「疲れを癒やす」と思われている常識のなかには、間違っているもの多いと話すのが、東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身先生。
あなたのその疲れ解消&予防法が本当にあっているかを確認する「【大人の疲れ対策】16の新常識」の後編です。
午後の仕事から就寝までをチェックします。

起床からランチまでの行動を取り上げた前編もあわせてチェックして!

その疲れ解消&予防法
本当にあっていますか?

普段、意識せずやっていることや、疲れ解消のためにしている習慣でさえも、かえって疲れを呼び起こしていることも。
そこで質問です。これからA子さん、B子さん二人の一日の行動を見ていきます。その行動が「疲れ解消」としてあっているかどうか、チェックしてみて。

<登場人物>

まじめでアクティブなA子さん

仕事はちゃきちゃき、プライベートも行動的ですが、体にはいつも疲れが残っています。

のんびりマイペースなB子さん

ボーッとするのは好きですが、いつもなんとなくだるいのが悩み。

<13:00〜18その疲れ解消&予防法
本当にあっていますか?00 ランチ後〜帰宅>

<仕事中>
Q.8 作業に飽きてちょっと休憩(B子さん)

この行動は、正解? NG?
答えは……













〇正解! 
「飽きた」は脳の疲れのサイン

人が同じ作業を続けられるのは90分程度。「飽きた」というのは「同じ脳細胞を使って疲れたから、ちがう脳細胞を使って」という訴えです。短時間でも休息をとるほうが効率アップ。

<仕事中>
Q.9 休憩もとらず集中。達成感で疲れは感じず(A子さん)

この行動は、正解? NG?
答えは……













NG!
集中は、自律神経の疲労の原因に

集中して同じ作業を続けることで、神経細胞の働きが鈍くなり疲れの原因に。達成感があると、気分を高揚させる「エンドルフィン」などの物質が脳内で分泌され、疲れを目隠ししますが、神経細胞は疲弊しているので、疲れはたまる一方。

Q.10
仕事中、音楽を流したり、窓を開けて気分転換(B子さん)

この行動は、正解? NG?
答えは……













〇正解!
❝揺らぎ❞のある空間が疲労を軽減

森林浴が気持ちいいのは、そよ風やこもれび、川のせせらぎなど、不規則な❝ゆらぎ❞があるから。人の体がもつ❝ゆらぎ❞と共鳴するために、心地よさを感じて、疲労が軽減します。冬場は寒いですが、あたたかな日中などに時々窓を開けて風や光を通しましょう。


<会社帰り>
Q.11 スポーツジムへ。疲れていてもジム通いは欠かさず、毎日汗をかく(A子さん)

この行動は、正解? NG?
答えは……













NG!
ハードな運動は×。ノルマの運動はもっと×

筋肉を維持する運動はしたほうがよいですが、ダラダラ汗をかくハードな運動は自律神経の大きな負担に。「運動中も会話が楽しめる」程度にして。疲労時は運動よりも、自律神経を整えることが第一。ストイックにノルマに従うのは、疲労回復の意味ではNGです。

<19:00〜24:00 夕食〜就寝>

<夕食>
Q.12 スタミナ料理でパワー充電(A子さん)

この行動は、正解? NG?
答えは……













NG!
スタミナ料理は余計に疲れが増す

ニンニクやうなぎ、焼き肉などのスタミナ料理。ビタミンB群などは豊富ですが、疲労回復効果は期待できません。逆に胃もたれして、自律神経を疲れさせることも。夕食は軽めに。

<食事>
Q.13 疲労回復に効く食べ物は、実は少ない

この内容は、正解? NG?
答えは……













〇正解!
疲れに効くとわかっている成分は3つ

疲れに効くことが科学的に検証されたのは「イミダペプチド、クエン酸、コエンザイムQ10 」の3つです。クエン酸とコエンザイムQ10 は単独ではなく、イミダペプチドと組み合わせてとるのがよいでしょう。

●イミダペプチド
渡り鳥はどうして長距離を休みなく飛び続けることができるのか――。その秘密を探るなかで見つかったのが「イミダペプチド」という抗酸化成分です。食事でとったイミダペプチドは、2種類のアミノ酸に分解されてから、脳に到達。すると、脳内の合成酵素の働きによって再びイミダペプチドに合成されて、長時間、抗酸化作用を発揮します。

鶏胸肉のほか、カツオ、マグロ、豚ロース肉など、特に疲労しやすい部分に豊富。

●クエン酸
クエン酸は「酸味」のもととなる成分。細胞内のエネルギー代謝を担う「クエン酸回路」を活性化させて、疲労を軽減します。残業時や、食欲不振で食事がとれないときの疲労回復に有効。

レモンや梅干しなら一日に二個、黒酢なら一日に大さじ一杯程度が目安。

●コエンザイムQ10
美容成分として有名。体内のエネルギー代謝の補酵素としても働き、疲労回復を助けます。イワシやサバなどに含まれています

<入浴>
Q.14 入浴がめんどうでシャワーに(B子さん)

この行動は、正解? NG?
答えは……













〇正解!
汗をかくほどの入浴は体に負担

入浴で汗をかくのは、自律神経が体温を必死で下げようと働いた結果で、体温調節を司る自律神経を疲弊させます。疲れている時はBさんのようにシャワーや、足湯などでもOK。

湯船につかるときは……

入浴は就寝の1〜2時間前までに。40℃程度以下の湯に、わきの下まで5〜10分くらい入浴するのがベスト。のぼせたり汗をかくと睡眠の質は低下しますが、自律神経に負担をかけずに血行促進させると、眠りの質が高まります。

<睡眠>
Q.15 ベッドへ入るとわずか5分で就寝(A子さん)

この行動は、正解? NG?
答えは……













NG!
「5分で就寝」はただの❝寝落ち❞かも

床について5分以内に眠ってしまうのは、慢性的な睡眠不足で疲れがたまっている可能性大。床について10分くらいで自然に眠るのが理想的です。

<睡眠>
Q.16 疲れをとるときは、右半身を下向きに寝るとよい(B子さん)

この行動は、正解? NG?
答えは……













〇正解!
右半身を下向きに寝ると快眠度アップ

寝姿勢は横向きがおすすめ。重力によって、のどの筋肉や舌が気道を塞ぐのを防ぎ、呼吸をラクにするので、快眠度がアップ。軽いいびきも解消できます。体の右を下にするのもポイント。胃の消化活動を妨げません


いかがでしたか?
意外な行動が疲労回復の役に立ったり、あるいは逆に妨げになったりしていたと思います。
ぜひ、正しい行動を実践して、疲れを癒やしてくださいね!

前半は、起床からランチまでをお伝えしていますので、こちらもぜひチェックしてみてください!


教えてくれたのは……
梶本修身先生

医学博士。東京疲労・睡眠クリニック院長。産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」の統括責任者。わかりやすい解説でテレビ出演も多い。『すべての疲労は脳が原因』シリーズ(集英社)など著書多数。


イラスト/ハマダナギサ  文/寺本 彩  画像協力/PIXTA
大人のおしゃれ手帖2022年2月号より抜粋
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