9月27日、ドイツ・デュッセルドルフ。

 W杯メンバー発表前では最後の試合となった日本代表欧州遠征2戦目、対エクアドル戦撮影に赴いた(※撮影の様子は【新着写真】からご覧になれます)。

エクアドルのホームのような空間の中での苦戦

 

 前日会見で森保一監督は、一定の評価を残した対アメリカ戦からスタメンを総入れ替えすることを明言。

 はたしてキックオフ直前のピッチでは、第1戦、途中出場からゴールを奪うなど活躍を見せた三笘薫に加え、堂安や出番のなかった南野拓実、柴崎岳らがスターティングイレブンとしてアップに励んだ。またベンチ外となった前田大然が、シュート練習をサポートする姿もみられた。

 キックオフ13時55分の直前、両チーム選手が入場し、国歌斉唱、整列写真が撮影された。

 ベンチ前には、対アメリカ戦先発の鎌田大地、伊東純也、久保建英などが並ぶ。この日の天気は雨、開閉式屋根を有するデュッセルドルフアレーナの天井は固く閉ざされた。ピッチ上の気温は15.4度ほどと、プレーには最適な気温だったが、ピッチコンディションの悪さは気になった。

 また会場のあるデュッセルドルフは欧州随一、多くの日本人が居住する街だが、会場には多くのエクアドルファンが駆けつけ、エクアドルホームの様相を呈した。

 試合は開始直後から、三笘が左サイドをドリブルで積極的に仕掛ける。逆サイドからも堂安が攻撃の切り口を探す。フォーメーションはアメリカ戦同様4-2-3-1で、ワントップに古橋亨梧が入り、トップ下には南野が入った。

 しかし、その古橋と南野が仕掛ける前線からのプレスがハマらない。相手ボランチ20番ジェクソン・メンデスが、センターバックの間に入り数的優位を保つと、日本のプレスを剥がして悠々とボールを前進させていった。

 アメリカ戦では、相手2センターバックに前田、鎌田の仕掛ける前プレスが有用だったが、システムの違う相手(攻撃時に2CB→3CBに変化)に対し、全く同じアクションを起こし、空回りした印象だ。

エクアドルの猛攻の中で奮闘したシュミット

 エクアドルの攻撃時間が長くなる中、日本の守備ラインからは力強くマークにつく伊藤、長友佑都らの姿をカメラ越しに追いかけたが、そこはブラジルやアルゼンチンと対等にW杯南米予選を渡り合って出場権を獲得している相手だけに、力でねじ伏せるようなことはできず、エクアドルの猛攻を受けることとなった。

 その中で唯一気を吐いたのは、守護神シュミット・ダニエルだった。

 その頃、日本ベンチ前では、スタッフと話し合う森保監督の姿が見られた。

 重心の低くなった陣形の中、三笘を中心に攻撃を再度構築しようと試みたものの、距離感も合わないまま、有効な攻撃を仕掛けることはできなかった。

「戦術三笘」、ダブルボランチも持ち味を出し切れず

 後半頭から古橋に代わって上田綺世が投入された日本代表は、円陣を組みスタート。

 しかし基本戦術は変わらず、目の前の戦況も前半とほとんど変わらなかった。いわゆる「戦術三笘」も、ネイマールなどと死に物狂いで戦ってきたエクアドル相手だけに、鳴りを潜めた。

 一度だけ三笘らしい突破からクロスを送ったが、南野のシュートは枠をとらえきれなかった。ピッチレベルで見る限り、ボランチとして先発した柴崎、田中碧も持ち味を発揮することはできないままの印象だった。

 後半もエクアドルの波状攻撃に息絶え絶えになってきた67分、鎌田、遠藤航、相馬勇紀が投入された。すると状況は一変、南野に代わった鎌田がボールを運ぶと、ワントップの上田までようやくボールが届くようになった。また柴崎に代わった遠藤が指示を送る姿が目についた。

 イレギュラーなメンバーではなく、スタメン組としての確固たるベースがすでに身についている遠藤だからこその微調整を行えたように感じる。

 徐々に日本の攻撃が強まり勝ち越しへの形も見え始めてきたが、そこで相手へPKを与えてしまう。残り時間も考えると万事休すと思われたが、この窮地を救ったのもまたGKシュミット・ダニエル。見事なPKストップで得点を許さなかった

メンバー発表前最後の試合として考えたこと

 試合は0-0のまま終了。

 ベンチから戦況を見つめたメンバー、また駆けつけたサポーターに挨拶をする選手たちの表情からは、なにか納得いかない、煮え切らない表情が印象に残った。

 そして、こんなゲームをしてしまったことへの謝罪だったのか、来てくれたことへの感謝だったのか、どこまでも礼儀正しい森保監督のお辞儀姿がこの日の最後のカットとなった。

 キリンチャレンジカップとして行われた対アメリカ、対エクアドルの2戦。

 重要だったのは、この2試合がメンバー発表前最後の試合だったことだ。

 その最後の一戦での“メンバー総入れ替え”の意義とは、何だったのか、とふと思った。

 起用された選手は、チームの勝利のため、そして自身の価値を示すために全力を尽くす。

 しかし当たり前だが——サッカーはチームスポーツだ。現時点でのレギュラー確定組の中に、クラブで進境著しい選手を組み込んだ時の反応は確認できたのだろうか。

旗手・古橋・前田の“セルティックライン”は並ばなかった

 アメリカ戦後の記事にもW杯イヤーの今季、日本代表には多くのCL、EL出場選手がいることを書いた。そのCL初戦で、欧州王者レアル・マドリー相手に出色のプレーだった選手が旗手怜央だが、この2試合で出場することはなかった。

 また旗手のセルティックには、古橋、前田も所属している。同時に起用してみる価値はなかっただろうか——とも感じた。

文=中島大介

photograph by Daisuke Nakashima