アイドルグループ・日向坂46が5日、横浜スタジアムで『齊藤京子卒業コンサート』を開催した。齊藤は、2016年5月に日向坂46の前身グループ・けやき坂46に一期生として合格。日向坂46の5周年記念ライブ『5回目のひな誕祭』(4月6・7日)の前日に行われた同公演で、約8年間にわたるアイドル活動の幕を下ろした。
卒業コンサートのスタートは、“けやき坂46”としての1stアルバム『走り出す瞬間』に収録された齊藤にとって初のソロ曲「居心地悪く、大人になった」。齊藤は1人でステージに登場し会場を見渡すと、歌い出しのサビをアカペラで披露。Aメロから音楽が流れだし、そのまま卒コンの始まりをかみしめるように歌いきった。
自己紹介のようなソロ曲を終えると、ここで暗転。Overtureが始まり、これまでのさまざまな名場面とともに、齊藤がたどった軌跡が映し出される。おひさま(日向坂46のファン)からの大歓声の中、メンバー全員が齊藤のサイリウムカラーである真っ白な衣装で登場。会場に散らばったメンバーたちと「HEY!OHISAMA!」で楽しく盛り上がった。今回は歌詞の一部を変え「ずっと大好き齊藤京子」「一生大好き齊藤京子」とメンバー&おひさまが齊藤への愛を伝えた。
最初のMCで齊藤は「ひらがな(けやき坂46)の初期から支えてくださったスタッフさんたちもたくさん駆けつけてくださったと聞いてうれしい。ここにいる皆さんと一緒に素敵な一日を過ごしたい」とライブに挑む思いをぶつけた。
続いてのブロックでは、後輩たちの期生曲に齊藤が参加。四期生とは「シーラカンス」を、三期生とは「ゴーフルと君」を、二期生とは「恋した魚は空を飛ぶ」を一緒にパフォーマンスした。
その後、けやき坂46として初主演の連続ドラマ『Re:Mind』(2017/テレビ東京)に挑戦した際のVTRが流れた。当時のドラマで着ていた衣装をまとった一期生たちが、その主題歌であった「それでも歩いてる」を披露。齊藤のセンター曲でもあり、寂しさとこれからの決意を秘めた表情を見せた。
二期生が齊藤との思い出を語るMCを挟んだ後、「ファンの皆さんの彼女になれるようなアイドル像を目指していた。この曲は8年間の中で一番“THE 彼女感”が出ている曲じゃないのかなと思います」と齊藤が語るVTRの導入で、5thシングル「君しか勝たん」に収録された齊藤の個人PVとして制作されたソロ曲「死んじゃうくらい、抱きしめて」を“彼女感”たっぷりに歌唱した。
続くのは加藤史帆と2人のユニット曲「孤独な瞬間」、そして加藤・佐々木美玲のユニット“きずなーず”で「どうして雨だと言ったんだろう?」を披露しその美声を響かせた。
ここで三期生からも齊藤との思い出エピソードを披露したMCがあり、中盤に差し掛かったころに披露されたのは日向坂46のデビュー曲「キュン」。河田陽菜からは「きょうはキュンキュンならぬ、きょんきょんしましょう!」とあおると、爆笑とともにボルテージも急上昇。加藤からは曲中に「きょんこ好きだよー!」と卒コンのために変更した決め台詞がさく裂した。
そして四期生・平尾帆夏のMCで“ビッグゲスト”として呼び込まれたのは、今年で4年目を迎えたバラエティー番組『キョコロヒー』(テレビ朝日系)でともにMCを務めるお笑い芸人・ヒコロヒー。番組内の企画でCDデビューをはたし、『Mステ』でも披露した「After you!」をサプライズでパフォーマンスした。ヒコロヒーは齊藤をねぎらいつつ「この後も大盛り上がりで楽しんでいってください!」と後半戦のライブへ送り出した。
ここで、スクリーン映像でこれまでの道のりを振り返り、“欅坂46”のアンダーグループ的な立ち位置だった“けやき坂46”時代の苦悩も回顧された。そして当時の代表的な“ハーネス衣装”で登場した一、二期生たちは、「手を繋いで帰ろうか」「語るなら未来を…」と過去カバーしていた欅坂46の楽曲たちを披露。悲鳴にも似た歓声が起こった会場は、緑のペンライトで埋め尽くされる。そして“欅&けやき坂組”として発表した「太陽は見上げる人を選ばない」では、一〜四期が勢ぞろいした。
本編最後の楽曲となったのは、齊藤にとって最初で最後の表題曲センターとなった「月と星が踊るMidnight」。「ずっとあこがれていた。日向坂46のセンター」という齊藤の語りから始まった同曲では、歌い出しから齊藤の目には大粒の涙が。思いがこみ上げる中、美しくも力強く舞った齊藤は、あこがれだったセンターポジションを堂々とまっとうした。
いつもの日向坂46コールではなく、“京子”コールが響き渡る会場に、アンコールで再び舞い戻った齊藤。真っ白なドレスで着飾り、手紙を読み上げる。
「私は小さい頃から好きなものや習い事など、実はそんなに続いたことがありませんでした。でも、あれだけすぐ辞めてしまったり、続かなかった私ですが、アイドルは8年間続けられました。それは、本当に心から楽しくて、達成感や充実感を味わえる刺激的で幸せな日々を過ごせたからです。アイドルは毎日たくさんの“ありがとう”という言葉をいただけるお仕事です。この“ありがとう”という一言にどれだけ今まで救われていたか、本当に計り知れないです。私は皆さんのおかげでアイドルの齊藤京子になれました」
「いつでも私たちの味方でいてくださったおひさまの皆さん、日向坂46を見つけてくださり、好きになってくださり、本当にありがとうございました。名前の通り、おひさまの皆さんは誰よりもあたたかくて、皆さんのおかげで私たちは日向坂46として輝けています。これからの日向坂46をよろしくお願いいたします。もうこれで本当に最後。アイドル、とっても楽しかったです。私にとってアイドルは心からの天職でした。人生の中でアイドルになれたことは私にとって1番の誇りですし、かけがえのない思い出です。皆さんに出会えて心から幸せです。今まで本当に本当にありがとうございました」
ファンのほか、メンバーやスタッフ、冠番組MCのオードリーらへの感謝もつづり、齊藤は涙で頬を濡らしながらも、5分以上にわたってグループを卒業する思いを伝えた。
そして8年間ともに歩んだ一期生たちと、これまでも同期の卒業時に歌ってきた「ひらがなけやき」を笑顔で披露した。ここで全員が集合して流れたのは「JOYFUL LOVE」。齊藤は虹色のペンライトに染まった横浜スタジアムをトロッコで一周。曲中には、メンバーから齊藤へサプライズでメッセージとともに花が手渡された。多くの楽曲でシンメのポジションを務めた加藤からは「特別な人すぎて…京子がいたから頑張れた瞬間がたくさんあったし、京子のシンメでいられて幸せでした。それぞれの道でまた頑張って、またいつかどこかでシンメしようね。卒業おめでとう。大好きだよ」と涙とともに思いが伝えられた。
『卒業コンサート』のラストの楽曲は、齊藤が「最後に宝物のような楽曲をいただきました。初めて全期生がそろったMVで、私にとってとても大切な楽曲です」と紹介した「僕に続け」。MVの演出と同じように一〜四期が徐々に齊藤と合流し、そして齊藤の後を追うように、花道を歩いた。
齊藤は「改めて8年間本当にありがとうございました。皆さんと見た景色は本当に宝物です。一緒に坂をのぼってここまで来たこのアイドル人生が最高に楽しかったです。これからも日向坂46をよろしくお願いします。生まれ変わってもまた絶対アイドルになります!いままで本当にありがとうございました!」と涙。虹色に染まった階段を一歩一歩踏みしめて登り切ると「夢あるもの 僕に続け」と最後のソロパートを歌唱し、日向坂46としてのラストステージの幕を下ろした。
齊藤は1997年9月5日生まれ、東京都出身。2016年、けやき坂46に一期生として加入。日向坂46に改名後、フロントメンバーを務めるなど活躍。19年7月号より、ファッション誌『ar』のレギュラーモデルを務めた。21年4月より、トーク番組『キョコロヒー』のMCを担当するなど、バラエティー番組にも多く出演。8thシングル「月と星が踊るMidnight」で初センターを務め、23年5月にはソロでアコースティックライブ『MTV Unplugged Presents: Kyoko Saito from Hinatazaka46』を開催した。
俳優としては、ドラマ『Re:Mind』(17年)、ドラマ『DASADA』(20年)、配信ドラマ『ボーダレス』(21年)などに出演。23年10月、ドラマ『泥濘の食卓』で初の単独主演を務めた。
■『齊藤京子卒業コンサート』セットリスト
01. 居心地悪く、大人になった
Overture
02. HEY!OHISAMA!
03. 一生一度の夏
04. シーラカンス
05. ゴーフルと君
06. 恋した魚は空を飛ぶ
07. それでも歩いてる
08. 死んじゃうくらい、抱きしめて
09. 孤独な瞬間
10. どうして雨だと言ったんだろう?
11. キュン
12. アザトカワイイ
13. After you!
14. 手を繋いで帰ろうか
15. 語るなら未来を…
16. 太陽は見上げる人を選ばない
17. NO WAR in the future 2020
18. 月と星が踊るMidnight
【アンコール】
EN1. ひらがなけやき
EN2. JOYFUL LOVE
EN3. 僕に続け
日向坂46齊藤京子、卒業コンサートで大粒の涙 8年間の集大成「私にとってアイドルは天職でした」【セットリストあり】
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