日本代表にU-24日本代表になでしこ、並行して開催される国内サッカーの公式戦、そしてEURO。1年前の6月と比べて、サッカーを堪能しすぎと言うほどずっとサッカーを見ている……が、各種もろもろの作業をしなきゃいけないはずなのに『Mr.CB ミスターシービー』というサッカー漫画にもハマってしまった。

 ザクッとあらすじを言うと、日本代表で実績を残した名センターバックが、3部リーグの舞台で無名の10代センターバックを“相方”にして育成していく――というものだが、昔々のその昔、センターバックをやっていた人間(なお身長伸びずにコンバート)からすると「おお、ついにセンターバックが主役になるマンガが生まれたのか」と思う。

 マンガの世界でも、サッカー界の花形と言えばストライカーやアタッカー、ゲームメーカーだったからだ。でもここ近年は“リアルに描く”系のマンガが増えたこともあって、センターバックに脚光を当てる本作が生まれたのだろう。

 きっと、現実の世界で“スーパーなCB”が増えたことも、大きく影響しているんじゃなかろうか。

セリエAで常時出場した吉田と冨安はスゴい

 もちろん日本サッカーには井原正巳、秋田豊、松田直樹、宮本恒靖、中澤佑二、田中マルクス闘莉王……と数多くの名CBがいた。ただ、ここ最近の森保ジャパンを見ていて、吉田麻也&冨安健洋のCBコンビの安定感たるや……と思っている人は多いだろう。

<吉田と冨安の2020−21シーズン/セリエA成績>※データはすべて「transfermarkt」より
吉田麻也(サンプドリア)
32試合1得点2アシスト/2270分出場
冨安健洋(ボローニャ)
31試合2得点/2719分出場

 まさか自分の生きているうちに、守備の国イタリアでレギュラーを張るセンターバックが2人出るとは。ある意味、レアル・マドリーやリバプール、マンチェスター・ユナイテッドやミラン、インテルなどのメガクラブに加入するよりも、想像していなかった出来事かもしれない。

 と、感慨深くなりつつ……気になるのが、彼らの市場価値だ。

冨安の“3年間の市場価格推移”を見ると……

 特に評価が急上昇しているのが、冨安である(そういや「Mr.CB」第3巻のオビにもコメントを寄せていた)。U-24日本代表は負傷のため途中離脱したとはいえ、抜群の守備力だけでなく攻撃にも関与できる万能型DFとして日に日にその存在感を増している。市場価格の推移を見ても驚きである。

<冨安の市場価格推移>※1ユーロ=133円で計算
〜シント・トロイデン時代〜
2018年6月 35万ユーロ(4655万円)
2018年12月 600万ユーロ(7億9800万円)
2019年5月 900万ユーロ(11億9700万円)
〜ボローニャ時代〜
2019年12月 1000万ユーロ(13億3000万円)
2020年3月 1500万ユーロ(19億9500万円)
2020年8月 1800万ユーロ(23億9400万円)
2021年6月 2000万ユーロ(26億6000万円)

 たった3年で26億円も価値をアップさせている。今や世界のセンターバック全体で74位、1998年生まれに限っても31位となったそうだ。日本においても鎌田大地(2500万ユーロ/33億2500万円)に次ぐ2位で、同じ東京五輪世代の久保建英(1500万ユーロ/19億9500万円)を上回っている。

 そりゃクリスティアーノ・ロナウドら多士済々のアタッカーとマッチアップし、時にはサイドバックを務め、鮮やかなゴールを決めることもあるのだから……価値が高騰するのも当然だし、マンガみたいなサクセスストーリーの真っただ中にいるといっても過言ではない。

ワールドクラスのCBは、どれくらいの価値?

 一方であれだけ盤石な守りと強いキャプテンシーを見せている吉田(320万ユーロ/4億2560万円)、五輪世代で言えばオランダで結果を残している板倉滉(350万ユーロ/4億6550万円)はもうちょっと価値が高いんじゃないか……とか独りでブツブツ言っていたのだが、手元にあるNumber1028号のEURO名鑑が目に入って、ふと思った。

 ヨーロッパのワールドクラスのCBは、どれくらいの市場価値なんだろう?

 ということで、同じく「transfermarkt」からセンターバックで「5000万ユーロ=66億5000万円」以上の市場価値を付ける選手を調べてみた。

ファンダイクやアラバは73億円で……

<CBの「5000万ユーロ」超え市場価値の選手>※2021年6月現在
5000万ユーロ(66億5000万円)
パウ・トーレス(24歳/スペイン/ビジャレアル)、ステファン・デフライ(29歳/オランダ/インテル)

5500万ユーロ(73億1500万円)
ビルヒル・ファンダイク(29歳/オランダ/リバプール)、ダビド・アラバ(28歳/オーストリア/バイエルン→レアル・マドリー)

6000万ユーロ(79億8000万円)
ジュール・クンデ(22歳/フランス/セビージャ)、ダヨ・ウパメカノ(22歳/フランス/RBライプツィヒ→バイエルン)、アレッサンドロ・バストーニ(22歳/イタリア/インテル)、ホセ・ヒメネス(26歳/ウルグアイ/A・マドリー)、ミラン・シュクリニアル(26歳/スロバキア/インテル)

7000万ユーロ(93億1000万円)
ラファエル・バラン(28歳/フランス/R・マドリー)

7500万ユーロ(99億7500万円)
マタイス・デリフト(21歳/オランダ/ユベントス)、ルベン・ディアス(24歳/ポルトガル/マンチェスター・C)、マルキーニョス(27歳/ブラジル/PSG)

 まさに錚々たる面々である。バロンドール獲得も期待されたファンダイク、アラバのサイドバックどころかウイング的な役割までこなせる超マルチロールぶりには「もうちょっと市場価格アップしても……」と思ったが、それぞれ各メガクラブの中心を任されるだけの能力を見せている。

 あと、ウパメカノをバイエルンに送り出したRBライプツィヒ、クンデとジエゴ・カルロス(4500万ユーロ)がいるセビージャはきっと、市場価値を見極めた“いい商売”を狙っているんだろうなあ……とも思ってしまう。

冨安に近い価格帯の選手も名が通っている

 余談はともかく、冨安と近い市場価格の選手も見てみた。

2500万ユーロ(33億2500万円)
クレマン・ラングレ(25歳/フランス/バルセロナ)
アレッシオ・ロマニョーリ(26歳/イタリア/ミラン)
2400万ユーロ(31億9200万円)
ビクトル・リンデロフ(26歳/スウェーデン/マンチェスター・U)
2200万ユーロ(29億2600万円)
エリック・ダイアー(27歳/イングランド/トッテナム)
2000万ユーロ(26億6000万円)
エリック・ガルシア(20歳/スペイン/マンチェスター・C→バルセロナ)
1800万ユーロ(23億9400万円)
ジョエル・マティプ(29歳/カメルーン/リバプール)

 多少の年齢の差異はあるとはいえ、彼らと同じくらいの価値がすでにあるとみると……冨安が相当認められているのだなと嬉しくなる。

 移籍市場の“ウワサ”で、ここ近年進境著しいアタランタへの移籍話が出ている冨安。さらなるキャリアアップを果たせば、マンガでも「現実味なさすぎ!」と言われるくらいのスゴいストーリーと市場価値アップを今後も果たすかもしれない。ぜひ「日本サッカー最強のセンターバック」への道を歩んでほしいものだ。

<マンガ『Mr.CB』第1話〜第3話が関連記事からご覧になれます!>

文=茂野聡士

photograph by JMPA/Getty Images