元イタリア代表MF、"賢人"ことリッカルド・モントリーボ独占インタビューの3回目。自身が活躍し、準優勝を遂げたEURO2012ウクライナ・ポーランド大会での甘苦の思い出を回想した前回に続く最終回は、群雄割拠のEURO2020に臨むアズーリの戦力分析、さらには自身の将来についても語ってくれた。(翻訳&構成 弓削高志)

2012年と今のチームが似通っているワケ

――9年前の大会で、智将プランデッリはイタリアに68年大会以来となる欧州制覇の夢を見せてくれました。彼が率いた2012年当時の代表チームと、ロベルト・マンチーニ監督による現代表チームに共通点があるとしたら、どんな点でしょう。

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モントリーボ 2012年大会のイタリアは優勝候補と見られていたわけじゃなかったけれど、それを覆してタイトルを勝ち取るだけのポテンシャルを秘めていた。今大会のアズーリもそうだと思う。

 2つのチームは似通っている。プランデッリ監督のチームも、マンチーニ監督のそれと同様にテクニック主義で、プレーのクオリティを重視することや選手たちのマルチロール遂行能力、異なるポジションでの戦術変化への対応力などを駆使して、トーナメントまで勝ち上がっていった。

 あのときの代表には、(アントニオ・)カッサーノと(マリオ・)バロテッリという"理屈を超越した"コンビがいた。あの(無分別で無軌道な)2人を組ませたところで、普通なら機能するはずがない。だけど、EUROという特別すぎる舞台が、あの2人の才能を機能させたんだ。それについては疑う余地がない。

――今大会、イタリアは本大会のグループリーグ3試合を首都ローマの「オリンピコ」で戦います。地元開催はどれほどのメリットとなるでしょうか。

地元開催は“諸刃の剣”さ

モントリーボ 歴史の常道から言えば、地元開催は"諸刃の剣"さ。決定的に重要なのは、初戦の結果だ。

 初戦を白星発進できれば、地元開催は最高の推進剤になるけれど、もし下手を打ったらとんでもないプレッシャーを抱え込むことになる。EUROやW杯のような巨大な国際トーナメントが地元開催となれば、のしかかる重圧は計り知れない。

 所属クラブでチャンピオンズリーグやクラブW杯の経験がある選手であっても、それと比べようがないほどきついものだ。大会期間中、開催国のチームはつねにプレッシャーと付き合う覚悟が必要になるだろうね。

ムバッペ、デブライネ、ロナウド的存在はいないが

 イタリア代表は、EURO本番を前にテストマッチで連勝した。5月28日のサンマリノ戦で7−0と圧勝した後、6月4日にはチェコを4−0で下している。

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 実力国チェコ相手にほぼベストメンバーで臨んだ2戦目には、4−3−3のレジスタ役に、チェルシーで欧州チャンピオンズリーグを制したばかりの司令塔ジョルジーニョが先発。11日のトルコとの初戦に向け貫禄のボール捌きを見せると、FWロレンツォ・インシーニェとFWチロ・インモービレら攻撃陣も躍動して4ゴールを奪った。

 73分にFWドメニコ・ベラルディがダメ押しと思える4点目を奪った後も、イタリアは敵陣でのハイプレスを続行し、パスをつなぎ、なおもゴールを狙い続けた。

 今大会のフランスにはFWキリアン・ムバッペがいて、ベルギーにはFWロメル・ルカク、MFケビン・デブライネもいる。さらに前回王者のポルトガルには、今季のセリエA得点王FWクリスティアーノ・ロナウドがいる。優勝候補とされる強豪国に比すれば、イタリアの選手たちの国際的知名度は劣るかもしれない。

 しかし、チェコ戦で見せた"最後の最後まで、つないで攻めて攻めきるスタイル"こそ、指揮官マンチーニが3年をかけて植え付けた新時代アズーリの真髄であり、欧州予選10戦10勝をもたらした原動力なのだ。ベンチも一丸となって試合前の国歌「マメーリ賛歌」を大声で斉唱するアズーリの仕上がりは上々だ。

 9年前の7月1日、キエフの地で涙をこぼしたモントリーボの目には、代表の後輩たちがさぞ頼もしく映っていることだろう。

代表監督を夢見るのは自然だろう?

 現在、彼の指導者としての道はすでに開かれている。今年の夏はバカンスもほどほどに監督ライセンス講座のビデオ講義や課題に忙殺されながら、例年より遅く秋にずれ込んだ最終試験への準備を進めるのだ。

 もう「もしも」の話ではない。問題は「いつ」始めるかだ。

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――"モントリーボ監督"誕生の日も近いと考えていいと思いますが、指導者キャリアの目標として、いつかイタリア代表を率いてみたいという夢はありますか?

モントリーボ もちろんさ! サッカー選手になろうとする子供がいつか代表入りを、と夢見るように、指導者を目指すなら代表監督を夢見るのは自然なことだろう?

 それに一度監督ライセンスを取得すれば、世界中で代表監督をすることも可能になる。アジアの国でもそう。(アルベルト・)ザッケローニ監督が日本でやったようにね……。

(第1回、第2回は関連記事からもご覧になれます)

文=マルコ・パソット

photograph by Takuya Sugiyama