俳優の山寺宏一、畠中洋が21日、東京・日比谷シャンテで行われたミュージカル『CROSS ROAD〜悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ〜』の取材会に参加した。

 藤沢文翁が原作・脚本・演出を手掛けている音楽朗読劇VOICARIONヴォイサリオンシリーズは、「歌わないミュージカル」と評されてきた。藤沢のオリジナル作品の1つで、東宝初の朗読劇として2012年にシアタークリエで上演した『CROSS ROAD〜悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ〜』。2022年にミュージカル化され、壮大な世界観と、思わず口ずさみたくなる多彩でダイナミックな音楽で観客を魅了し大きな反響を呼んだ。今回は、その再演となる。

 舞台は、音楽に魅了された19世紀。数多の音楽家が誕生し、人々はその才能を愛で、その美しい調べに酔いしれ、音楽が世界を支配した時代に、突如として音楽史に登場し、音楽の世界を支配した漆黒のヴァイオリニストがいた。ニコロ・パガニーニ。パガニーニには、常にあるうわさがつきまとった。悪魔と契約し、魂と引き換えに音楽を手に入れた…と。街外れの十字路で悪魔・アムドゥスキアスと血の契約を結んだパガニーニは、100万曲の名曲の演奏と引き換えに、命をすり減らしてゆくことになる。

 音楽の悪魔であるアムドゥスキアスを中川、パガニーニの母のテレーザを春野が演じる。中川と春野は初共演。中川は、『モーツァルト!』初演の際にバスを借りて全員で春野がトート役を務めた『エリザベート』を観劇したそうで「そのころから大好き!今回、ようやく共演させていただけて、うれしいです!」とニコニコで語った。

 春野も、もちろん覚えていたそう。中川が「ファンの気持ち」と笑顔を見せ、どこがよかったかを語ると「うちに秘めたキラリと光るブラックダイヤモンドのような輝き。悪魔の役作りもご相談させていただいている」と絶賛した。

 春野は「中川さんの演じるアムドゥスキアスは所作も言葉も緩急自在。本当に隙があると、すっと心に入ってきて、心を乗っ取られるような感じの方なんです。それを地でやっているのか、それが芝居なのか分からない。本当に素晴らしいものを表現されてる」と感心すると、最後にアムドゥスキアスと母が対峙するシーンについて「隣でささやくように言葉を発せられて。気を緩めると、パッと連れて行かれるトート敵な存在。で、いたずらされそうなおちゃめなところにある。本当に魅力的です」と称賛する。最後はファンに向けて「皆さんもちょっと隙があると、心に入ってきてやられてしまう(笑)。心して観てください!」と呼びかけて笑いを誘っていた。

 取材会には、相葉裕樹、木内健人、山寺宏一、畠中洋も参加した。

 『CROSS ROAD〜悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ〜』は、あす22日から5月12日までシアタークリエで上演。日比谷シャンテではパネル展を開催している。東京公演後は、大阪公演、福岡公演を行う。