乳幼児のいる家庭では、家事・育児を巡って、ささいなことでも夫婦の気持ちにずれが生じがちです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、2歳と0歳の子どものいる男性から「自分も手伝っているのに、妻はしんどいという。甘えでは?」というボヤきの声が寄せられました。妻が平日、上の子どもに動画を見せてばかりいて、外に連れ出そうとしないことへの不満もあるようですが、こうした夫婦間の隔たりはどう乗り越えていけばいいのでしょうか。寄せられた意見をピックアップしました。

「妻の育児疲れ、考えが甘くないでしょうか?」のタイトルで投稿してきたトピ主「二児のパパ」さんには、2歳9か月と8か月の娘がいて、妻は専業主婦。「2人目が生まれてから妻が明らかに疲れている様子で、毎日しんどいとたまに愚痴をこぼします」と打ち明けました。

そんな妻への対応策を尋ねるのかと思いきや、トピ主さんは「私は管理職で責任もあり、一つの失敗で何百万と飛んでしまう自分の仕事のほうがしんどいです」と自身の話をはさみ、「実際、休日に妻が息抜きで1日出かける時にワンオペしていますが、そこまでしんどくはありませんでした」と言い放ちます。

妻が次女を出産した際は、帝王切開で出血多量のため10日間入院することに。トピ主さんはこの間、長女の面倒を見続けたそうですが、「想像を超えるしんどさはありませんでした」とも。

現在は、弁当作りや夕飯の用意、アイロンがけなどほぼ全ての家事を妻が担当。一方のトピ主さんは、ほとんど家事をせず、たまに洗い物を手伝う程度ですが、帰宅後30分は長女と室内ジャングルジムなどで遊び、長女の入浴も毎日担当しているそう。また時々は、次女のミルクやオムツ替えもトピ主さんがしているといいます。

「まだ幼稚園などに行ってない長女を、私の休日以外は外に連れて行かず、ずっと家で遊ばせているか動画を見せている」と妻の心配な点を挙げたトピ主さん。今春から長女がプレ幼稚園に通うことになり、妻が「自分1人で子ども2人を連れて行くのは大変だし、次女を抱っこ紐するのもしんどい」と口にした時には、言葉にこそ出さなかったものの、「甘えではないのかな?」と内心思ったとも。

そしてトピ主さんは「私からすると、このような妻の毎日でそんなしんどくはないだろうと思ってしまいますが、私が無知なのでしょうか?」と発言小町で問いかけました。

この投稿には、300件近い反響が寄せられ、びっくりボタンも4200回以上押されています。寄せられた意見は、トピ主さんの考え違いを指摘するものがほとんどです。

育休経験がある「みきこ」さんは「仕事は確かに責任もありますし、大変ですが、ON/OFFがあるので楽なんですよ。育児はOFFがないんです。ずーっとON状態。睡眠中も子どもが『ふにゃ……』って泣きかけただけで目が覚めます。『甘えてるな〜』とチラッと心の中に浮かぶくらいはいいけど、表に出さないであげてほしい」とコメントしました。

「人それぞれ体力も精神力も違うのに、なぜ『俺の方が』『俺はワンオペでも大丈夫だった』という発想になるのか、理解に苦しみます」(「ヨーコ」さん)

「普通の出産だって交通事故で1か月入院するくらいのダメージを負うのに、ノーダメージの夫にそんなこと言われたら怒りしかわかないし、あきれて冷めると思う」(「なんやねん」さん)

「洗いものもミルクもおむつも、何百回と必要なうちの何回ですか? お風呂は、湯船に入れて洗うだけなら、それはほんの一部です。それ以外の名もなき家事のこと、やったことないからわからないのでしょうけど」(「わーまま」さん)

「疲れていると言う人に、自分の方が大変だと返す人と一緒に暮らすのって息が詰まりそう」(「酒場」さん)

「1日みるというのは、朝起きてから寝かしつけまで、家事も食事も3食用意して、離乳食も当然作るということですよね? もしそうじゃないなら、簡単でも当たり前です」(「三人育児中」さん)

「甘えてるのはあなたの方でしょ。自分でできることは自分でやりなさいよ。子どもが小さい時の何年かくらい、弁当も夕飯も外食で何が悪いの?」(「ダメ親父典型」さん)

トピ主さんの妻の体調を心配する声もありました。

「とりあえず病院に行ってもらいましょう。私も2人目の出産後、疲れて疲れて……。結局上の子が小学生になる頃に、貧血を治療しました。長女ちゃんのことも心配です。だって3歳近いのに、外遊びもあまり出来ないのでしょう?」(「貧血気味」さん)

「奥様は出産のダメージからまだ回復されてないのでは? まずは病院で検査を。産後の体調は出産ごとに違うので、そこはくれぐれもわかってください。外部の手を借りることも選択肢に入れて」(「ぶろっころり」さん)

「自分だってやってるのに、専業主婦なのに……というお気持ち、ものすごくよくわかるのですが、ここは夫婦関係を保つためと諦めて、『しんどいんだね、いつも感謝している、ベビーシッターや家事支援サービスなど出来ることがあるか一緒に考えたい』とお伝えになるのはどうでしょう。私は一人で子育て支援センターに相談に行っていましたが、5割ほどは旦那様と一緒に相談に来られていました。とにかく『パートナーが一緒に立ち向かってくれる姿勢』が一番必要です。正論はいったん心の中にしまい込んで、うまく立ち回ってほしいなと個人的には思います」(「めめ」さん)

多くの意見に背中を押されて、トピ主さんは妻と話し合い、弁当作りやアイロンがけは自分ですることに。外食に出かけたり総菜を買ってきたりすることも積極的に取り入れるように改めたそうです。「確かにお風呂は入れるだけになっていたし、ワンオペ時の食事の用意は全て妻がお膳立てしたものを私が温めて食べるだけでしたので、そちらも改善していきたいと思います」とも報告しています。

東京都が未就学児のいる男女4000人を対象に実施した「男性の家事・育児実態調査」(2023年)によると、男性の78.3%が、夫婦間の家事・育児分担に「満足している」と答えたのに対し、女性は48.0%と低く、家事・育児分担で不満を持つ女性が多い実情がうかがえます。具体的には「自分が言わないと、家事・育児をしてくれない」という不満が目立ち、「自分と相手はどのくらい家事・育児をしているか」という質問には、夫婦がお互いに自分の時間は多く、相手の時間は少なく見積もる傾向があったそうです。

子育ては大変です。夜中も頻繁に起きなくてはならず、子どもの体調管理を優先させるあまり、自分のことを振り返る時間も持ちづらくなります。「しんどい」とこぼすパートナーを「甘えだよ」などと冷たく突き放さず、お互いに余裕を失いがちなことを頭に入れながら、冷静に適切な対応ができるといいですね。

(読売新聞メディア局 永原香代子)