2020年から2021年(対象:12月〜3月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト3を発表します。2021箱根駅伝部門の第1位は、こちら!(初公開日 2021年1月20日)。

 駒澤大学の奇跡的な逆転優勝で幕を閉じた今年の箱根駅伝。

 特に前評判から1、2年生の活躍が注目され、上級生にあまりスポットライトが当たらなかった。それでも意地を見せて素晴らしい走りをしたのは、各大学の上級生、とりわけ4年生だった。「さすが」と唸らせてくれた彼らは春から実業団で新たな目標に向かって進むことになる。

その1)劇的優勝の駒大生はどこへ行く?

 優勝した駒大の4年生では、主将の神戸駿介が小森コーポレーション、今年の箱根で3区2位と快走した小林歩がNTT西日本、伊藤颯太が九電工、加藤淳が住友電工、小島海斗がヤクルトに入社予定だ。

 なかでも興味深いのは、小林である。

小林歩 ©Yuki Suenaga

 NTT西日本は今年のニューイヤー駅伝こそ19位に終わったが、関西実業団駅伝では住友電工やSGHをおさえて優勝した力のあるチーム。昨年、チーム解散を決定したDeNAから湊谷春紀、鬼塚翔太、松尾淳之介らを獲得し、今年は小林とチーム力は相当にアップしている。ワンブィ(日大出身)もおり、チーム内で大きな刺激を得られるので、小林がどう成長していくのか楽しみだ。

その2)下克上の創価・区間2位の有望株は?

 箱根を盛り上げた創価大は、原富慶季(7区2位)が九電工に入社予定だ。昨年、舟津彰馬(中央大)ら新卒が3名入社し、チームに勢いを与えており、原富の入社でさらに戦力が上積みされ、来年のニューイヤー駅伝では10年ぶりの8位入賞も見えてきそうだ。

原富慶季 ©Yuki Suenaga

その3)復活・東洋大4年は、先輩を目指して……

 今回、箱根駅伝総合3位と前回10位からいつもの順位を取り戻した東洋大は、西山和弥(7区12位)がトヨタ自動車、吉川洋次(4区6位)がヤクルトに入社予定だ。

 西山は3、4年では箱根で結果を出せなかったが、1、2年時は1区1位を2年連続して実現したポテンシャルが高い選手。実業団で成長し、尊敬する大迫傑に近づくことができるか。また、今年トヨタ自動車はニューイヤー駅伝で2位に終わったが、来年は西山の走りで16年以来の優勝に貢献できるかどうか、楽しみだ。ちなみに、イケメンとして人気が高く、19年、20年と連続して箱根を走った大澤駿は陸上選手を引退するという。

西山和弥©Yuki Suenaga

その4)大失速から復路優勝・青学大の主将&エースは?

 往路12位という大失速から復路優勝を果たし、強さを見せた青学大。

 主将の神林勇太はサッポロビールへの就職が内定しており、昨年の吉田祐也のように引退を撤回することはないと語っている。

 もう1人のエースの吉田圭太(1区6位)は、同期の岩見秀哉(8区3位)とともに住友電工への入社予定だ。

 住友電工は、渡辺康幸監督率いる個性派チーム。先輩の茂木亮太、中村祐紀、田村和希がおり、他には遠藤日向、阿部弘輝ら力がある選手がいる。個人種目に力を入れており、オリンピアンを出すことがチームの目標のひとつ。駒大から加藤淳が入社することも内定しており、個々の活動でお互いに刺激し合えるのはもちろん、ニューイヤー駅伝でも今年は13位だったが初の8位入賞を狙える戦力になりそうだ。

吉田圭太 ©Asami Enomoto

その5)今年は分散? エース名取燎太はコニカミノルタへ

 東海大は、3本柱として活躍した主将の塩澤稀夕(1区2位)が富士通、名取燎太(2区8位)がコニカミノルタ、3年連続で山を登った西田壮志(5区7位)がトヨタ自動車に入社が内定している。

 塩澤は普段は明るいキャラクターだが、中村匠吾、塩尻和也、鈴木健吾、浦野雄平ら黙々と走る強い選手が多いチームに身を置き、五輪を目指すという。富士通は今年のニューイヤー駅伝で優勝しており、選手層の厚さが随一。塩澤の加入で、旭化成に代わって陸上王国を築きそうな勢いだ。

 名取は3学年上の先輩の川端千都がいるコニカミノルタに進む。川端は昨年秋から調子を上げており、コニカミノルタのエースになりつつある。名取のいい目標になるだろう。

名取燎太 ©Yuki Suenaga

 西田は、実業団合宿で服部勇馬と同部屋になり、刺激を受けた。山では神になれなかったが、長距離の特性を持つ選手。日本のトップマラソンランナーから多くを学び、数年でマラソンの表舞台に出てきそうだ。

 東海大は、近年では元主将の湊谷、黄金世代の鬼塚、松尾、館澤亨次らが入社した横浜DeNAと湯澤瞬、三上嵩斗、阪口竜平、關颯人らが所属するSGホールディングスへの入社が目立った。だが、DeNAはチームの解散が決まり、SGホールディングスは今年の採用がなかったため、他チームに分散する結果になった。

その6)日体大、順大、中大…シード権を争った4年生たち

 日体大で2区3位と健闘した池田耀平は、カネボウに入社が内定している。

 昨年12月の日本選手権で、田澤廉(駒大2年)、太田直希、中谷雄飛(ともに早大3年)とともに10000m27分台を出し、一躍注目されるようになった。10000mでは、まだまだ伸びる可能性を秘めており、高岡寿成監督の下で鍛えられればトラックでの活躍はもちろん、ニューイヤー駅伝での活躍も期待される。

池田耀平 ©Yuki Suenaga

 順大の主将で6区2位と激走した清水颯大は、大塚製薬に入社が内定している。

 箱根ではチームのために6区を走り、7位から5位へと順位を押し上げ、シード権獲得に貢献した。体が強く、3年連続で6区を走った経験をどこまで生かし、成長できるか。10区6位だった原田宗広はマツダに進む。マツダには、2時間8分42秒のタイムを持ち、マラソンに強い山本憲二がおり、長距離強化の環境としては申し分ない。

 5区18位と苦しんだ中央大学・畝拓夢は、今年のニューイヤー駅伝で4位に入った日立物流に入社予定。

 チームは91年生まれの主将の日下佳祐、設楽啓太、服部翔大の3人が主軸だが、越川堅太や永戸聖ら活きのいい若手もおり、個人としても駅伝でも自分の力を存分に発揮して戦える環境にある。ちなみに双子の兄の畝歩夢(中央学院大)は、埼玉医科大グループで医療事務に携わりながら競技を継続する。

箱根駅伝OBが“日本の中距離界”を盛り上げる!

 昨年の春に卒業した20年組の相澤晃(東洋大―旭化成)、伊藤達彦(東京国際大―Honda)、浦野雄平(国学大―富士通)、土方英和(国学大―Honda)、阿部弘輝(明大―住友電工)、鈴木塁人(青学大―SGH)、吉田祐也(青学大―GMOインターネットグループ)、館澤亨次(東海大―DeNA)、關颯人(東海大―SGH)、小松陽平(東海大―プレス工業)、青木涼真(法大―Honda)、山下一貴(駒大―三菱重工)、中村大成(駒大―富士通)らは、箱根駅伝だけではなく、日本の中長距離界を大いに賑わせた実力者たちが非常に多かった。

 今年の4年生は、昨年ほど人材が潤沢ではないが、今後が楽しみな選手が多い。アスリートとしてはこれからが本当の闘いになるが、箱根戦士としても、周囲をアッと言わせるよう走りで成長した姿を見せてほしい。

2020-21年 2021箱根駅伝部門 BEST3

1位:青学主将はビール会社、あの東洋イケメン選手は…箱根駅伝で「活躍した4年生」はどこへ行くのか?
https://number.bunshun.jp/articles/-/847887

2位:【箱根駅伝、新勢力図】高校生トップ5は「どの大学」へ? 高校記録保持者、「非の打ち所がない」大迫傑の後輩…
https://number.bunshun.jp/articles/-/847974

3位:箱根駅伝出場者は就活に有利? 「選手と主務の序列は…」実業団チームから商社、消防士、YouTuberまで
https://number.bunshun.jp/articles/-/847880

文=佐藤俊

photograph by Yuki Suenaga