1963年に開館し、岡山の文化の発信地として役割を果たしてきた岡山市民会館が3月末、約60年の歴史に幕を閉じます。最後の館長を務めた男性が思いを語りました。

(岡山市民会館 渡辺俊文館長)
「市民の方々が見学に来て、「最後を見せてほしい」と要望がある。そういう市民の声を聞くと、こちらも寂しい気持ちになる」

備前焼を思わせる外壁に…色鮮やかなモザイクガラス。老朽化のため3月末で閉館が決まっている岡山市民会館です。

【名残を惜しむ人も…】
(見学に来た人は…)
「小さいころ、ウルトラマンのイベントで来てワクワクした。できれば残してほしかったが、仕方ない」

(まちの人は…)
「子供の時バレエを習っていて、発表会で来た。子供のころから慣れ親しんでいたので寂しい」

大ホールの扉を開くと、現れるのは幅21メートル、奥行き15メートルのシンプルな舞台。1963年の開館から約60年間、多くの文化や芸術などを発信してきました。

36年前に開かれた「老人クラブ大会」の映像です。会館が様々な団体の会合の場として市民に愛されながら使われてきたことがわかります。

かつては成人式の会場でもあり、振袖などに身を包んだ新成人がここから大人への一歩を踏み出しました。音楽やダンスなどの発表会にも広く使われ、市民会館によりますとホールの稼働率は80%を超えていたといいます。実は、1999年まで結婚式の会場としても使うことができ、4000組以上が挙式したという記録も残っています。

昭和・平成・令和と市民の人生の節目に寄り添ってきた市民会館。最後の館長を務めた渡辺俊文さんの元にも閉館を惜しむ多くの声が寄せられています。

(岡山市民会館 渡辺俊文館長)
「子供を含めて、初めてステージに立ってドキドキした思い出を語ってくれる人もいるし、好きなアーティストのために毎回通った人もいる。市民のいろんな意味で心に残るホール。今は寂しい気持ちが強い」

岡山の芸術や文化の中心地としての役割は、2023年にオープンした岡山芸術創造劇場ハレノワに引き継がれます。

(岡山市民会館 渡辺俊文館長)
「このホールで体験したことを心に刻んで、良い思い出として残してもらいたい。今まで見たこと聴いたことを心にしまっていただければ」

市民会館では最終日の3月31日に閉館記念式典が開かれる予定です。