2021年上半期(3月〜8月)、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。メジャーリーグ部門の第1位は、こちら!(初公開日 2021年6月3日/肩書などはすべて当時)。

 打てばホームラン、投げれば奪三振、たまにセーフティバントと盗塁。あろうことか交通渋滞で登板回避したのにバッターで登場……野球をそんなに知らなくても、大谷翔平の一挙手一投足を楽しんでいる人は多いだろう。

 投手、打者両面で活躍していることから、大谷を投手でも野手でもなく「2-Way-Player」と表記する向きもあるという。また大リーガーだけじゃなくNBAのスタープレーヤーであるケビン・デュラントやNFLの選手も「別次元の生物かよ!」とツイートするのだから、その話題性がアメリカでも本物であることがSNSを通じてよくわかる。

大谷のプレーはアメリカでも大きな話題に©Getty Images

 そんな大谷……ライトな野球好きとしては気になってしまうのは、年俸である。投手と打者両方で一流レベルの成績を残しているのだから、すごく高いんでしょ――と思う人もいるかもしれないが、基本的には「前年の成績や過去の実績」をベースに、複数年契約なども含めて決められている。ゴルフやテニスなどの賞金スポーツのように結果を出す=すぐに稼げる、というわけではない。

 2020年こそ負傷明けのシーズンでなおかつ60試合制で数字が少し伸び悩んだとはいえ、大谷は過去3シーズン、打者として結果を出してきた。でも、何かのニュースで大谷の年俸はメジャーの超一流と比べると"お値打ちすぎ"じゃないか、という見出しを目にした記憶がある。

気になったら年俸の差を調べてみるしかない

 と、気になったら調べてみるしかない。「メジャーの超一流打者と大谷の年俸」の差異をだ。

 いつぞや日本プロ野球における「捕手の年俸と他ポジションの格差」を調べた記憶がある。その時にも書いたが、昔よく見たインターネットのバナー広告風の「えっ、大谷の年俸安すぎ?」にならなきゃいいのだが……。

 アメリカには「spotrac」という一風変わったスポーツサイトがある。各競技の選手の契約条件や年俸を網羅し、大坂なおみが「最も稼ぐアスリートになった」と発表したことも話題になった。

 人の稼ぎが気になるって、万国共通なんだなあ……と調べている自分も恥ずかしい気分になるが、このサイトの「MLB Salary Ranking」から、大リーグ強打者の年俸について調べてみた(1ドル=109円で換算)。

 まずは大谷の年俸について記しておこう。

3億円超でもエンゼルス内での順位は……

大谷翔平(エンゼルス/2Way/26歳)
300万ドル(3億2700万円)

 うーむ……日本のプロ野球ならかなり高額な部類だが、すごく稼いでいる印象がある大リーグだとどうなんだろう。気になってエンゼルスをソートして見ると、大谷はチーム内11位。同サイトでは「投手」で振り分けられており、投手としては6位である。

 活躍ぶりを踏まえれば、やっぱりお値打ちすぎる! と言いたくなってしまう。

 続いては、大リーグ全体で見た打者上位10人の年俸だ(1万円未満は切り捨て)。

<打者の上位10人>
1位:M・トラウト(エンゼルス/CF/29歳)
3711万6666ドル(40億4571万円)
2位:N・アレナド(カージナルス/3B/30歳)
3500万ドル(38億1500万円)
3位:M・マチャド(パドレス/3B/28歳)
3200万ドル(34億8800万円)
4位:M・カブレラ(タイガース/DH/38歳)
3000万ドル(32億7000万円)
5位:G・スタントン(ヤンキース/DH/31歳)
5位:J・アルテューベ(アストロズ/2B/31歳)
2900万ドル(31億6100万円)
7位:A・レンドーン(エンゼルス/3B/30歳)
2807万1428ドル(30億5978万円)
8位:B・ハーパー(フィリーズ/RF/28歳)
2753万8462ドル(30億169万円)
9位:P・ゴールドシュミット(カージナルス/1B/33歳)
2600万ドル(28億3400万円)
10位:J・ボット(レッズ/1B/37歳)
2500万ドル(27億2500万円)

 おお、まさにケタ違い……大谷の同僚であるトラウトとは10倍以上の差があるし……。

 トラウトを筆頭に、メジャーに詳しくない野球ファンでも「あ、聞いたことある選手たちだ」という名前がズラッと並んでいるのではないか。当然、実績を見ても彼らは漏れなく本塁打やOPSなどで超一流の数字を残している。

握手する大谷とトラウト(2018年撮影)©Getty Images

大谷以外のパワーヒッターの年俸にも“格差”が?

 ここ近年、ホームランをガンガン狙っていく「フライボール革命」がさらに進行した。やっぱり大リーグの舞台でも、なんだかんだ言って「ロングヒットを狙える選手」が一番評価されているのだろう。ただそう考えれば、野手・大谷は長打力だけでも魅力的なわけである。年俸が今後、爆上がりするはずと期待したくなる。

 ちなみに今季、大谷とア・リーグでホームラン王争いを繰り広げる主な選手の年俸は以下の通り。

<ア・リーグの主な本塁打数上位選手の年俸>
A・ガルシア(レンジャーズ/OF/28歳)
57万5000ドル(6267万円)
V・ゲレーロJr.(ブルージェイズ/3B/22歳)
60万5400ドル(6598万円)
R・デバース(レッドソックス/3B/24歳)
457万5000ドル(4億9867万円)
M・オルソン(アスレチックス/1B/27歳)
500万ドル(5億4500万円)
A・ジャッジ(ヤンキース/RF/29歳)
1017万5000ドル(11億907万円)
JD・マルティネス(レッドソックス/DH/33歳)
1935万ドル(21億915万円)

 ピンキリと言いたくなるほど、価格帯に大きな差異がある。ゲレーロJr.とガルシアは今年ブレークしようとしている選手だけあって、大谷以上に低い年俸となっている。

 その一方で「ガッツリもらっている」のはジャッジやJD・マルティネスだ。ヤンキースで田中将大が昨シーズンまでプレーしていたこともあって、2人の名前をよく見たという野球好きも多いだろう。やはり数年間ホームランを打ち続けていれば、契約更改での大幅アップ率が日本のプロ野球よりさらにすごいのだと分かる。

ヤンキースのジャッジの“上がり幅”を見てみると

 では実際、年俸がどれくらい上がるのか。今後の大谷の上がり率を推測するなら、ここ近年で覚醒したジャッジの推移を見てみれば把握できるんじゃなかろうか、と思った。

大谷の“松井超え”32号©Getty Images

 同サイトでは各シーズンの年俸も掲載されている。2020年までのジャッジの本塁打数とともに「年俸の上がり具合」は以下の通り。

2016年:50万7500ドル/4本塁打
2017年:54万4500ドル/52本塁打
2018年:62万2300ドル/27本塁打
2019年:68万4300ドル/27本塁打
2020年:850万ドル/9本塁打※60試合制
2021年:1070万5000ドル

 2017年の52本塁打が大きなインパクトを残したが、2018。19年ともに2カ月ほどの負傷離脱があったうえでのこのホームラン数なのだから、当代きってのパワーヒッターと言えるだろう。3年連続で結果を残したことによって、日本円にして1億円以下だったのが一気に給与がアップ。アップ率で見てみれば1142%! である。

じゃあ、大谷の上がり具合ってどれくらい?

 最後に、大谷の上がり具合も見てみよう。

2018年:54万5000ドル/22本塁打
2019年:65万ドル/18本塁打
2020年:70万ドル/7本塁打
2021年:300万ドル

 ちなみに同サイトによると、大谷は2022年に550万ドル(5億9950万円)になるとされている。ジャッジはいわゆる「金満球団」のヤンキースの看板選手でアップ率が高い側面もあるのだろうが、大谷も徐々に上がっている。そして今シーズンの活躍を踏まえれば、球団側がさらなる好条件を用意して当然、のはずである。

大谷の活躍が続けば、今後は年俸の話題で盛り上がること必至だろう©Getty Images

リリーフ陣のやられっぷりを見ていると……

 現地では早くも、2年後のFAに向けて「お願いだから、大谷をちゃんと残してくれ!」といったファンの声が挙がっているという。

 そりゃまあ……あのリリーフ陣のやられっぷりを見てると文句の1つも言いたくなるだろうし、だからこそ大谷の年俸上げてあげてよ――というのはさておき、投打両方で一流クラスの大谷が報酬面で大幅アップとなるのはプロとして必然だろう。

 ホームランはもちろんのこと、二刀流の価値がさらに認められ、年俸でも大きな夢を見せてくれると信じたい。

文=茂野聡士

photograph by Getty Images