能登半島地震では広い範囲で水道管が壊れその老朽化が浮き彫りとなりました。

改修が進まない背景には何があるのでしょうか。

能登半島地震が起きてからもうすぐ3カ月。

石川県によりますと22日の時点でおよそ1万300戸がいまだに断水状態です。

大規模な断水が起きた大きな要因の1つは水道管の老朽化です。

(新岡記者リポート)

「大分市の工事現場です、こちらでは老朽化した水道管を新しいものに付け替える耐震化の工事が進められています」

厚生労働省によりますと、重要な水道管が大きな地震に耐えられるかをあらわす「耐震適合率」は石川県で36.8%、大分県は37.6%といずれも低い水準です。

「いかに効率的に管路(水道管)の更新をするか、それが課題となっている」災害に備えるために必要な耐震化。改修が進まないその背景とは。

災害に備えるために必要な水道管の「耐震化」がなぜ進まないのか、詳しく見ていきます。

まず、耐震化がどれくらい進んでいるのかについては自治体によって差があります。

2021年度末時点で進ちょく率の全国平均41.2%に対し大分県の平均は37.6%と全国平均を下回っています。

大分県の中でみても差があります、こちらです。

VTRでご紹介した大分市は70%ですが、大分県内で最も低い宇佐市はわずか10.6%とかなり開きがあることが分かります。

では、耐震化工事とはどのようなものなのか、画像で説明します。

左の水道管は接続部分が膨らんでいます。

一方、右の水道管はまっすぐです。

これを組み合わせていくのですが、左の水道管に膨らみがあることで地震で上下に揺れる力が働いたとしても地盤の動きに柔軟に対応できるということです。

そして、重要な水道管の工事にかかる費用は決して安くはありません。

ケースバイケースではありますが1mあたりの金額はこちらです。

およそ55万円です!リアクションお願いします1mだけでもこれくらいかかるとなると全体ではどうなるのか気になってきますよね。

耐震化100%にするにはいくら必要なのか大分市の場合で計算してみました。

大分市の進ちょく率は70%、残り30%です。

距離にして42,800mあるそうです。

つまり…なんと!およそ235億円です!

しかも大分市水道局の担当者によりますと周りの施設の状況や道路の形で金額は変わるので実際にはこれ以上かかるということです。

お金の面だけでも大変ですが、耐震化の工事が進まない原因は他にもあります。

大分市水道局は技術者の人手が足りず入札が不調に終わることが大きいと話しています。

また、人口が減ったこと、節水意識の高まりによって水が使われる量が減った、ひいては水道事業の収入が減ったことで厳しさを増している自治体もあります。

災害に備えたいのはやまやまですが、様々な事情で前に進まない「痛し痒し」の状態があるということです。