王様は力みがないくらいでちょうどいい。

 中央に君臨するトップ下は攻撃のタクトをふるい、「王様」とも称されるポジション。そこに鎌田大地が定着しつつある。

 日韓戦では技ありのシュートで追加点を奪って勝利に貢献すると、14−0と記録的な大勝となったモンゴル戦でも1ゴールを挙げ、出場時間を通してチャンスに絡みまくった。ときにボールをキープして、ときに素早く動かして時間と味方を操る。

 周りがスピードを上げれば逆に緩めてスペースに入っていくのも効果的。つまり空間を操るのもうまい。南野拓実が中に入ってくれば、左サイドに回ってのケアも忘れない。周囲を見ながら自分の役割をすらりと算出する器量と、それをさらりとこなせる技量が彼にはある。

 ブンデスリーガの上位に身を置くフランクフルトでレギュラーを張っているだけのことはある。

 動じない、焦らない。

 欧州の地でキャリアを積んできたからこの落ち着きが生まれたのかと言えば、そうではないという。

ちょっとヤル気がないみたいに見られがち

 昨シーズンが終わってインタビューした際にこんなことを語っていた。

「欧州1年目のときに、ちょっとヤル気がないみたいに見られがちで、ハセさん(長谷部誠)にも『それだと損するから、やっているようにしっかり見せたほうがいい』とアドバイスされたこともあります。でも自分自身は別に間違ってないと思っていましたから、これで僕がプレーで良くなっていけば向こうの見方も変わるだろうな、と。

 実際(ベルギーから)戻ってきて、人間的にも成長したとか言われましたけど、僕自身は何も変わっていない。むしろ僕に対する周りの見方が変わっただけだと思うんです」

 プレーどころか異国での日常からして動じていなかった。自分に対する見方を変えさせたのだから、なかなか大したものである。

 彼はこのようにも語っていた。

「自分の強みというのはメンタル。(足もとが)うまいとかそっちに見られがちなんですけど、サッカー選手としての一番の強みはそこだと僕は思っていますから」

 周囲に動かされているようで、実は自分が動かしている。なるほど、「王様」の資質は十二分にある。

文=二宮寿朗

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