発売中の『Number』1064号では、創刊以来初となるM-1グランプリを特集。18回目となる2022年大会の決勝が12月18日に迫る中、誌面掲載「今年はこのコンビに注目だ!」から決勝初進出組「5組」を紹介していく。
オズワルド、2度決勝経験のあるミキ、今年のキングオブコント王者ビスケットブラザーズなど実力者が敗退するなか、優勝候補はどのコンビなのか?

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 11月30日、M-1グランプリ2022の準決勝が行われ、9組のコンビが決勝進出を果たした。過去、決勝に進んだことがあるのは、ロングコートダディさや香真空ジェシカウエストランドの4組。昨年の大会に続いて5組が初の決勝進出となった。初進出組はどんな漫才師なのか――。

 3年連続で準決勝に進出した常連コンビが、【1】カベポスターだ。素人時代にNHK「着信御礼!ケータイ大喜利」で活躍していた永見大吾のセンスが先行して注目されていたが、浜田順平の「いぶかしげな表情」「しゃしゃり出ないツッコミ」も日を追うごとに洗練。今年のABCお笑いグランプリを、漫才の中にエモい物語を忍ばせる名作「大声大会」で制覇し、松本人志も「安定の面白さ」とツイートした。

 特上のネタを使ってしまったことでM-1のネタが出涸らしになるのでは……という余計な心配をよそに、9月の単独ライブでは同系統・同レベルの強いネタをこしらえてきた。渾身の勝負ネタでいよいよ全国区に躍り出る可能性は高い。

 【2】キュウも同じく3年連続の準決勝進出。ボケのぴろがひたひたと話を進め、それに耳を傾けるツッコミの清水誠の表情が徐々に険しくなっていく――。ネタのシステムを明かす中盤まで笑いが起きないことも多々あるが、言葉の曲芸で客をじわじわ巻き込んでいく展開は圧巻だ。その漫才に魅入られた麒麟・川島は、キュウのネタ「思い出の話」を「YouTubeで1000回は再生した」と絶賛。各種配信サイトでこれまでの単独公演がのきなみ見られるので、その世界に溺れたくなったら一気通貫でチェックできるのも嬉しい。

 昨年のM-1で敗者復活戦3位と健闘したのが【3】男性ブランコ。大学の演劇サークルを通して出会い、ラーメンズファンという生粋のコント体質ながら、大阪よしもとでサバイブしてきた来歴から漫才もこなせる。研きに研かれたキレキレの二刀流だ。コントライブをアートセンターや水族館などで開催し、瀟洒でシュールな雰囲気を漂わせつつ、ここぞという時にベタな笑いも取れるのが最大の強みである。

 東京の超若手【4】ヨネダ2000も、昨年は結成2年目ながら準決勝に進出して注目を浴びた。愛がループするリズムの上に、誠があらゆる角度からボケを詰め込む漫才を得意とするコンビで、今年は傑作「YMCA寿司」「どすこい」をさらに進化させた変奏曲を生み出している。

 12月上旬に控えた「THE W」決勝とのネタかぶりが気になるが、同期の令和ロマン・高比良によれば、昨年は同様の状況で2大会用に決勝ネタ4本を用意して賞金2000万円を狙っていたという。そのスタミナは侮れない。

 女性コンビの決勝進出は2009年のハリセンボン以来、13年ぶりとなる。ハリセンボンが2007年に記録した女性コンビ最高順位の4位を上回ってファイナルラウンド進出なるか注目だ。

 【5】ダイヤモンドは東京よしもと若手劇場で活躍する、唯一無二のトリックスター。昨年、YouTubeチャンネルに、野澤輸出が一方的にしゃべる漫才、小野竜輔が同じフレーズしか繰り返さない漫才などなど、200本以上のネタを毎日あげ続けてきた。そして今年は野澤の骨折休養により、野澤の等身大パネルと小野が漫才するという幕開けを切りながら、白黒のストライプだったスーツを新調して「おもしろ」から雰囲気を一新。多彩すぎる球種を誇りながらも、今年のM-1予選は正念場をほぼ一つの球種で乗り越えてきた。それでも決勝で何を仕掛けてくるのかわからない怪しさが魅力だ。

 過去最多となる7261組がエントリーした今大会で、初の大舞台の切符を手にした5組の漫才師たち。この中から頂点に立つコンビが生まれるかもしれない。

文=鈴木工

photograph by M-1グランプリ事務局