今場所の大関陣はだらしなさ過ぎたよね。正代は5勝10敗、御嶽海は6勝9敗、貴景勝は千秋楽でやっと勝ち越し。今までもいろいろな大関がいたけど、今の大関陣はワーストだよ。御嶽海なんて、まだ大関2場所目でしょ? カド番が当たり前で、来場所8番勝てばいいやって、そんな考えじゃダメ。全員、肌にハリがなかったし、正代なんてケツがだらしないんだもの。お相撲さんはケツを見ればわかるんだ。稽古がじゅうぶんで四股をたくさん踏んでいれば、自然とケツや太ももが張ってくるものだから。

 大関は相撲協会の看板で、若手を引っ張っていかなきゃいけない立場。大関というのは、もともと一番強い番付なんだよ。横綱というのは、大関のなかで特別に強い人に対する名誉の称号だからね。江戸時代に、伝説の最強大関「雷電」がいたけど、雷電さんが怒って、この3大関にカミナリ落としてほしいよな。

お客さんのお陰でメシが食えているのを忘れちゃいけない

 先場所で初優勝した関脇の若隆景。今場所は9勝に終わって、あと1番勝っていれば来場所の大関取りに繋がったけれど、やり直しだね。でも、焦らなくていいよ。自分の相撲が固まってからじゃないと大関に上がっても苦労する。1回優勝したからすぐに大関って、簡単に上がってしまうと、今の大関たちみたいになってしまうから。

 膝の調子が悪そうで心配された横綱の照ノ富士が、12勝3敗で優勝した。負けた相手は大栄翔、玉鷲、隆の勝の3人だけど、照ノ富士は押し相撲に弱いのがハッキリわかったよね。横綱として最後を締めてくれたけれど、逆に周りが頑張らないからとも言える。特に千秋楽の結びの一番は、すでに負け越していた御嶽海が相手で、御嶽海がしょーもない相撲取ってさ、お客さんにも失礼だよ。

 今場所は、収容人数上限87%という、久しぶりにたくさんのお客さんが入った場所だったのに、だらしない相撲を見せてしまった。お客さんのお陰でメシが食えているのを忘れちゃいけないよ? 千秋楽の序ノ口や序二段の優勝決定戦のほうが、よっぽど面白かったもんな。

今場所の“丸ちゃん賞”は…

 隆の勝と佐田の海が最後まで優勝争いに関わって盛り上げてくれて、ふたりとも11勝4敗で三賞をもらえたね。佐田の海は西12枚目の番付で、それまでノーマークでもあったけれど、優勝を意識してか14日目はちょっと硬くなってたな。大栄翔に一発でもって行かれちゃったんだ。千秋楽では隆の勝をひっくり返して優勝争いをさらに面白くしてくれたんだけれど、結びの一番で照ノ富士と当たってもよかったかな、と思う。今場所の気持ちで来場所にも臨めば、面白い存在になってくれるはずだね。

 小結として勝ち越した豊昇龍は、まだまだだな。どこかまだ中途半端で“自分の相撲”を取り切れていないの。相手の出方によって相撲を変えちゃうんだよね。相手より先に先に、と意識すればいいよ。

 若隆景のお兄ちゃんの若元春は9勝。いやらしい相撲を取らず、大きな体ではないのに当たって組んで、自分の形でがっぷり四つに行くんだよね。でも、あと2、3場所は見てみないとな。今場所は西6枚目だったけど、来場所以降、上位に番付が上がってから、そこで自分の相撲が取りきれるかどうかが問題。初日から大物と当たって、そこからの”流れ”というものが大きいから。上位との戦いに慣れれば、これから先が楽しみなひとりだね。

 十両2場所目の、19歳の熱海富士が注目されているけど、まだ脇が甘いし、腰が高い。あと、落ち込むのが早いぞ(笑)。勝っても負けても顔に出て、その表情が微笑ましいと言われてるんだけどね。もっと体を丸くして当たって一気に走れば、もっともっと伸びるよ。

 あとは、西15枚目で勝ち越した一山本がよかったな。まだまだ力不足だけど、何をやっても、思い切りいく相撲なんだ。勝っても負けても花道でニコニコと、すがすがしい感じで精一杯ぶりが伝わってくるんだよね。  

 今場所全体としては、最後の最後まで優勝がわからず、面白かったと思う。“丸ちゃん賞”は、35歳の佐田の海にあげようかな。

 7月の名古屋場所は、久しぶりの”通常開催”になるんだそう。みなさん、また名古屋でお会いしましょう!

(構成=佐藤祥子)

文=武蔵川光偉

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