俳優の上白石萌歌(24)が23日、都内で行われた「映画『GEMNIBUS vol.1』(ジェムニバス・ボリュームワン)制作発表会見」に出席した。

 『GEMNIBUS vol.1』は、フォーマット、メディア、実績の有無を問わず、クリエイターが自由に才能を発揮できる場を提供するという目的で、東宝の若手社員が立ち上げた才能支援プロジェクト「GEMSTONE Creative Label』(ジェムストーン・クリエイティブ・レーベル)初の劇場公開作品。4人の新進気鋭な監督たちによる短編オムニバス映画となっており、6月28日より2週間限定公開される。

 本作の公式アンバサダーを務める上白石は、この会見を前に4作品すべてをみたといい、それぞれの作品のおすすめポイントを力説。また「4人の異なる監督が描くことでこんなにも違う世界があるんだと感激しました。ただ4つの作品に通ずるテーマというのも確かにある気がしていて。自分では処理しきれない感情があったりとか、時分の将来はどうなるんだろうとか、いろんなものにおびえながら生きている人がたくさんいらっしゃると思うんですが、この作品は、そういう不安とかが一瞬にして吹き飛ばされるくらいの強烈な映像体験が待っています。ぜひ劇場のいい音といい画で観ていただきたいなと思います」とアピールした。

■上白石萌歌 それぞれのおすすめポイント

『ゴジラ VS メガロ』(上西琢也監督)
 映像の技術も音響の技術も最先端のものを使ってらっしゃるので、息をのんでしまうほどの臨場感。ゴジラの世界って現実には起こりえないことだろう、と見てしまうことが多いと思うんですけど、本作は圧倒的な臨場感で「これは現実に起こりうることだな」って思ってしまうくらい。映像を見ていることを超えて、自分もその場に立って風を感じているような気持ちになってしまい、「あっ、逃げなきゃ」って思うくらい。それくらいの体験ができる映像作品だと思いました。

『knot』(平瀬遼太郎監督)
 (事前の情報で)サイコスリラーであるということは存じ上げていたんですけど、その枠を超えてしまうというか、それくらい緻密に練り上げられたものだと思いました。人の心の機微とか、ものすごく深い人間ドラマを感じました。ただおぞましいとか、恐ろしいという言葉で片付けてしまうのはもったいないくらい、お芝居や演出に見入ってしまう作品だなと思いました。親と子の話なんですが、あらためて親子って不思議な糸でつながれているなと思って。すごく確かなもののように見えて、ものすごくはかなくて。でもはかないからこそ、ものすごく尊いんものなんだなと再認識した作品でした。ラストカットに衝撃を受けまして、ゾッとしたので早く皆さんにも、見ていただきたいなと思います。

『ファーストライン』(ちな監督)
 今回4作のなかで唯一のアニメーション作品。この作品は、夢を追いかけている人全員の心に響く作品なんじゃないかなと思いました。私も、夢を追いかけている人のひとりなので分かるんですけど、夢を追いかける中で、理想と現実の間で葛藤したり、自分の力を思い知って落ち込んでしまうことも結構あると思うんですけど、そういう夢を追いかけている人の熱意とか、ひたむきさを描いた作品で、とてもくるものがありました。アニメーションなので、1秒1秒の尊さがすごくて、絶対に瞬きしたくないとか、全部の画面のすみずみ全部を観たいという気持ちで最後まで画面に張り付いてしまうような、すごく繊細で大胆な映像作品だなと思いました。

『フレイル』(本木真武太監督)
 ものすごく現代的なテーマを扱っている作品だと感じました。映画のいろんな要素がたくさん詰め込まれているなと。ドキドキした青春の甘酸っぱさ、ゾンビっていう題材、社会問題もそうですし、観ていていろいろなことを頭に巡らせてしまうような作品。お年寄りの方が、VRで青春を追体験するというお話なんですけど、観ていて「年を重ねるってどういうことなんだろう」とか「人が生きていくことってどういうことなんだろう」とか、入り口はポップなんですけど、そこからどんどんこの作品の持つ奥深さに惹かれていくような作品で、見入ってしまいました。あと音がすごくリアルで、例えばゾンビが人間に絡みつく音とかすごくリアルだったので、これを劇場で浴びたときにはすごく恐ろしいだろうなと。早く劇場で体験したいなと思いました。