【大分】大分市は児童虐待と、大人に代わって家族の世話や介護を担う「ヤングケアラー」への対応を盛り込んだ「こども虐待・ヤングケアラー対応の手引き」を作成した。教育機関や子育て支援をする各地域の団体に配布し、早期発見や適切な支援につなげる。
 市は児童虐待防止法などに基づき、2003年から「子ども虐待防止マニュアル」を作成し、内容を見直しながら改訂を重ねてきた。全国的にヤングケアラーへの関心が高まる中、対応法を多くの人に知ってもらおうと1冊にまとめた。
 A4判、54ページ。「こども虐待について」「こども虐待からこどもを守るために」など4章に分かれており、第4章が「ヤングケアラー対応マニュアル」。「家計を支えるために労働をして、障害や病気のある家族を助けている」「日本語が第1言語ではない家族らのために通訳をしている」などの具体例を、イラストを交えて紹介している。
 早期発見のためのアセスメント(評価)シートも掲載し、▽生活リズムが整っていない▽修学旅行を欠席する―などのチェック項目を設けている。接するときの注意点として「本人に自覚がない」「家族のケアをしていることを否定しない」などを挙げている。
 また、虐待に関する章では、しつけと虐待の違いとして、「子どもの心や体が傷つく行為は虐待」と解説。虐待の疑いがあると通告した後、どのような手続きが行われるかも説明している。
 巻末にはさまざまな相談に対応する行政機関などの連絡先を記した。市のホームページからもダウンロードできる。
 市子育て支援課は「いずれの問題も周囲の大人が気付く必要がある。地域全体での子どもの見守りに役立ててほしい」と話している。