2016年アエロリット、17年ケイアイノーテック、ステルヴィオ、ダノンプレミアム、18年グランアレグリア、サートゥルナーリア、アドマイヤマーズ、19年サリオス、ラウダシオン、20年ユーバーレーベン、ダノンザキッド。

 これらは、過去5年で、2歳時の6月に行われた新馬戦を勝ち、その後GIを制した馬たちである。

 ここに記した11頭のうち、ケイアイノーテックとステルヴィオ、グランアレグリア、そしてサリオスは、6月1週目の新馬戦を勝っている。

 2012年以降、JRAの2歳新馬戦が日本ダービーの翌週、すなわち6月の1週目(14年は2週目)から行われるようになった。それにより、「ダービーからダービーへ」という馬づくりのサイクルが明確になったと同時に、期待馬が早い時期にデビューするようになった。

 2歳時の4月に育成牧場を出てトレセンの厩舎に入厩し、ゲート試験に合格したらいったん放牧。そして、5月なかごろまでに帰厩して6月の新馬戦に出走し、勝ったらまた放牧に出て秋に備える――といった形がしばしば見られるようになったのである。

来年のクラシックでも活躍が期待できそうな大物

 今年も、ダービーの翌週、6月5日と6日の新馬戦が終わった。ひょっとしたら、私たちは来年のクラシックホースをすでに目撃しているかもしれない。

 ということで、先週の新馬戦を振り返りながら、期待の2歳馬について見ていきたい。

 結論から言うと、来年のクラシックでも活躍が期待できそうな大物が、早速現れた。

 今年JRAで最初に行われた新馬戦は、6月5日、土曜日の中京第5レース、芝1600mの2歳新馬戦だった。

 アオり気味にスタートしたクラウンドマジック(牡、父エピファネイア、栗東・加用正厩舎)は道中後方に待機し、直線で外に持ち出されると豪快に伸び、先に抜け出した1番人気のラクスバラディーをきっちり差し切った。2代母は重賞2勝、オークス2着のゴールデンジャック。伯父に京阪杯など重賞3勝のサイドワインダー、いとこに川崎記念を勝ったミツバがいるなど、母系にも活力がある。

「来年のダービー、予約します」とルメールに言わしめた

 さらに大きなスケールを感じさせたのは、15分後にスタートした東京第5レース、芝1600mの2歳新馬戦を勝ったコマンドライン(牡、父ディープインパクト、美浦・国枝栄厩舎)だ。サンデーレーシングが所有し、ノーザンファームで生産された良血馬である。

 単勝1.1倍の圧倒的な支持を得たコマンドラインは、クリストフ・ルメールを背に、ポンと速いスタートを切った。そのまま好位につけ、楽な手応えで直線へ。ラスト400m付近で外に出てスパートしたが、内で逃げ込みをはかるコンクパールとは4、5馬身の差がある。なかなかエンジンがかからず、一時は届かないかに見えたが、ラスト200m付近から猛然と加速。ラスト100mを切ったあたりでコンクパールを並ぶ間もなくかわし、3馬身突き放した。

「来年のダービー、予約します」とルメールがコメントしたほどの勝ちっぷり。距離が延びれば、さらにレベルの高い走りを見せてくれるに違いない。国枝師も「2000mぐらいあったほうがいい」と話している。

 前週のダービーで、国枝師が管理し、ルメールが騎乗した牝馬のサトノレイナスは5着に敗れた。実は、そのサトノレイナスも、昨年、6月1週目の東京芝1600mの新馬戦を勝っているのだ。

 いまだダービーを勝っていない伯楽が、2年つづけて同じスタートラインから送り出す駿馬で、悲願達成を狙う。

クレイドルの半兄はステラヴェローチェ

 翌日、6月6日、日曜日に中京芝1400mで行われた新馬戦を逃げ切ったのはブレスレスリー(牝、父アメリカンペイトリオット、栗東・藤岡健一厩舎)だった。新種牡馬の父に産駒初勝利をプレゼントした。

 その日に行われた東京第5レース、芝1600mの新馬戦を勝ったクレイドル(牝、父クロフネ、美浦・黒岩陽一厩舎)も先々が楽しみな一頭。キャロットファームが所有し、ノーザンファームで生産された。半兄のステラヴェローチェは、GIIIのサウジアラビアロイヤルカップを勝って朝日杯フューチュリティステークスで2着となり、皐月賞とダービーで3着と好走した世代屈指の実力馬だ。

 すっと好位につける脚があるし、道中の操縦性もいい。綺麗な芦毛と直線で見せた大きなストライドは父譲りだ。

6月の新馬戦勝ち馬からGIホースが続々誕生

 つづく東京第6レース、芝1400mの2歳新馬戦を勝ったのはミルコ・デムーロが乗るビーオンザマーチ(牝、父モーリス、美浦・林徹厩舎)。楽に流れに乗り、直線でしっかり伸び切った。

 今週末、6月12日と13日にも楽しみな新馬が出走する。

 12日の東京芝1400mには白毛のハイアムズビーチ(牝、父ドレフォン、美浦・萩原清厩舎)、13日の東京芝1800mには外国産馬のフィフティシェビー(牡、父タピット、美浦・藤沢和雄厩舎)、12日の中京芝1600mにはヴィクトリアマイルを勝ったアドマイヤリードの半妹のベルクレスタ(牝、父ドゥラメンテ、栗東・須貝尚介厩舎)などの期待馬が出走を予定している。

 冒頭に記した馬たちより前、6月の新馬戦がスタートした2012年はマイネルホウオウとロゴタイプ、13年はレッドリヴェールとイスラボニータ、そして15年はメジャーエンブレムが6月の新馬戦を勝ち、のちにGIを制している。つまり、14年以外は毎年6月の新馬戦の勝ち馬からGIホースが現れているのだ。

 先述したコマンドラインに匹敵するか、それ以上の大物が登場するか。今年も6月の新馬戦を楽しみたい。

文=島田明宏

photograph by Sankei Shimbun