梅雨から初夏にかけて見頃を迎える「花菖蒲」と「あやめ」。今年は、すでに満開の場所もあれば、まだ咲き始めの場所もあり、地域や天候によってまちまちですが、いよいよ関東でも今週末から開花が進みそうです。
花菖蒲やあやめは見頃がとても短い花。例年見頃と合わせて開催される「花菖蒲まつり」ですが、場所によっては観賞は短期決戦となりそうです。

ところで、漢字で書くとどちらも「菖蒲」となる「しょうぶ」と「あやめ」の違いをご存じでしょうか。共にアヤメ科で見た目はそっくりですが、「しょうぶ」は水辺に生息し、花びらの付け根に黄色いひし形が。一方「あやめ」は陸地に生息し、花びらの付け根に網目模様があるので昔は綾目や文目と書かれていたのだそうです。

今回は、そんな花菖蒲とあやめの関東の名所を10か所厳選。過去の現地の様子も見ていただきながら、2023年の「花菖蒲まつり」の開催情報も合わせてお伝えします。

①堀切菖蒲園(東京都葛飾区)

江戸時代、堀切の花菖蒲は「江戸百景」に数えられ、安藤広重や歌川豊国など多くの絵師の錦絵の題材になっています。湿潤な土壌を活かし、戦前の堀切にはいくつもの菖蒲園がありましたが、「堀切菖蒲園」は都立の菖蒲園として1959年に開園しました。

例年5月下旬から6月中旬には、園内に花菖蒲の花が咲き乱れ「葛飾菖蒲まつり」が行われます。今年は5月29日(月)〜6月18日(日)まで開催中!期間中は野だてによる湯茶の接待、パレードや舞台イベント、ライトアップなどが行われます。イベントの詳細について葛飾区公式サイトの案内ページからご確認ください。5月31日の時点で五分咲きとのこと。見頃はまだのようですが、開花情報をチェックして見頃を逃さないようにしましょう。

【葛飾菖蒲まつり】江戸の歴史を感じる堀切菖蒲園の菖翁花

②小岩菖蒲園(東京都江戸川区)

東京都江戸川区にある小岩菖蒲園。ここには100種類5万本もの花菖蒲が植えられていて、毎年6月になると色とりどりの花で満ちあふれます。また、園内では同時期に紫陽花もきれいな花を咲かせ、こちらも見どころの一つです。

例年6月上旬から下旬まで「小岩菖蒲園まつり」が開催されます。今年、6月3日(土)〜6月18日(日)まで4年ぶりに開催します。江戸川河川敷に広がるハナショウブは絶景!出店もあるのでお祭り気分を一層盛り上げてくれそうです。ぜひ足をのばしてみてはいかがでしょうか。詳しくは江戸川区役所ホームページにてご確認ください。 公式ではありませんが、6月1日投稿のSNSでは、咲き始めが報告されていました。


小岩菖蒲園まつりで夏を体感!100種類5万本のカラフルな花菖蒲が圧巻の祭り

③北山公園(東京都東村山市)

スタジオジブリの映画「となりのトトロ」の舞台として有名な狭山丘陵がある東村山市。北山公園はその狭山丘陵の麓にあり、1982年には新東京百景に選ばれたほど自然豊かな公園です。園内に設けられた菖蒲苑には約600種類、10万本の花菖蒲が植えられ、毎年6月上旬から中旬にかけて彩り豊かに咲き誇ります。

開花期に合わせて例年「東村山菖蒲まつり」が行われ、今年も6月3日(土)〜6月18日(日)に開催されます。イベント詳細については、東村山市商工会特設サイトをご確認ください。5月31日時点ですでに4分咲きとのこと。早めに行かれることをおすすめします。


東村山菖蒲まつりが開催される北山公園の約10万本の花菖蒲は今が見頃!

④上尾丸山公園(埼玉県上尾市)

埼玉県上尾市の南西部にある上尾丸山公園。園内には花菖蒲田が設けられ、例年6月上旬から中旬には50種類前後、約1万株の花菖蒲が咲き乱れます。また、花菖蒲田の東面、西面にはアジサイが同時に花を咲かせ、異なる姿や色彩で初夏の訪れを感じさせてくれます。

今年は6月1日(木)〜6月11日(木)まで「あげお花しょうぶ祭り」が開催中です。期間中の土日は、観光協会の推奨品販売店の模擬店や、手作りまんじゅうの販売等が行われます。イベントの詳細については、上尾市観光協会ホームページにてご確認ください。お祭りのタイミングで花菖蒲も咲き始めているようです。


あげお花しょうぶ祭りが開催中!子育てファミリーに最適の理由とは?

⑤つつじが岡第二公園(群馬県館林市)

群馬県館林市にある館林城の跡地が整備され設けられたのが「つつじが岡第二公園」です。約4万株の花菖蒲が植えられ、水辺に咲く花を間近で鑑賞できるよう、木道を整備。敷地の南東端には東屋があり、座ってゆっくり花菖蒲を眺めることができます。

例年、6月上旬から下旬にかけ行われる「たてばやし花菖蒲まつり」は、今年は6月3日(土)〜6月18日(日)に開催!期間中は筝曲による演奏やオープンカフェなどのイベントが行われます。詳細については館林観光協会ホームページなどでご確認ください。

たてばやし花菖蒲まつりが開催期間中!館林城跡には渡し船や古民家も


⑥吾妻公園(群馬県桐生市)

群馬県桐生市にある吾妻公園。こちらは「日本の機どころ」として知られる絹織物の産地を見下ろす標高約480メートルの吾妻山の麓に整備されています。園内に設けられた花菖蒲園では、幅約10メートル、長さ100メートルほどのエリアに約500株の花菖蒲が植栽されています。

例年6月上旬から中旬にかけて「吾妻公園花菖蒲まつり」が開催されますが、今年は6月3日(土)から 6月18日(日)まで開催。6月18日(日)には「あやめ茶会」もあります。イベントの詳細については吾妻公園公式サイトの案内ページにてご確認ください。開花状況も同サイトでお知らせされていますが、5月30日現在、まだ咲き始めのようです。

【吾妻公園花菖蒲まつり】初夏の装いをまとう絹織物の街、桐生の植物公園

⑦水郷潮来あやめ園(茨城県潮来市)

「水郷潮来あやめ園」では、6月ごろになると、利根川の河原を南端とする約1.3ヘクタールの園内に約500種、約100万株のあやめ(花菖蒲)が咲き誇ります。中央の橋からは南北に延々と繋がるあやめの花を眺めることができ、例年5月下旬から6月中旬には「水郷潮来あやめまつり」が開催されます。

今年は5月19日(金)から6月18日(日)まで開催中です。昨年から再開した名物「嫁入り舟」のほか、花がら摘み体験といったイベントも多数実施。詳細については潮来市公式ホームページなどからご確認ください。

また、開花状況はこちらのページで随時発信されています。5月31日の時点でもう見頃を迎えているようです。色とりどりのあやめを見に足をのばしてみてはいかがでしょうか。

水郷潮来あやめまつりが開催中!約100万株の初夏の花の見頃時期は?

⑧水郷佐原あやめパーク(千葉県香取市)

香取市北部にある与田浦の低湿地帯を整備した植物園が「水郷佐原あやめパーク」です。約8ヘクタールの園内には水路や島、橋が作られ水郷の情緒を漂わせます。こちらでは約400品種、約150万本の花菖蒲が植栽され、あやめ広場からは360度のパノラマで花菖蒲を鑑賞することができます。

例年5月下旬から6月下旬にかけて「水郷佐原あやめ祭り」が開催され、音楽演奏や嫁入り舟など様々なイベントが行われます。今年は5月27日(土)〜6月25日(日)まで開催中。詳細は水郷佐原あやめパークホームページにてご確認ください。5月27日の時点で、園全体では二分咲きとのことです。

水郷佐原あやめ祭りが開催中!利根川沿いの約400種の花菖蒲は今が見頃!

⑨佐倉城址公園(千葉県佐倉市)

千葉県佐倉市にある佐倉城址公園は桜のお花見スポットとして有名ですが、公園の東端には菖蒲田が整備されており、例年6月上旬〜中旬に約9,000株の花菖蒲が訪れた人を出迎えます。菖蒲田の中央には休憩用のベンチが設置されており、そこからは360度のパノラマで花菖蒲を楽しむことができます。

毎年開花期には「佐倉城下町菖蒲まつり」が開催されるのですが、残念ながら今年は中止とのことです。詳細は佐倉市公式ホームページなどでご確認ください。

【佐倉城下町菖蒲まつり】日本の100名城で多種の花菖蒲を系統ごとに観察

⑩小田原城址公園(神奈川県小田原市)

神奈川県小田原市に北条氏が築城した小田原城は、難攻不落の城と言われ堀が何重にも天守閣を囲んでいました。現在も本丸東堀の跡が残され、堀の中や周囲には10,000株の花菖蒲や2,500株のあじさいが植えられています。

例年5月下旬から6月中旬には「小田原城あじさい花菖蒲まつり」も行われ、今年は6月3日(土)から18日(日)まで開催します。期間中は毎日、日没から花菖蒲とあじさいをライトアップ。また、土日を中心に、地元の店舗やキッチンカーが出店、太鼓やサックスの演奏も行われます。イベントの詳細については小田原市公式ホームページにてご確認ください。

開花状況はこちらのページにアップされていますが、5月29日の更新によると花菖蒲は4〜5割程度が咲いているようです。

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