2打席連続となる18、19号本塁打を放つなど、大谷翔平が得意の6月にエンジン全開となってきた。「ミスタージューン」と表現しても過言ではないスラッガーは過去、どのような成績を残し、周囲はどんな驚愕の声を残してきたか。

<名言1>
3〜4週間後に状態が改善され、まずは打席に立ち、その後いつマウンドに戻れるか、それがわかることを願っている。
(マイク・ソーシア/NumberWeb 2018年6月18日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/831098

◇解説◇
 大谷翔平は6月に強い――その印象はデータでもハッキリしている。

<大谷翔平:メジャーリーグでの6月打撃成績>
 2018年:11打数3安打 打率.273 OPS.697
 2019年:94打数32安打9本塁打22打点4盗塁 打率.340 OPS1.092
 2020年:短縮シーズンで出場なし
 2021年:81打数25安打13本塁打23打点4盗塁 打率.309 OPS1.312
 2022年:94打数28安打6本塁打17打点1盗塁 打率.298 OPS.974
 2023年:104打数41安打15本塁打29打点4盗塁 打率.394 OPS1.444
 2024年:54打数13安打5本塁打8打点2盗塁 打率.241 OPS.876

 ※24年は現地16日時点

 21年、23年と2度の月間MVPに輝くなど、この時期、毎日のようにホームランを放つ姿は日本のファンにはもうおなじみだ。

打ち方を含めてよくなるように努力を

 ドジャース移籍1年目の今年はややバットが湿っていたものの、11、12日のレンジャーズ戦で2試合連続本塁打、そして現地時間16日のロイヤルズ戦で第2打席に左中間に飛距離約137mの特大の18号を放つと、続く第3打席もライトに引っ張って約122mの一撃を放り込む。続くフリーマンの連続本塁打、エースのグラスノーの好投もあって、ドジャースは3−0で勝利した。

 地元放送局のインタビューに対して大谷は「打ち方を含めてよくなるように努力しているので、それが今日は良い結果になってくれてよかったです。(相手先発のシンガーは)リズム、テンポのよいピッチングだったと思いますが、数少ない甘い球をしっかり打てました」と答えた。

大谷にとってメジャー1年目の6月は試練だった

 通算190本塁打のうち48本塁打がこの月に放ったということもあって、6月は大谷と好相性……という印象がある。ただ、出場試合数が少ないメジャー1年目の2018年にはいきなり試練が訪れていた。

 右ひじの内側側副靱帯損傷が発覚し、故障者リスト(IL)入りしたのだ。その時点でエンゼルスのソーシア監督(当時)はトミー・ジョン手術と保存治療のどちらを選択するか明確にしなかった。

 その後、7月から戦線復帰した大谷は打者専念で安定した成績を残してア・リーグ新人王を獲得した。その一方で9月、右ヒジに新たなダメージが見つかり、シーズン終了後にトミー・ジョン手術を受けることになった。

サイクル安打、曲芸打ち、超高速打球の2年目

<名言2>
状態は上がってきているのかなと思いますね。
(大谷翔平/NumberWeb 2019年7月1日配信)

https://number.bunshun.jp/articles/-/839882

◇解説◇
 6月に鮮烈な印象を残す大谷は2019年にも1つ、偉業を成し遂げている。それは6月13日のレイズ戦、日本人初となるサイクル安打をマークしたのだ。本塁打を放つパワーと、二塁打、三塁打にできるスピードとコンタクト能力の高さを示す記録と言っていいだろう。

 そんな大谷がサイクル安打以外で2019年6月に話題になったのは、26日のレッズ戦だった。1−1の同点で迎えた8回、無死二塁のチャンスで迎えた大谷は2ストライクに追い込まれたものの、内角ヒザ元にきたチェンジアップを“くの字”に体をひねりつつ、ヘルメットを飛ばしつつ逆方向に打ち返すレフト前ヒットを放った。

 さらに“曲芸打ち”前の第3打席に右中間への二塁打を放っているが、打球速度は当時自己最速となる115.2マイル(約185.4キロ)をマークした。大谷も試合後に納得のコメントを残した2打席を受けて、まるで〈イチローと松井秀喜を足して2でかけたよう〉と表現する専門家もいたという。

 大谷はこの年の6月も月間9本塁打を放っており、アメリカの野球ファンをうならせ続けている。

「オオタニ、ヤツは宇宙人だな」

<名言3>
今日はショウヘイに頑張ってもらおう。
(ジョー・マドン/NumberWeb 2021年6月28日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/848619

◇解説◇
 2021年の大谷は、二刀流が完全開花して自身初となるリーグMVPを手にすることになった。その爆発のきっかけとなったのは冒頭のデータが示す通り、13本塁打を放った6月の大活躍である。

 特に打者・大谷のポテンシャルが最大限に発揮されたのは6月16日のアスレチックス戦だった。

 第2打席に相手左腕のスライダーをうまくバットに乗せてライトスタンドに19号本塁打を放つと、続く第3打席には長打を警戒した内野手のシフトを見透かしたかのようにバントヒットを決める。さらには盗塁まで成功させるなど、パワーとスピードで相手投手と守備陣をきりきり舞いにしたのだ。

 その活躍ぶりは中継するテレビ局「バリースポーツ・ウエスト」の解説者もこう冗談めかすしかなかった。

「ヤツは宇宙人だな」

 投げてはエース格、打っては主砲……二刀流でのプレーは大きな負担になることは当時から指摘されていた。とはいえ戦力不足だったエンゼルスでは(当時“大谷ルール”がないこともあり)DH解除して投手・大谷が打席に入るケースもあった。「頑張ってもらおう」のマドン監督の言葉は、6月に強い大谷に頼らざるを得ない、というジレンマも感じさせるものだった。

「勝ったらいいな、もうそれだけ」の背景

<名言4>
今日はもう勝ったらいいなっていう、もうそれだけですね。
(大谷翔平/NumberWeb 2023年7月1日配信)

https://number.bunshun.jp/articles/-/857964

◇解説◇
 6月に大爆発する大谷。しかし昨季まで所属したエンゼルスは大谷の大活躍に比例して白星を積み重ねたとは言い難い。2022年は5月から続いた連敗が「14」まで伸びるなど6月の成績は10勝18敗と大きく負け越し、大谷が月間15本塁打を放った2023年も、14勝13敗に終わっている。

 勝ち切れないエンゼルスの象徴的な一戦として挙げられるのは、2022年6月21日のロイヤルズ戦。大谷は9回の劇的な同点3ランなど2本塁打を含むメジャー自己最多8打点を挙げながらもリリーフ陣が崩れて、エンゼルスは勝ち星につなげられなかったほどだ(翌日の試合で大谷は投手として自己最多13奪三振をマークして6勝目を挙げているのも凄まじいが)。

 先に紹介した言葉は、2023年のものである。その言葉を残した背景とは何なのか。

 2023シーズンのワールドチャンピオンとなるレンジャーズ相手に投げては6回2失点で6勝目、打っては8回に勝利を決定づける2ラン本塁打を放った後に語った言葉だ。すべては勝利のために。その一心で大谷がプレーしていることに、1年後の今、あらためて気付かされる。

由伸、ベッツらと離脱が相次ぐ中で…

 エンゼルスとは対照的に、今年から所属するドジャースは順調に勝ち星を積み重ねてきたが……ここにきて主力離脱という暗雲がただよっている。

 15日の先発登板で2回降板した山本由伸は上腕三頭筋の張りのためにIL入り。さらには大谷が2打席連続本塁打を放った一戦でもムーキー・ベッツが97.9マイル(約157.6キロ)の剛速球を左手に浴びて途中交代した。試合後のロバーツ監督の会見によると、山本は右肩の炎症、ベッツは骨折が判明したという。

 さらには本来サードのレギュラーである長距離砲マンシーも右わき腹痛からの復帰への明確な時期が報じられない中で――大谷は厳しくなるであろうマークをはねのけて、勝負の夏場に向けてさらなるアーチ量産となるか。

文=NumberWeb編集部

photograph by AP/AFLO