デザイン、機能性、サステナブルな暮らし……。
北欧の住まい、暮らし方は、私たちが心地よいと感じるポイントがたくさんありそう。
その知恵、スタイルを取り入れている方々を取材しました。

今回お宅を拝見したのは・・・
ブロンデル智子さん
神奈川・逗子でスウェーデン出身の夫と20歳、16歳、12歳のお子様との5人暮らし。築40年のマンションをリノベーション。


いかに居心地よく暮らすかを大切にした
家づくりをするのが北欧らしさ

大きな窓から緑や海辺の風景を臨む開放的なブロンデル邸。人がよく集まり、この日は近くに住む友人のicacoさんとフィーカを楽しむ。

8年前、目の前に海が広がる中古マンションを購入し、居を移したブロンデル智子さん。
北欧デザインの家具が映える開放感あふれる空間にリノベーションし、家族5人で暮らしています。

「もともとは東京に住んでいて、南葉山にセカンドハウスを持ち、ときどきこちらで過ごす生活をしていましたが、今の住まいに出合い、定住することに。リノベーションする際は、スウェーデンにある夫の実家を参考にしました。ヴィンテージの家具を取り入れたり、テキスタイルで明るさを演出しているところが素敵で」と智子さん。
ナチュラル素材を大切に、温かみのある空間に北欧らしさが感じられます。

その暮らしぶりにも北欧ならではのスタイルが。

「21年前に結婚して以来、毎年サマーバケーションに1か月近く帰省するのですが、夫の家族や友人たちのもてなしがとてもラフで心地いいんです。
日本だと、来客があると、完璧にもてなさなきゃと気負い、あれこれ準備をしがちだけれど、北欧の人は肩肘を張らず人を出迎えます。
ホスト側だけでなく、ゲストや、男性陣が好き好きに料理したりコーヒーを淹れてくれたり。対等なコミュニケーションをなにより大切にするところも北欧らしい暮らし方かもしれません」

今日のフィーカには、スウェーデンが発祥と言われるシナモンロールを。
智子さんのお手製でカルダモンたっぷり。

テーブルにはicacoさんが自宅の庭で育てた花をしつらえて。

迷い込んできた2匹の小鳥。ぴーちゃん、シナモンと名付け、一緒に暮らしています。

家族とも、友人ともフィーカの時間を過ごすのが日常

リノベーション時に和室だったスペースを広々としたキッチンに。椅子が3脚あり、慌ただしい朝はここで朝食をとることが多い。

緯度の高い北欧の冬は日照時間が短く、15時ごろには外が真っ暗になるため、現地の人は自宅で過ごす時間を大切にしているそう。
「甘いものとコーヒーとともにコミュニケーションをとる〝フィーカ〟は、北欧ならではの文化。家族みんなでフィーカをするのがいちばん好きな時間です」

夫の実家を参考にしてオーダーした北欧テイストのキッチン

キッチンキャビネットは、イケアでオーダー。
スウェーデン発祥のイケアの家具は北欧風の空間にぴったり。長く愛されているヴィンテージの家具とミックスするのが智子さん流です。

1日で過ごす時間が長いキッチンは、智子さんの理想の形に。参考にしたのはスウェーデンにある夫の実家だそう。
「壁に飾り棚があって大きめのシステムキッチンがあるゆったりしたスペースは、北欧でよく見られる形かもしれません。ものは出さずに、すっきり見せています」

収納棚にはスウェーデンに帰省する度に少しずつ買い集めた、スティグ・リンドベリのヴィンテージカップなどをディスプレイ。

白基調の空間に映えるテキスタイル。
自然の恵みも存分に生かして

白をベースにし、カーペットだった床をナラの無垢材に張り替えて温かみのある空間に。
「玄関の壁紙はスウェーデンのテキスタイルブランド、スヴェンスクト・テンのもの。カラフルな植物柄を選んで、家に入った瞬間、ぱっと明るい気持ちになるようにしているのも北欧っぽさかな」

。キッチンから続く、明るく広々としたリビングにはイケアで購入した大きなソファとメキシコのハンモックを配し、家族がのんびりできる空間に。右手の壁一面に大きな収納棚を作り、思い出の写真やスウェーデンの民芸品などを並べて。リビングの中心にはデンマークの伸張式のヴィンテージテーブルとイギリスヴィンテージのアーコールチェアが置かれ、家族での食事やフィーカはここで。

玄関を入った目の前に北欧テキスタイルの壁紙。

キッチンやリビングの窓からは木々の緑の向こうにビーチが。
自然が感じられるのがお気に入り。


撮影/大森忠明 文/佐久間千絵

※大人のおしゃれ手帖2024年5月号から抜粋
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