夫が家事をしないことに、不満を募らせている妻は多いでしょう。もし、「家族のために夕食を作ってくれる夫」がいたら、理想的なパートナーのはず。ところが、読売新聞の掲示板サイト「発言小町」に、「週の半分ずつ夫と夕食作りを分担している」という妻から「夫の料理が絶妙に美味(おい)しくなくて辛い」とSOSが寄せられました。妻への批判が集中するかと思いきや、意外にも少なくない共感の声。解決策はあるのでしょうか。

「夫の料理が美味しくなくて辛い」のタイトルで投稿してきたのは、トピ主「ツマ」さんです。子供がいる共働き夫婦で、年収は同じくらい。家事・育児を分担していて、夕飯作りも週の半分は夫が担当しているそう。

しかしその手料理を、「焦げていたり、玉ねぎの皮が残っていたり、煮詰め足りなくてコクがなかったり」「味がしない、濃すぎる」などと酷評。「絶妙に美味しくない」と嘆きます。さらに、「一品料理がほとんど」と、不満は募るばかりです。

夫に指摘しても全く改善されず、周囲に愚痴ると、「作ってくれるなんて素敵な旦那様」「贅沢を言っている」と逆にいさめられる始末。孤立無援のトピ主さんは、発言小町に「私と同じレベルの夕飯を作れるように、夫も努力するべきだと思いませんか?」と問いかけました。

このトピには200件を超えるレスが寄せられ、「びっくり」ボタンが1000回以上も押されています。

「びっくり」の意味するところは、「分担してくれるだけでもありがたいんじゃないの?」ということのよう。「せっかく作ってくれたのに文句言うなんて言語道断」(「リコ」さん)、「お気に召さないならご自身でどうぞ」(「鶯餅」さん)、「向き不向きもあれば、努力してもどうしようもない事もある」(「カメリア」さん)――。トピ主の心得違いだと批判するレスが相次ぎました。中には、グルメ漫画「美味しんぼ」の主人公を引き合いに出し、「料理がうまくて、山岡士郎みたいにトピ主の料理にあれこれ文句言ってくる夫だったら嫌だと思うのですが」(「電源ONさん」)との指摘も。

批判の嵐の中で、「とてもよく分かる」と理解を示したのは、「ヨーコ」さんです。「うちの夫も料理下手。レシピ通りなら美味しかったのですが、自由に調理すると、卵焼きはバサバサ、炒め物はコゲついて苦く、絶妙にまずい」。そんな夫を「おそらく味覚音痴」とした上で、「まずい自覚がなく、向上したいと思ってないなら妥協するしかない。週末にトピ主さん指示のもと、二人で作り置きをしてみては」と提案します。

「暇蝦」さんは、「トピ主さんが料理担当、それ以外の家事を夫担当とするのも手」だと、分担の見直しなどの“妥協”を勧めました。

これに対し、「私も料理が嫌い」とぶっちゃけるトピ主。「それでも毎日仕事して疲れている中、頑張って作っています。美味しくないのも副菜がないのも手抜き。毎回手抜きされるのは腹が立つ」と怒りのボルテージを上げ、「そもそもやる気がないんです。私は夫の先生じゃない! 対等な夫婦なのに、どうしてやる気のない人間に下手に出て褒めたり育てたりしないといけないのか」。どうにも納得できない様子です。

「それなら」と、料理の腕を問わない、便利なサービスや調理器具を利用すべしとのアドバイスもありました。

自動調理器を挙げたのは、「オールラウンダー」さん。「朝に仕込んでおくと帰宅時には料理が出来上がっているし、思ったより色々なメニューを作れますよ」と手軽さ、便利さを推します。

「米粉」さんがオススメするのは、ミールキットです。「毎日違う献立の材料が、玄関先まで人数分届きます。買い物の手間もフードロスもなし。レシピ通り作れば、まず失敗しません」

合わせ調味料を使ったり、出来合いのおかずを買ったりするなど、省力化を促す声も目立ちました。「まずい料理を無理して食べなくても、お総菜やお弁当のテイクアウトなどを利用したらいい」(「困りますね」さん)、「タレ、レトルト、『◯◯の素』を使ったっていいじゃないですか。それで美味しいご飯を囲めるなら」(「ほぽ」さん)。

投稿全体を見渡すと、夫の料理の腕前に不満を抱える妻は案外多いことがわかります。

「仕事から帰って夫の作ったものを食べたら、水気だらけで味が流れ、全然おいしくない。疲れも相まってイライラ」(「偏差値50の女」さん)

「炭水化物と少々の肉を使ったたんぱく質攻めで野菜なし。シチューの『隠し味』と言ってチョコレートを入れる」(「ぽっと」さん)

「汁がなぜか透明でジョボジョボと水っぽい牛丼、スープの素を使う生ラーメンもなぜかひと味足りない。キャベツの生臭さが残るソース焼きそば、料理酒入れすぎでお酒っぽい鍋。当然子供は残します」(「はるおちゃん」さん)

「『炒めてから煮るんだよ』と教えているのに野菜生煮えのカレー。悲しくなって『美味しくない』と言ったら大げんかになり、キレた夫が『一生カレーは作らない』と。『二度と作らないでくれ』って心から思った」(「パン子さん」)

近年、共働き世帯が増え、統計によると全世帯の7割を占めているといいます。料理に不慣れな夫でも、夕食を作るのはもはや当たり前なのかもしれません。“手作り神話”に縛られず、時にはお総菜やミールキット、合わせ調味料などの力も借りて、家庭内のストレスを減らしていけるといいですね。

(読売新聞メディア局 後藤裕子)