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今回取り上げるのは、「ボナース米」。陶磁器メーカーのニッコー株式会社が販売を行っているボナース米は、世界初(※)の捨てられる食器から生まれた肥料である「BONEARTH(ボナース)」を使い育てられたこしひかりだ。そんなBONEARTHやボナース米について担当者に話を聞いてみた。
※陶磁器業界、肥料業界の主要企業では世界初となるリサイクル肥料(ニッコー(株)調べ 2023年10月)

――「BONEARTH」の特徴を教えてください。
捨てられる食器から生まれた美しい肥料であるBONEARTHは、高温焼成して作られているので、臭いもなく、長期保存できる安全・清潔な肥料です。水に溶けないため、河川流出する心配もありません。また、ゆっくり長く効果が続き、肥料の供給過多になることもありません。見た目が白く美しく、手が汚れる心配がないため化粧砂としても活用することができます。

――食器から肥料を作るというアイデアはどのようにして生まれましたか?
今までずっと考えていたことがあるとき結びついて、このアイデアが生まれました。ひとつは、陶磁器事業部を盛り上げようという想いです。技術面において、これ以上他社との違いを出していくことが陶磁器という分野において難しくなってきていたなかで、見た目以外でニッコーの食器ならではの価値を生み出すことができないかとずっと考えていました。また、会社として「100年後の、循環する未来をデザインする」をテーマにサーキュラーエコノミーを実現していこうとするなかで、リサイクルという視点からも何か生み出せないかと考えていました。そんななか、肥料に含まれるリン酸三カルシウムがニッコーの陶磁器にも含まれていることに気がつき、食器から肥料を作るというアイデアが生まれました。

――「ボナース米」販売の狙いついて教えてください。
BONEARTHの取り組みをより多くの人に知ってもらうために、BONEARTHで育てたお米を「ボナース米」と名づけ、販売を開始しました。これまでも農家さんにBONEARTHを使用して野菜を育てていただいており、その延長で今回、日本人の主食でもあるお米を栽培しました。BONEARTHの肥料としての水に溶けないという特徴を活かすのなら、水田で栽培されるお米が適していると考えていたことも理由のひとつです。

――「ボナース米」のイチオシポイントは?
ボナース米は、BONEARTHを肥料の一部として使用して作られたお米です。ボナース米が作られた石川県白山市の旧鳥越村地区は山間部で寒暖差が大きいことや、白山おろしと呼ばれる山風、朝日が早くのぼり夕日が落ちるのが早いなどの特徴があり、昔からおいしいお米ができると言われています。そこで育つお米は、稲の成長が遅く、穂の数が少ないことが特徴です。穂の数が少なく育ったことで、お米に旨味がぎゅっと詰まっており、炊き上げたときに光沢があり、口の中でふわりと広がる甘さで最後までおいしいお米に成長します。

――最後にユーザーへメッセージをお願いします。
ニッコーでは、「100年後の、循環する未来をデザインする」をテーマに、原材料の調達から製造、物流、利用、回収にいたるまで、陶磁器の事業に関わる一連のバリューチェーン全体において、サーキュラーエコノミー(循環経済)の原則に沿った取り組みを進めています。大量に資源を採掘して大量に食器をつくり、割れたり欠けたりしたらすぐに廃棄するというリニアエコノミー(直線経済)のモデルを続けていては、陶磁器の業界に未来はありません。限られた資源を大切に活用し、普遍性のあるデザインと耐久性のある機能を兼ね備えた食器をつくる。その食器を無駄のないサステナブルな梱包でお客様の手元に届け、一枚一枚をできる限り長く使い続けてもらう。そして使用後はその食器を回収し、再利用や修理、アップサイクルやリサイクル、土へ還すなどの取り組みを通じた循環の実現を目指します。

■ニッコーの目指す、サーキュラーエコノミーの実現
今回のボナース米に代表されるように、「100年後の、循環する未来をデザインする」をテーマにサーキュラーエコノミーの原則に沿った取り組みを進めるニッコー株式会社。そんな活動の一環としてニッコー株式会社が立ち上げたのが、「BONEARTH CIRCULAR COMMUNITY(ボナースサーキュラーコミュニティ)」。食器を通じてつながるレストランやホテルと、BONEARTHを通してつながる農家の双方をつなぎ、持続可能な「食の未来」の実現を目指すコミュニティだ。

今後の活動として、特設サイトで、体験・交流イベントや、パートナー農家(肥料としてボナースを採用している農家)の情報、レストランのマッチング事例の紹介など、さまざまな情報を発信していく予定とのこと。このコミュニティをより多くの人に広げるため、2023年12月30日(土)までクラウドファンディングも実施しているので、気になる人はチェックしてみよう。

文=吉田知生