今シーズンから日本ハムを率いる新庄剛志監督。球団OBで野球評論家の西崎幸広氏は、ここまでの戦いをどう見るのか? 前編は防御率が現在リーグ6位に沈む投手陣について聞いた。(全2回の前編/後編へ)※成績はいずれも6月20日終了時点

BIGBOSSは「先入観なしに戦っている」

――新庄BIGBOSSが率いる北海道日本ハムファイターズは、セ・パ交流試合で8勝10敗という成績で12球団中8位につけましたが、6月20日時点で勝率4割を切り(.394)、パ・リーグの最下位に沈んでいます。ここまでの戦いを、球団OBでもある西崎さんはどう評価していますか?

西崎 はっきり言って、満足な数字は残せていませんが、まだシーズンは半分も終わっていないので(66試合)、これからですよね。開幕から一貫して若手を積極的に起用した効果が出るのには時間がかかります。 

1987年のプロ入り後、5年連続2桁勝利に輝くなど、ファイターズのエースとして活躍した西崎幸広氏 ©BUNGEISHUNJU

――ここまで26勝40敗。投手陣の防御率は3.60でリーグ6位ですが、チーム打率は.241で2位、本塁打数は52でリーグトップです。いい兆しに見えますね。

西崎 前年5位(55勝68敗20分、勝率.447)だったチームが戦力補強なしに挑んだシーズンなので、仕方がない。監督就任の際に「優勝なんか目指しません」と言い切りましたが、その言葉通りの戦いだと言えますね。2021年のファイターズの試合をじっくり見てなかったとすれば「よくわからない」というのが本心だったのではないでしょうか?

 自分のチームの選手たちがどれだけ戦えるのか、どんな性格なのかを見極めているところでしょう。おそらく相手チームのこともよく知らなかったでしょうし。監督は、先入観なしに戦っているとも言えますね。

目立つ若手の積極起用…ではベテランは?

――実績のある選手も若手も横一線のスタートとなりました。そんななかで、伊藤大海が5勝(リーグ3位タイ)、上沢直之が4勝、防御率2.72、加藤貴之は3勝ですが防御率1.76(リーグ4位)と、ローテーションの軸が確立されつつあります。

西崎 上沢、伊藤大海、加藤の3本柱が見えつつあります。もともと先発陣にはいいピッチャーが揃っていたので心配してなかったのですが、問題はうしろの3人、セットアッパー、抑えをどうするか。ここには課題が残っています。左ピッチャーの堀瑞輝、開幕投手もつとめた北山亘基がどれだけ働くかでしょうね。

――シーズン前、ファイターズに所属する選手全員を、一度は一軍で起用すると新庄監督は宣言していました。

西崎 そう言ったからには実現してほしいです。故障者やまだ実力が足りていない選手もいるので現実的には難しいけど、彼ならばやってくれるんじゃないでしょうか?

――しかし、若手の出番が増えれば、ほかの選手の出場機会が奪われることになります。ベテランにとっては厳しい状況かもしれません。

西崎 ベテランが生きるかどうかは監督次第。新しい監督には、前任者の色がついた選手よりも、自分が見出した若手を使いたいという気持ちがあるはず。数年後を見据えれば、そう考えても不思議じゃない。

――14年連続で50試合以上の登板を続けてきたセットアッパーの宮西尚生が、登録を抹消されて二軍に落ちました。若手を積極的に起用することで、投手陣の形が変わりつつあります。

日本ハム・宮西尚生(写真は2016年日本シリーズ) ©BUNGEISHUNJU

西崎 若い選手にとってはこれ以上のチャンスはありません。もし今年優勝できなくても、2年後、3年後に狙えればいい。だけど、1年1年が勝負のベテラン選手にとってはかなり厳しいものがありますね。自分の力があるうちに勝ちたいと思うはずですから。そのあたりを誰がフォローしているのかなという心配はありますね。

 全盛期と比べて自分の力が落ちていることはベテラン本人がいちばんわかっています。空振りを取れていたはずのボールをファールにされたり、打ち込まれたり。登録抹消された宮西にとっては踏ん張りどころですね。

“二刀流候補”上原は「まずはピッチャーとして一本立ちしてほしい」

――経験豊富な宮西の力が必要とされるときが来るでしょうか?

西崎 それは絶対にありますよ。いま、宮西がどんな気持ちでいるのか。腐ったら終わりですから。宮西の連続試合登板という記録を新庄監督がどう考えているのかも気になりますね。

――ピッチャーとバッターの二刀流として期待されるサウスポーの上原健太についてはどう評価していますか?

西崎 ドラフト1位で入団した選手で期待は高かったんですが、故障もあって、プロ6年間で7勝とくすぶっていました。今年チャンスをもらって伸びつつある選手のひとりです(2勝1敗、防御率2.43)。上半身と下半身のバランスがよくなって、ピッチングフォームがスムーズになってきています。バッティングがいいので「二刀流も」と言われていますが、まずはピッチャーとして一本立ちしてほしい。ローテーション投手として実績を残してからが勝負ですよ。メジャーリーグで二刀流が認められた大谷翔平は100年にひとりの選手ですから、同じようにはできません。

<後編へ続く>

文=元永知宏

photograph by JIJI PRESS