メイクをしたり、髪型にこだわったり…世の若い男性の美意識は年々高くなる一方。ただ、とくに中高年男性の中には、「今さら頑張っても無理」「自分ではどうしたらいいかわからない」と諦めてしまっている人もいるだろう。だが、人気美容師の手にかかれば、年齢に関わらず驚きのイメチェンも夢ではない。“イメチェン請負人”の手で劇的な変貌を遂げた男性をご紹介。今回は、風俗嬢を追いかけた“人見知りの陰キャ”41歳、フリーターが大変身。一体、どのように変わったのか?

■女性との交際歴もない41歳、自らを「アホ」と卑下するマスオさんの「風俗嬢を追いかけた」思い出

 男性たちを劇的に変貌させるのは、3000人の顧客を抱えるフリーランスの人気美容師・カンタさん(@ka.n_wl)と、“垢抜けコンサル”のしゅんさん(@syun_akanuke)。道行く人に声をかけてカッコよくイメチェンさせる「渋谷でイメチェンさせる人」として、YouTubeやTikTokなどで動画を配信している。

 今回、変貌を遂げたのは、秋葉原で出会った自称“危ないマスオ”さん。Hな話が大好きで、東京23区を舞台に風俗嬢を追いかけるYouTubeの鬼ごっこ企画に出演したこともあるという41歳のフリーターだ。

 自らを「人見知りの陰キャ」と評する“危ないマスオさん”は、小学生の頃から人付き合いが下手で、小中高時代は嫌がらせを受け、それをきっかけにさらに人と付き合うことが苦手に。高校卒業後は音楽関係の裏方の仕事に就きたいと専門学校に通ったものの、技量が足らず就職を断念。バイトに就くが、内向的なその性格から長続きせず、20年間、過去を引きずったままフリーターをしていると言う。

 髪をカットされながら、そんな過去をぽつりぽつりと語り、伏し目がちに自らを「アホ」「恥ずかしい話」と卑下するマスオさん。その表情がガラッと変わったのは、しゅんさんに「今までで一番楽しかったことは?」と話を向けられた時だった。一瞬躊躇するも、風俗系YouTuberによる“童貞が風俗嬢を追いかける鬼ごっこ”企画に出演した時の話を語り始めると、次第に表情は明るく、声も弾んで饒舌に。「半生を聞く」というテーマからどんどん外れ、Hな話で盛り上がるしゅんさんとマスオさんに、カンタさんは「もうHな話ばっかやん」と呆れ顔になるも、その後のマスオさんの「ただの変態ですよ」発言にハサミを持つ手が止まるほど大笑いしていた。

 そんなカンタさんが目指したイメチェン像は、「清潔感のあるイケイケな大人っぽい感じ」。

 「顔立ち的にはチャーミングな幼い印象で、目は少し細め。前髪を下ろしたかったのですが、そうすると若さではなくむしろ変に幼く見え過ぎてしまうので、セットの質感や前髪の作り方を考えました。また、パーマでウエーブをつけたり、ウエット系のワックスを使うと、印象が変わって大人っぽさを出すことができます。前髪は、流すマッシュは若い方はアリですが、歳を重ねた方の場合、変に若作りしていると見えてしまう危険もあるので、ナチュラルに軽く分けるように。清潔感を出し、無造作に動いている感じにして、カッコイイ大人に見られるよう意識しました」

 眉を整え、セットに入る最終段階の頃には、温かく打ち解けた雰囲気の中、「好きなことに対してはしゃべれるけれど、女の子ってなると何をしゃべっていいかわからなくなる。女性との交際歴もない」と悩みも吐露したマスオさん。しゅんさんに「小さな成功体験が自信につながるので、自信が一番大事だと思う。カッコいいですよ、自分を下げる必要はまったくない」と励まされると、小さく、しかし力強く頷いた。

 公開された動画には、大変身ぶりへの驚きのコメントとともに、「仕事ができる優しい会社の上司っぽい」との評も。最後、「できるだけキープできるように頑張ります」と語った時のマスオさんの目には、小さな自信のかけらが光って見えた。

(文:河上いつ子)