メジャーリーグのスプリングトレーニングが現地2月17日から順次始まった。この春はコロナ禍のため、各球団とも少人数でグループを編成し、時間、場所を分けて練習スケジュールを組むなどして感染阻止につとめながら練習を行っている。

 その例年とは違った環境の中で、メジャー4年目を迎えたエンゼルスの大谷翔平が見せる笑顔、かもしだす雰囲気が、実にいい。明らかにここ数年とは違う順調な調整ぶり。身体的にも非常にいい状態で自信がみなぎっていると感じる。

キャンプ練習後の検査を終え、笑顔で手を振る大谷翔平 ©

流れるような美しい投球フォームが蘇った!

 2月18日。大谷はバッテリー組キャンプ2日目にして初めてブルぺンに入った。

 我々報道陣が彼の投球を目にするのは、昨年8月2日のアストロズ戦以来、約200日ぶり。重心が右足にしっかりと乗り、流れるような美しい投球フォームが蘇り、ぎこちなく見えた昨季のフォームとは大きく違って見えた。

 全力投球ではなかったが、体重が乗り、リリースポイントは打者に近く、回転のいいボールが捕手のミットを叩いた。

 この時期に早くも直球、スライダー、カーブ、スプリットと全球種を投げ込むのも昨春とは大違い。8割程度の力でありながら最速は90マイル(約145キロ)に達し、オンライン会見に応じた大谷は手応えを口にした。

「オフもずっとやっていましたし、去年より全然いいと思います。体調もいいです。(右肘の)患部の部分で言うと、やはり馴染んできているのか、自分の体になってきているのかなという感覚も去年より全然あるんじゃないかなと思いますね」

 18年9月に受けたトミー・ジョン手術から2年4カ月。ようやく肘の状態が安定し、頭と体の感覚が一致してきたということか。大谷は2月28日から始まるオープン戦登板にもGOサインを出した。

「もちろん行くつもりでやりますし、去年そんなに実戦では投げていないので。実戦の中での技術は実戦で磨くしかないので、どんどん投げて磨けていければいいのかなとは思っています」

膝を深く曲げ....新たな打撃フォームも披露

 キャンプ初日の2月17日には打撃練習も行った。そこでは昨季とは違う新たな打撃フォームを披露した。

 膝を深く曲げ、右足を高く、長くあげるニュースタイル。狙いは軸足となる左足にしっかりと重心を乗せて打つこと。昨季、打率.190に終わった反省を自己分析しながらオフから取り組んできた。

「去年、結構流れている部分とか多かった。重心が前に流れると良くないことが多いですし、どうしてもフィジカル的に結構そういう部分が去年は出ていたので、より意識してしっかりと軸足を使えたらなと思っています」

 19年10月。大谷は左膝にメスを入れた。先天性の疾患で左膝蓋骨の手術だった。翌年の春キャンプやプレーに支障はないと言われていたものの、アスリートの体と感覚は繊細だ。自分のイメージとは違う動きに苦しめられた。

バットを見つめる大谷翔平。昨季はなかなか調子が上がらなかった ©AFLO

「軸足は使いにくいのかなということは感じていたので、それは意識したからといって次の日から、例えば左膝の状態がよくなるということもなかったですし、リハビリも含めて地道に同時進行でやるしかなかった。今は(軸足を)使えている感覚も戻っているので、より変化球に対してだったり、速い真っ直ぐに対しての反応は、やっぱり良くなってくるのかなとは思う。あとは実戦の中でどういう風に見るかが大事かなと思っていますね」

 2年連続で受けた手術が二刀流の体を狂わせてきたが、ようやく元に戻ってきた実感が、彼の表情を明るくさせている。太ももを中心とした下半身の逞しさも歴然。頼もしさも感じる。

「去年が極端に(体重が)低かったので、体重的にはまず元に戻ったのかなという感覚ですかね。特に下半身は去年は膝のリハビリがメインだったので、しっかりと強化するというメニューではなかったですし、その中で(このオフは)しっかり下半身は強化できたのかなとは思います。体重的にも18年、19年くらいには戻ってるかなと」

いよいよ“異次元の才能”は発揮されるか?

 現在はベストとも言える102キロ。本来の体調と感覚を取り戻せば、大谷翔平が持つ異次元の才能が発揮されるのは間違いない。

 二刀流完全復活。楽しみなシーズンが待っていると感じる、今日この頃である。

文=笹田幸嗣

photograph by AFLO