Q. アラフォー会社員女性。半年前に着任した女性上司は、初めて部下を持つ立場になったからなのか、部下への注意をしません。「チームの和を尊ぶ」「みんな仲良く〜」と明言していて、「部下に注意をする」ことが、チームの和を乱すと考えているようです。

あるチームメンバーが最終確認を怠ったせいで他チームとの間に問題が起きた際、上司は当人に注意をせず、それどころか責任逃れの言い訳を信じて、他チームのせいにしてしまいました。これが続くと今後、他チームとの関係が悪くなってしまうと危惧しています。ですが、私の立場からは提言するわけにはいかず、その上の上司に言うことも考えましたが、「自分たちでどうにかしろ」と言われるのが目に見えています。

彼女が異動するまで我慢するしかないのだと思いますが、“上っ面の和”を重視しているとしか思えず、モヤモヤします。どんな心持ちで仕事をしたらいいのか、アドバイスをお願いします。(ハンドルネーム:ずんだ餅)

A. 結果に責任を持つのは上司、割り切って自分の仕事を

ズバリ、ずんだ餅さんは、その最終確認を怠ったチームメンバーが苦手、もしくはその人との関係が良くないのではないでしょうか。同じチームなのですから、日頃からチームメンバーと関係が良く、気軽に会話できたり距離感が近かったりすれば、このようなモヤモヤは起こらない気がします。今回のミスだけではなく、もともと関係が良くないのかなと感じました。

「チームみんな仲良く〜」と言いながら、その2人の関係に気付いていない、もしくは気づいていてもアクションを起こさない上司の方は、確かになんとなく頼りなく感じてしまいますね。

ただ、「上司の仕事」とは「注意をすること」なのでしょうか。上司の役割で最も重要なことは、「その仕事の結果に責任を持つこと」だと思います。その過程には、部下の育成も、部下のモチベーションを保つことも、チーム内の結束を固めることも、良い結果を出すことも含まれます。

これらをどのようにこなしていくのか、考え方は人によって異なりますので、「チーム内を円滑に」というその上司の考え方が間違っているとは一概に言えないのではないかと思います。また、人によっては注意することがマイナスに働くこともあります。そのようなことを見極めるのが上司のスキルなのではないかとも思います。

ずんだ餅さんの言われるように、時には部下への指導が必要なケースもあるでしょう。しかし、それをするかしないかを判断するのも、その上司次第。そして、結果に責任を持つのも彼女です。

彼女が上司に選ばれたのにも理由があるのだと思います。彼女が結果を出せなかった時に責任をとるのは、彼女を選んだ、さらに上の人になります。残念ながら、そこには、ずんだ餅さんの今の立場から自身の考えを対等に押し付けることはできないのだと思います。

ずんだ餅さんのモヤモヤの原因の根本は、そのチームメンバーです。その人に指摘することを上司頼みにするのではなく、同じチームなのですから、いっそのこと、ご自身で本人に言ってみてはいかがでしょうか。苦手な人なのかもしれませんが、毎回同じストレスにご自身がさらされるくらいなら、苦手意識を克服して少し近い関係になり、なんでも言えるようになる方が楽かもしれません。「私の立場からは提言するわけにはいかず、その上の上司に言うことも考えましたが」と書かれていますが、その上の上司には言えるのに、下の上司や同僚には立場上言えない、というのもなんだか変な気がします。

その会話の中で、チーム内でぶつかることがあれば、チームの和を重んじる上司にとって気づきにもなり何らかのアクションを起こしてくれるかもしれません。実は水面下で部下同士の関係が悪いことをいつまでも気づかないよりは、上司にとっても良い気がします。

そのチームメンバーがどうしても苦手で直接相談の場をつくることができないのであれば、その上司に自分の不満を言うしかないと思います。それでメンバー同士の関係の悪さに気づいて、何か動いてくれるかもしれませんが、彼女が動く必要はないと思ったら、それは彼女の責任のもとでの決断なので、あきらめるしかないでしょう。

ずんだ餅さんは責任感が強く、そしていろいろなことに目を配れる広い視野を持っている方なのでしょう。その分、余計な負担を抱え込みすぎて損をしている部分もある気がします。イライラするかもしれませんが、自分の思うようにならず、どうしようもない部分は、「自分は任された仕事と責任の範囲内さえ頑張ればよいのだ」と時には割り切りも必要なのかもしれません。(産婦人科医、タレント 丸田佳奈)