか。

01-02シーズン、アーセナルにレンタル移籍した稲本潤一 ©BUNGEISHUNJU

CL優勝したチェルシーよりも…

 それと似た現象が起きているのがマンチェスター・ユナイテッドの2010年代で、香川真司が移籍した2012年にはアーセナルを追い越して日本で最も検索されたクラブに躍り出ているが、彼がドルトムントに再移籍して以降はまた元の水準に戻ってしまった。

 その2012年にチェルシーはCL優勝を果たしているのだが、欧州最高峰のトロフィーを獲得しても、その日本での注目度の上昇は、日本代表クラスの選手の移籍による効果に比べれば微々たるものとなっている。

 近年のCL優勝とリーグ優勝により、世界で最も注目されているサッカークラブとなり、日本でも人気を誇るリバプール。検索数が2020年に入りここまで伸びているのには、南野拓実の移籍も大きく関係しているに違いない。

都道府県別の人気クラブも調べてみた<マンU好きの2県とは…>

 さて、過去5年間(2015/10/01〜2020/10/30)において、各都道府県ごとに最も検索されたプレミアリーグのクラブは以下の通りとなっている。

 直近の5年間で見るとやはりリバプールが飛ぶ鳥を落とす勢いで、元々強いアーセナルとの二強体制、そしてそこに割って入るマンチェスターユナイテッド王国の島根と福井、という構図となっている。沖縄もリバプールとユナイテッドがほぼ同率1位のような割合だ。

 東京・大阪・愛知・福岡を押さえて都心部で強いアーセナル、そしてそれ以外の地域で強いリバプール、という傾向があるのも興味深い。これが奇遇にも首都ロンドンを本拠地とするアーセナルと、そこからかなり外れた北部のリバプール、という英国内の関係と対応しているのも面白い所だ。

鳥取県ではリバプールがとんでもなく強く…

 当然と言えば当然なのかもしれないが、名古屋グランパスの元監督アーセン・ベンゲル、愛知県出身の宮市亮が在籍と何かとアーセナルにゆかりのある愛知県ではアーセナルの人気が圧倒的だった。

 また、なぜか鳥取県ではリバプールがとんでもなく強く、レアル・マドリーやバルセロナといったプレミアリーグ以外のクラブを含めても、リバプールが最も検索されていた。

 各都道府県で最も検索されたクラブのみを地図に示しているので図には表れていないが、エリアによってはチェルシーが2位や3位に食い込むところは結構あり、特に、和歌山県・京都府・三重県あたりの近畿地方ではかなりの勢力を誇っている。

 ちなみに、これと同じ地図を2010年のデータで塗り分けるとほぼアーセナル一色になり、逆に2019年など最近のデータを用いると、リバプール一色になる。

 そういった意味では、アーセナルから日本とつながりのある人物が去り、南野拓実擁するリバプールが日本で最も検索されているクラブにとって代わりつつある、という過渡期に現在はあるのかもしれない(ちなみに、他のスポーツクラブとの比較で見ると、リバプールやアーセナルは川崎フロンターレや横浜F・マリノスといったJ1クラブと検索数は遜色ないレベルにあるが、やはりプロ野球には全くかなわず、読売ジャイアンツはこれら全クラブを足してもかなわないくらい検索されている)。

 もちろん今後の成績次第でもあるが、このままリバプールが日本で最注目されるクラブとしての立場を確固たるものにするのか、それともアーセナルやマンチェスター・ユナイテッドの復権はあるのか、あるいはチェルシー、マンチェスター・シティ、トッテナム、はたまたエバートン、レスターなど第4のクラブが現れるのか、プレミアリーグのタイトル争いと並んでこちらにも注目していきたい。

文=山中拓磨

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